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電撃訪問1

閲覧ありがとうございます!



商業ギルドでの師匠の暴れっぷりを聞き、開いた口が塞がらないとはこのことかと思っていると宿の扉が控えめにノックされた。

どうやら師匠がお願いしていたらしく、夕食を用意して運んでくれたらしい。



気持ちを切り替えて美味しい夕食に舌鼓を打つ。


塊肉の煮込みにポタージュスープなど昼と比べて重ためのメニューだったが、不思議と脂が少なくあっさりしていて食べやすかった。

もし胃もたれをしても胃腸を元気にする魔法薬があるので問題ないのが心強い。




「結局商業ギルドには宝具はなかったわ」


「それは残念でしたね」


「一応それっぽい物があるらしいって情報はあったんだけどね」



例の男は宝具を持ってはいなかったがあるという情報はどこからか仕入れていたらしい。

ただカリギュラのどこかにはあるがどこにあるのかは分からないという曖昧な情報だった。


なんだそれ。言葉遊びのような言い回しだな。


肉を切り分けながら首を傾げていると、師匠が苦笑いをしながら言った。




「なんでもカリギュラの市場には狭い貧民街のある裏通りというものがあってそこの何処かにあったんじゃないかって。何年も前に火事が起きて全て焼け落ちてしまって、今は何もない更地らしいけど」


「…え?」



師匠、今なんて言った?裏通りは焼け落ちた?

動揺のあまりガチャン、と持っていたカトラリーをプレートに落としてしまった。

幸いソースが跳ねることはなかったが、今の私はそれどころではなかった。



何となく変な感じはしていた。

だって振り返ったらお店無くなってたし。

買い取ったガラクタから光るペンダントが出てきた。

しかも女神様の魔力を回復?させる効果があるらしい。



……もしかして、これが宝具だったりする?



ブラウスの下にあるペンダントを無意識に撫でながら手元に視線を落とす。


カトラリーを落として俯く私を心配した師匠が珍しく慌てた様子で早口に捲し立てた。



「ここ数日バタバタしてたから疲れちゃったかしら?どうせ宝具は望み薄だから明日の朝一番に帰りましょうか」


「…分かりました」




頭の中が混乱しててなんて返したのか覚えてない。

ただアレはなんだったのか。

引き攣った顔で笑う老婆の姿が頭から離れなかった。











次の日、まだ朝日が昇り始めたばかりのカリギュラの街を私たちは早足に進んだ。

行きと同じく馬車をポチに引いてもらい、気が付いたらパピヨンに到着していた。


カリギュラの美しい朝焼けを飛ぶ場所の窓から少しだけ見た。

でもやはり昨日のことが気がかりで同時に怖くもあった。



師匠に話した方がいいかな。

一人きりの自室で無意識にブラウスの上からペンダントを握る。




ーどう思う?女神様。


『どうもこうも、彼女は貴女の保護者なんだから言いたければ言えばいいワよ』


ー保護者…


『そうよ。元の年齢はどうあれ、この世界歴は8年なんだから』

その辺の子供と同じだワ。





初めて会った時のように笑われるかと思っていたが、案外心配してくれているらしい。

以前の小馬鹿にしたようなのとは違う優しい声色で彼女は言った。


確かに常識も文化もまだまだ分からないことだらけだし、もしかしたらこれも物凄く希少なわけじゃないのかも!




『あ、でもそのペンダントは私が生きていた時の物だから1500年は前の物だワ』


ーめちゃくちゃ希少じゃんか!!!




声に出さない代わりに心で悲鳴を上げた。伝わってくれ頼む。

1500年前って、人類の歴史が残ってるのが1000年前なんだからそこから更に前の品でしょ!?

そりゃあ少なくとも魔術的な価値はあるし、そこへ女神様が太鼓判押したら確定じゃないの!

…ちょっと待ってよ。




ーそもそもなんで女神様はこれが1500年前の物だって分かるの?


『感知魔法がまだ完全じゃないから誰のものかまでは分からないけど、感じたことのあるものだワ。貴女が8歳になるまで私は眠っていたから、現代で私が分かる魔力は貴女の周辺のものだけ』


ーじゃあそれ以外で女神様が知ってる魔力ということは少なくとも1500年前の人にこのペンダントは作られている、ということ?


『そうなるワね』





なんだかややこしくなってきたぞ。


つまり要約するとこのペンダントは立派な骨董品で、ちゃんと機能もしてる宝具ってことか!

…これ師匠に言って大丈夫かな?


なんで私があそこに行けたのか根掘り葉掘り聞かれそうだし、女神様と共生してるとか言ったら解剖されそうなんだけど。





『…まだ私のことを知られるワけには行かないから、やっぱりしばらくは秘密にしておいて欲しいワ』


ーだよね。私も思った。




図らずもお互いの利害が一致して、少しだけ連帯感が出た気がする。

ちょっと心がほんわりしたその直後、




『じゃあ折角だし、私の魔力を操作する練習をするワよ!』




あれ?連帯感は?

私の想いは見事に裏切られたのだった。



カリギュラから帰宅した後あまりにも私が放心状態だった為、師匠からは3日のお休みをもらったのだ。

しかも師匠はちょっと出てくるわ!といって3日程空けると言って出て行った。

つまり、久しぶりの完全なるフリー!!お休み!!だ!!


と喜んでいた時期が私にもありました。





『久しぶりだから上手くいくといいけど〜』




るんるんと擬音のつきそうなご機嫌感を出す女神様。

いや、私の休み…。

またしても遠い目で手の届かない場所へ行ってしまった休みに想いを馳せるのであった。



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