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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
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ズル休み


いつの間にか寝ていたみたい…?


1階からの話声で何となく目を覚ました。


ウトウトしながらも会話の内容を


聞こうとしていると


… !!! 


声の主がママと秀くんであることがわかった。


え…  ぃや…! どうしよう! どうしよう!


秀くんとどんな顔をして会えばいいかわからない。


…トン トン トン


階段を上ってくる音が聞こえる。


どきっ どきっ どきっ


私はとりあえず寝たフリを決め込む事にした。


くるりとドアの方に背を向けて横向きになる。


やがてドアをノックする音と一緒にママの声がした。


「みお、秀くんが来てくれたわよ。」


私はもちろん返事をしない。 


目をつむり規則正しい寝息を演技する。


ガチャっと扉が開く音がした。


「あら?寝てるの?」とママの声。


それから人が近づいてくる気配。


テディベアをぎゅっと握りしめる。


ふわっと頭に手が乗った。


その手は秀くんの手だとすぐにわかった。


どきっ どきっ どきっ


「みおちゃん…」秀くんの声がした。


「…って、本当にウソがつけないんだね。」


…え? 私は尚も寝たフリをする。


「そんなに眉間にシワ寄せて、


テディベア握りしめちゃって。


そんなに力入ってたら寝れないよ?」


すっかりバレてしまっているのに


私は固まって動けない。


「あらあら」とママの笑う声。


「じゃあ秀くん、私は下に行くわね。」


そう言ってママは部屋から出て行ってしまった。


待って!待って!ママ…!!ふたりにしないで!!


心の中で叫ぶけどママに届く筈もなく…(泣)


固まったままの私と秀くんだけになった。


「耳、赤いよ?」


秀くんは私が起きているという証拠を


意地悪に証言していく。


「あ、寝息も聞こえなくなった!(笑)」


何も言えない…


それから静かに「どうしたの?」と聞いてくる。


「学校で何かあったんでしょ?俺にも言えないの?」


頭に置かれていた秀くんの手が


私の髪を優しく撫で始める。


ああ、そうか。


こうやって秀くんはいつも私の気持ちを


表に出すきっかけをくれる。


これがきっと甘えてるって事 なんだね。


自分の気持ちを、秀くんに頼らずにちゃんと


伝える事、自分で自分をコントロールする


ということ。


確かにこれは私自身も本意とすることじゃない。


ちゃんと秀くんの手を借りずに自分で立っていたい。


あの子達の言ってた事は正しいかも。


私は秀くんに背を向けたまま話し出した。


「秀くん…ごめんなさい。今まで…。


昨日クラスの子に言われたの。


たまたま隣に住んでいるってだけなのに、


秀くんの優しさに甘えて、秀くんに負担かけて、


迷惑って。私は目障りだって。」


「…は? 誰がそんな事言ったの?」


秀くんの口調がいつもと違った。何か…怒ってる…?


「誰でもいいよ。


私も言われてから気がついてしまって…。


本当にごめんね。秀くんに甘え過ぎてたな、って。


今はすごく反省してるの。」


私はゆっくり起き上がって、


やっと秀くんの顔を見た。


「今まで負担にさせてごめんね。


これからはちゃんと自分で自分の気持ちも


コントロール出来るようにす


る… か…  ら…  …?」


言いながら気がついた。


秀くんが怒ってる 目が… いつもと違う


「俺がいつ負担だって言った?」


どこまでも静かな口調。 それがかえって怖い。


私は何も言えなくなった。


「俺、みおちゃんの事、隣にたまたま住んでる


体の弱いかわいそうな子だなんて


一度も思った事ないよ?」


秀くんの怒りの目から私は視線を外せなくなった。


いや、外させてくれないすごみがあった。


この人は誰?って思うくらい。逃してくれない。 


「前にも言ったけど、俺はみおちゃんの事を


すごく尊敬してる。


努力家で実は周りの事をすごく考えていて


優しいし、うまく立ち回れないけど


頑張っている姿とか、すごくかわいいと思うし。


俺はそんなみおちゃんが好きだから、


みおちゃんの為なら喜んで動ける。


むしろ頼って欲しいし力になりたいと


いつも思ってる。」


真剣に 一生懸命に伝えてくれているのがわかる。


「…っ! でも…! 秀くん… だって… 


秀くんはみんなの憧れだもん!


私なんかを構ってくれるのは嬉しいけど、


みんな秀くんとの時間がもっと欲しいんだと


思うよ!」


私も真剣に一生懸命伝える。 が、


「だから、何?それ。


みおちゃんってどこまでみんなの事を考えてるの?


優しいんだね。」


…?え…っ? え…っ? そうなのかな? でも…


いや、私は秀くんに頼ってばかりの困ったちゃんで…


ってそうだ!秀くんがどうこうじゃなくて、


私がダメダメって事なんじゃないか!


「俺は俺のしたいように動く。


みおちゃんの近くにいたいのは自分の意志だ。


別に誰に何を言われようと俺には関係ない。」


きっぱりと言い切った。


ああ、そうか。 やっとわかった。


私が秀くんに何1つ勝てない理由ワケ


秀くんは自分の意志がちゃんとあるんだ。


ブレずに、ちゃんと。


悔しいな!  私もそうなりたい!


「秀くん、じゃあ、お願いがあるの。私の為に…」



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