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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
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4年生


私の身体は相変わらず


無理をするとやっぱり動けなくなってしまう。


自分の部屋の窓から外を見渡す。


隣の家の庭が見えて、そこには秀くんの姿があった。


サッカーボールを蹴り上げリフティング。


なるほど!リフティングならそんなに動かないし


私も練習をすれば出来るようになるかな?!


負けず嫌いの私は秀くんに勝てるものを模索する。


最近は遊ぶだけじゃなくて、秀くんは私の勉強まで見


てくれるようになった。


クラスのみんなに置いていかれたくはない。


でも、本当は勉強こそ秀くんに負けたくない。


…秀くんて何であんなに色々出来るんだろう…


それは私だけでなく、周りも感じているみたい。


元々人当たりが良くて優しい秀くん。


それだけで色々な人に好かれていたのに、


最近ではスポーツが出来る、勉強も出来る、


と認知されて、男女問わず益々ファンが


増えている気がする。


よく「秀くんかっこいい!」 だの


「すごい!」 だののワードを聞くようになった。


まぁ、確かにすごいよね。何聞いても出来てるもん。


悔しいなぁ! 


今日も私はベッドの上。算数のドリルを進めていく。





1週間ぶりの登校。 再登校はいつも行きにくい…


友達の反応とか、何となく気にしてしまう。


4年生になると女子は仲良し同士のグループを作る。


進級日から数日間休んでしまった私は


見事にどこのグループにも属せず、


浮いた扱いになった。


まぁ、慣れてるんだけど…  馴れないよね… (笑)


秀くんは1組。私は3組。


相変わらず秀くんの周りは人が沢山…


私は独り… じわっ 


ああ、なんて無意味な比較


涙を堪えるのに必死になる


深呼吸して気持ちを整えていると


廊下が騒がしくなった。


目を移すと秀くんがいた。


「あっ、秀くん!」「秀!どうした?」


クラス中の注目が秀くんに集まる中、


秀くんはそのまままっすぐ私の所に来た。


私は驚いて少し身構えた。


学校で会う人気者の秀くんは… 苦手


でも秀くんは相変わらず。


家も学校も関係なく私に接してくる。


秀くんは私の顔を覗き込むと


「ちょっと外出よう?」と言ってきた。


「え…っ。もうすぐチャイムなるけど…」


「いいから!あと3分ある!」


そう言うと秀くんだけ先に出て行ってしまった。


私も慌てて秀くんについて行く。


階段を上って屋上の扉付近まで来ると


秀くんは急に振り返って私をぎゅっと抱きしめた。


「こういう事、みんなの前でされたくないでしょ


う?」


秀くんが笑いながら言った。


私は何か言い返したかったのに言葉が出なかった。



いつからかな?


私が不安そうにしていると


秀くんがぎゅっと抱きしめてくれる様になった。


それは効果的面で


安心する


「大丈夫だよ」


背中をトントンされる度に


何か心の奥の固まりが解けていく様に感じる


すっかり落ち着いた私は


小さな声で「ぁ りがと ぅ」 と言った。


私は自分でもわかるくらい顔が真っ赤だった。


私の不安に気がついてくれて、


どうしたら私が安心できるのかも知っている。


それを純粋に嬉しいと思ってしまう自分と


悔しい。敵わない。と思う自分。


どちらも今は恥ずかしく思う。


秀くんはそんな私の様子を「ツンデレ…?」


とからかう。


うん。大丈夫だよ。


今日はランドセルにツヨスギマンの消しゴムも入って


るんだから!


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