負けず嫌い
あれからツヨスギマンの消しゴムは
秀くんに返そうとしたのに
「お守り」って秀くんが笑って
受け取ってくれないから
今も机の上にいて
その存在はいつしか
私を応援してくれる小さくて大きな存在になって
本当に神様の様に 守られているみたい。
その後の学校生活は
今まで以上に慎重になるしかなくなって、
お友達とも放課後には遊ばない様にした。
でも週の2回くらい
秀くんがウチに遊びに来るようになった。
一緒に本を読んだり、トランプをしたり、
ママとの散歩についてきたりした。
私は前より秀くんの事が嫌ではなかった。
秀くんは相変わらず沢山の友達に囲まれて、
休み時間も校庭で元気に遊んでいたから
私といて退屈じゃないのかな?
と少し心配したのだけど、
秀くんは本当に楽しそうに
私に話しかけてくれるから、
いつしか不安もなくなっていった。
秀くんは家でも学校でも変わらない様子で
私に話しかけてくれるから、
そんな事がきっかけで私も少し友達が増えていった。
ある時秀くんが私にお願いがあると言ってきた。
珍しい!
なあに?と聞くと、
「今度のサッカーの試合に来て欲しい」と。
「みおちゃんがいてくれるとすごく頑張れそう
なんだ!奏ママと一緒に来てよ。」
と言われた。
いつも助けてくれる秀くんのお願い。
出来ることなら叶えてあげたいところなんだけど
「…ごめん。そのお願いは…ちょっと…ムリ」
秀くんはまさか断られると思っていなかった様子で
「ええっ?! ムリ?!」と驚き、
ショックを受けていた。
「どうして?」眉毛が下がって少し泣きそう?
私は心底申し訳なく思った。バツが悪い…
「あのね、秀くんの事また嫉妬しちゃうと思うの。
あんなに動けていいな〜!とか。」
こんな事で嫉妬とか、心が狭い。
恥ずかしいよね。 でも仕方ないよ。
本当に悔しく思ってしまうんだもの。
こんなに気にかけてくれる秀くんに
もう嫉妬したくないの。
秀くんは私のそんな言葉を聞いて
「そうなんだ!」と苦笑いした。
「みおちゃんってもしかして負けず嫌い…なんだ?」
私は笑って答えた。
「そうよ! 悪い?!」
こんな日々を私は幸せに感じる様になっていった。