それぞれ
あっという間に年が明け、
そこからは指折り数えながら中学受験を迎えた。
親子面接もあった為、お父さんとお母さんにも
協力して貰って、私は無事にKM女子中学校に
合格した。
来月からは怜那ちゃんとドキドキ女子校ライフだ。
合格発表を喜ぶ間もなく、私達はあっという間に
卒業式を迎えた。
色々あった小学校生活
今日でみんなとお別れ。
この6年2組は仲が良かったから
ちょっと寂しいな…
クラスを見回す。
みんなそれぞれ
スーツだったり 新しい学校の制服だったりする。
私は髪をアップにして、袴姿。
卒業式前だけど、もうすでに泣きそう…(笑)
「あ、いたいた!美織~、写真撮ろ〜♡」
春花ちゃんが実紅ちゃんを引き摺る様にして、
腕組みしながらやってきた。
「え…っ、2人共、双子コーデ?」
ツインテールにレースのリボン
コスプレを思わせるかわいいデザインの制服スーツ
でやってきた。
実紅ちゃんは嫌そうだけどめちゃくちゃかわいい!!
元々のふわふわした髪の毛が縦ロールにうねって、
クリンとした大きな目が制服デザインに
負けてない…!! 美女恐るべし…
春花ちゃんも今日は髪の毛を巻いて、
元々の可愛らしいキャラクターと制服が合ってて
良い!!
「可愛いー!2人共、すごい可愛いいー!!」
私は大興奮する。
「美織、おじさんみたい…」
呆れ声で後ろから言ってきたのは怜那ちゃん!!
これまた袴姿にポニーテールで…
「美しい〜!怜那ちゃん、美しいよぉ〜!」
これまた大興奮。
同じ袴な私は何だか…引き立て役に思えてくる。
「何言ってるの、美織も凄く可愛いよ!」
怜那ちゃんに言われると嬉しい。
廊下に出ると長蛇の列が出来ていた。
何の列?と先頭の方を見ると、秀くんがいた。
コレは…
「何これ、アイドルの撮影会じゃん…」
怜那ちゃんがウンザリした顔をする。
「みんなよくやるわ〜…。彼女持ち相手に…」
若干引いてる
「美織も並んどけば?
っていうかみんなで並んどく?」
春花ちゃんがニヤニヤ楽しそうに提案する。
2ショットはみんなの前で恥ずかしいけど
このメンバーとなら確かに楽しいかも!
「私はいいや。」
実紅ちゃんが抜けようとしたので、私はガシッと
実紅ちゃんの腕を掴む。
実紅ちゃんが驚いた顔で私を見る。
『知ってるよ。
実紅ちゃんがまだ秀くんに気持ちがある事…』
私は何も言わずに実紅ちゃんの目を見つめる。
『気持ちを伝えなくていいの?』
「…。美織ちゃんって本当にお節介…」
実紅ちゃんはため息をついて列の並びに戻る。
私達の撮影の番になると
秀くんがウンザリした顔をした。
「何でわざわざ並んでるの…」
秀くんの質問に春花ちゃんが答える。
「面白いからだよ~♡」
そう言ってみんなで写真撮影をする。
撮影が終わると私は怜那ちゃんと春花ちゃんの
手をひいて列から外れる。
実紅ちゃんと秀くんを2人きりにして、
「たまには2人で仲良く写真を撮りなよ!」
と言って離れた。
「えー…。」
嫌そうにする秀くんに実紅ちゃんが話し掛ける。
「私も理玖見習って、いい加減、終わりにする。」
「え…」秀くんが驚いた顔をする。
「だってこの写真会って、
そのためのモノなんでしょ?
みんな、秀との事を思い出にするために並んでる、
バカらしくて残酷で切ない…自分の為の撮影会、
そうでしょ?」
秀くんは何も言えなくなった。
「お疲れ様ね…。最後くらい私の為に笑ってよ。」
撮影が終わって離れようとする実紅ちゃんを
秀くんが呼び止める。
「実紅…ありがとう。実紅も理玖もオレにとっては
大切なイトコだから…」
実紅ちゃんの背中に話しかけた。
「秀って本当に残酷ね。今日だけで何人を
泣かせたのかしら? いつか地獄に堕ちるわ…」
涙目の実紅ちゃんは秀くんに振り向かずに
こっちに歩いてくる。
実紅ちゃんは私に抱きついて、秀くんにしていた
みたいに頬にキスをした。
その場にいたみんなが驚く。
「後は美織ちゃんに譲ってあげるわ」
そう言うと、春花ちゃんと一緒に行ってしまった。
涙 涙 の卒業式が終わって
クラスでの記念撮影も終えた私達は
名残惜しくもこのクラスを後にする。
「榊さん…」
帰り際に小宮山くんに声を掛けられた。
「あ〜!!小宮山くん!!!
何か、最後だけど名残惜しいね〜…」
小宮山くんの顔を見ると、浮かぶのはやっぱり
運動会。
「小宮山くんのお陰で本当に楽しい運動会だったよ!
私のピカ1の思い出!
楽しい1年間にしてくれて本当にありがとうね!」
心から言える。小宮山くんを見ると笑顔が出てくる。
「榊さん…オレ、榊さんの事、好きだよ。」
突然の小宮山くんの告白に驚く。
「え?」聞き間違い?なにかの冗談?
私が困惑していると
「大翔…(怒)! 」
小宮山くんの後ろから静かな怒りを秘めた秀くんが
近づいてきた。
が、小宮山くんは構わずに私に喋る。
「あの運動会で榊さんに惚れたヤツ、
いっぱいいたと思うよ。でも秀が相手だから、
みんな負け戦をしないだけで…。
だから、オレが代表して告白しに来ました。」
小宮山くんの妙な告白に大笑いしてしまう。
「あははははは!! 代表で?」
笑い過ぎて涙目になる。
「榊さんのその笑顔、最高!こっちこそ1年間
ありがとう!秀に愛想尽かしたら付き合ってよ!」
小宮山くんの笑顔こそ、最高だよ。
「そうする !」
私が笑顔で答えると
「みおちゃん!!」
秀くんがまだ怒ってる。
「美織ちゃ〜ん!」
今度は後ろから理玖くんに呼ばれた。
かわいい男の子がスーツ着てる!!!
立ち眩みモノだ〜 ///
「秀ったらヤキモチ妬いてるの?嫌だね~!
ね〜、美織ちゃん♡学校帰り、駅で待ってるから
今度エルダナの話をしようよ~♪」
理玖くんがにこにことエルダナ話を持ちかけてくる。
「したい、したい! いつにしようか?」
私がるんるんで理玖くんと約束をしようとすると
「ダメ…絶対にダメ!特に理玖はダメ」
と見たことのない背筋の凍る程の圧力で
秀くんが邪魔をしてきた。
「秀のいない時に約束しよ?」
理玖くんがこしょこしょ話をして残念そうに離れた。
下駄箱から上履きを引き上げる。
お世話になりました。
下駄箱に触れながらお礼をして顔をあげると
日戸瀬さんが居た。
「S中やめたんだ…?」
静かに日戸瀬さんが言い出した。
「KM女子に行くよ。」
私は日戸瀬さんの目を見てしっかり伝える。
日戸瀬さんは少し驚いた顔をしてから笑った。
「…変わったね、榊さん。
前に認めないって言ったけど…撤回するわ。」
それだけ言うと離れて行ってしまった。
昇降口を出ると
秀くんが待っていてくれた。
「オレの大好きな幼馴染の子、モテすぎ。
オレの身が保たない。」
差し出してきた秀くんの手を取る。
「オレの大好きな幼馴染って誰のこと?
私の大好きな幼馴染もモテすぎて
私も身が保たないなー!」
私は笑って、私より少し背が高くなった秀くんを
見上げる。
秀くんの手が私の頬に触れて唇にキスされる。
「スキがありすぎて… 先が思いやられるよ… 」
キスしてきたのはそっちなのに
何故か秀くんの方が耳まで赤くなっていた。
4月からは秀くんもS大附属中学校。
それぞれが決めた それぞれの道へ




