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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
40/50

ワンコ系

突然の秀くんのイトコの登場から


私は気の抜けない日々を送っていた。


というのは、


全然理玖くん…?と言う子が現れないからだ。


もっと恐ろしいのは、


ふとした時に視線だけ感じる。


怖い!


向こうは知っているのにこっちは知らないなんて…。


心配した秀くんがちょくちょく私の所に来るけど、


その度に実紅ちゃんに抱きつかれて


疲弊して帰って行く。


何だかなぁ…。


しかも怜那ちゃんと一緒に


3組に偵察に行くと、決まって居ない。


最早実際にいるのかさえ怪しい。


3組の子の情報によると


すごく大人しい子だと言う。



転校生が来て早1ヶ月がたつ頃には


その警戒心も薄れて、存在を気にしなくなっていた。


もうすぐ夏休みだなー


そんな事を思いながら


相変わらず図書委員を務める私は


本の貸し出し席に座る。


「…あの、この本を借りたいです。」


そう言って1人の男子が申し訳なさそうに


本を読んでいた私に本を差し出した。


私は貸出用のカードを受け取って手がとまった。


6-3 一ノ瀬理玖 


息を飲んで静かに顔をあげる。


そこに居たのは


何とも可愛らしい目のクリンとした男の子。


髪の毛は実紅ちゃんの様にくせっ毛らしくて


ふわふわと色々な方向に毛先が遊んでいる。


よく見るとパーツが秀くんにも似ている。


鼻の筋の通った感じ、口とか目の形…。


雰囲気は全然違うけど…


秀くんはクール系。理玖くんはワンコ系…。


背も低くて、本当に可愛らしい男の子って感じ。


屈強剛腕な男子を想像していた私は


あまりにも違ったので拍子抜けしてしまった。


「え…っと?」


私が止まっていたので理玖くんが困っていた。


「は…っ!ごめんなさい!」


慌てて貸出し手続きを進める。


「お待たせしました!」


そう言って笑顔で本を手渡す。


「…っ!」


私は理玖くんの借りた本のタイトルを見る。


「エルダナの冒険18巻」


…?!


エルダナ好きなんだ〜!!!!!


私の中でググっと親密度が勝手にアップした。


エルダナ好きに悪人なし!


私は心の中でくすぐったい気分になった。


「あの、榊美織ちゃん、でしょ?」


本を両手で抱きしめて


恥ずかしそうに話しかけてくる。


何だか同学年に思えなくて、


低学年に話す様な気分になる。


「そうだよ。えっと…理玖くん?って


呼んでいいのかな?」


下を向いて頷く。顔が真っ赤。


かわいい!!!


「その本面白いよね!」


言ってみると


「美織ちゃんもこの本が好き?


僕は8巻が好きなんだ。


親友クレフの暖かい友達の話だよ。」


喋り方もおっとりしている。


しかも 僕 って! 6年生で?!


最早国宝級の逸材なのでは?


希少価値過ぎる!


こういうのを尊い…っていうのか!(笑)


私の心の中はお花が舞って饒舌。


「私も8巻が1番好き!」


同意して微笑むと理玖くんは嬉しそうに笑った。


悪い子じゃなさそうで良かった。


こんな子なら仲良くなれそうかな?


チャイムがなって図書館の閉館時間になった。


「…!あ、ごめん。鍵かけなきゃ!


また今度 本の話が出来たらいいね!」


そう言って理玖くんを送り出した。


「うん。また今度…。絶対ね?」


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― 新着の感想 ―
[一言] げ!またしても秀くんのライバルになりそうな男の子が!
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