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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
38/50

かわいい

気がつくと私は布団の中にいた。


あ…れ?


それから私の手を握ってすーすーと寝息をたてる


黒い髪の毛が見えた。


え…っ? 秀くん??!


驚いて起き上がる。


ズキッ 痛みが走る…


ここは…?と見回す。 私の部屋。


それからゆっくり思いだす。


えっと… 私、立ち眩みがして


秀くんに安心して…


意識飛ばした!!!


秀くんを見ると爆睡してる。


疲れたよね。


私も、筋肉痛だ…。


それからいっぱい困らせた事を申し訳なく思った。


秀くんの髪を撫でて


起こさない様に頭をそっと抱える。


「秀くん、いっぱいごめんね。」


寝ている秀くんにそっと謝った。


次の瞬間、急に秀くんに手首を掴まれて


ベッドに押し戻される。


「?!!」


秀くんが寝ていると思っていた私は


一瞬何が起こったのかわからなかった。


「…本当に反省してるの?」


秀くんが私を見下ろす。


秀くんの目はどこまでも静か…


怒っているのか悲しんでいるのかわからない。


ただただ私を静かに見下ろす。


「 … 」


私は金縛りにあったみたいに動けなくなる。


秀くんの目を見つめたまま動けない。


秀くんは暫く私を見下ろした後


手首をひいて私をベッドから起こした。


そのままベッドから下ろされて


床に座らせられる。


秀くんも向かい側に腰を下ろしてから


私の様子を伺う様に見る。


「具合は大丈夫そう?」と聞いてくる。


私は無言で頷く。


「… この2週間…きつかったよ?」


秀くんが目をそらさずに私に話しかけてくる。


私は声がうまく出せなくて頷く。


私の様子を見ながら秀くんが続ける。


「何でみおちゃんと敵対することになったのか


意味がわからなかった。」


私はまた頷く。


「でも、みおちゃんが望んでいる事ならって、


受け入れようとすればするほど頭にきて、


悲しかった…よ。」


悲しかった そう告げた瞬間に


秀くんの瞳が揺らいだ。


「みおちゃんが望む


悪役に成り切る事だけを意識して、


後は何も考えない様にしてた。」


秀くんの苦しくて切ない思いを


1つ1つの言葉から感じて、胸が苦しい。


出来ることなら今すぐにその口を塞いで


もう喋って欲しくないと感じるくらい


聞いていられなくさせる。


でも、そんな思いにさせたのは私なんだって


改めて感じて


罪を償う様な気持ちで


秀くんの話を聞き続ける。


「…そんなにオレってみおちゃんにとって


勝ちたい相手なの?」


眉毛が下がって今にも泣きそう。


違うの そんな顔をさせたい訳じゃないの…


「オレはいつでもみおちゃんの味方でいたいのに…」


秀くんの気持ちが溢れる。


堪えられなくて秀くんに抱きつく。


「ごめん。」


ぎゅうっと秀くんの頭を抱きしめる。


私の首に秀くんの涙が伝うのを感じる。


ごめんね 


ごめんね 


ごめんなさい 秀くん…


私に泣く資格なんてない


必死に涙を堪える。


暫くすると秀くんが手で遮って私から体を離す。


「オレ悲しいし、怒ってるよ?」


秀くんが涙を拭きながら訴える。


「ちょっとはオレの気持ち考えてよ…。


大翔なんか応援しやがって、本当に許せない…」


こんなに秀くんが泣きながら喚くのを


見たことがない…


私は秀くんが怒っているのに


段々かわいく思えてしまって思わず笑ってしまった。


「…(怒)何で笑ってるの?!」


本気で怒ってる…のに


「や… ごめっ…」


見れば見る程おかしくなって目をそらす。


肩が揺れてしまう…


「みおちゃん!!!(怒)」


「あはははは〜」


堪えられなくて笑いだしてしまった。


秀くんは真っ赤な顔して怒っている。


「…っは〜っ」涙をふいて秀くんに向き直る。


「ごめんなさい。あんまり見たことない秀くん


だったからかわいく思えちゃって…」


「☆ かわ…っ?! …こんのっ!


人が真剣に怒ってるのに…」


あ、まずいな… 油注いじゃった…


「あ…ったまに来た…」


肩をぐいっと引き寄せられてキスされる。


「?!!」


顔を押さえられて身動きが取れない。


長いキスの後


今度はちゅっと短いキス


私は顔が赤くなっていくのを自覚する。


秀くんのキスの感覚が唇に残って目を瞑る。


また短くちゅっとキスされた後に


秀くんが顔の絆創膏を剥がす。


「…っ!」


剥がすときに少しの痛みを伴う。


秀くんはキズ口を確認すると労る様に指でなぞる。


それからキズ口に優しくキスをする。


「こんなキズまで作って…」


パジャマのズボンの上からキズが隠れている両膝に


そっと手を置かれる。


「ダメでしょ?」


耳元で直接言われて 頭の中で木霊する。


私は何も考えられなくなる。


秀くんは暫く優しい手付きで頬や髪を撫でる。


それから耳の形を指がなぞるから


私は耳まで赤くなる。


「眼鏡も…外しちゃダメって言ったでしょ?」


また耳元で言われる。


私は全身に力が入らない。


秀くんが両頬を手で挟んで


もう1回 ちゅっとキスをする。


私の真っ赤な顔を確認すると


にっこり満足そうに微笑む。


「かわいいー♡」


からかわれてるとわかって


キッと秀くんを睨む。


「次は襲っちゃうよ?あんまり怒らせないでね?」


そう言って秀くんは部屋から出ていく。


「お大事にね。 筋肉痛も(笑)」


パタンと閉まるドアに枕を投げつける。


悔しい!


筋肉痛まで!!


何でもお見通しみたいに…


あんな からかい方…


私は暫く動けなかった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 美織ちゃんから見ると秀くんは余裕しゃくしゃくに見えるけど、秀くんだってまだ子供だし、心の中はいっぱいいっぱいなんだろうな。 秀くん視点の話も読みだいところ。
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