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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
37/50

結果

閉会式


私は再び秀くんの隣に並ぶ事に…


秀くんは前を見たままこっちを見ない。


これはよいよ嫌われたかな?



「結果発表を行います」


アナウンスが流れ


窓に貼られた点数表にみんなが注目する。


今日までみんなで頑張ってきた。


最後に勝って、みんなで笑顔で終わりたい…!


両手を握りしめる。


祈る様な気持ちで窓を見つめる。


100の位から白組、赤組と幕が開く。


白組 36□点  赤組 36□点


1の位の数字が勝敗を分ける接戦となった。


白組 365点


赤組…


362点



私は窓を見つめたまま動けなくなった。


遠くで歓声が聞こえる。


「…クソっ!」


小宮山くんが小さく後ろで悔しがる。


「榊さん…」


小宮山くんに肩を叩かれて


振り返る。


小宮山くんを見た瞬間に色々な気持ちが込み上げる。


みんなと練習してきた日々が頭を巡る。


小宮山くんが私を見て固まる。


「…っ 悔しい…!」


頬に涙が伝う。


自分の腕を両手で包む。


「…悔しいよ! 小宮山くん!! 」


声が震える。


涙が溢れる。


「…榊、さん…」


胸に来る込み上げる思い。


「う〜っ…」堪らずに目を瞑る。


ぎゅっと自分の腕を抱きしめる。


「これでもまだ秀くんに勝てないなんて…っ!」


声を絞り出す。


悔しい! 悔しい! 悔しい!


みんなを勝たせてあげたかった!!!


ぎゅうっと横から抱きつかれる。


「?!」


秀くん…?


「…っ!ばか!秀くん、強すぎるよ!」


泣きじゃくる。


秀くんは何も言わずにただただ私を抱きしめる。


その光景は、みんなの目には


お互いの健闘を讃え合っている様に見えたみたいで


拍手が沸き起こる。




「…美織、勝ちたかったね。」


教室で着替え終わって怜那ちゃんが声をかけてきた。


「みんなを勝たせたかった…!


やっぱ、私じゃダメだったな…」


私がぼやくと


「何言ってるの!美織は立派にやりきったよ!」


怜那ちゃんが励ましてくれる。


と、そのやり取りを聞いていたみんなが


会話に入ってくる。


「榊さんカッコ良かったよ!私、惚れた!」


「負けたのは悔しいけど、すごい楽しかった!」


「そうそう!榊さんが一生懸命にみんなを


引っ張ろうとするから!こっちも夢中だった!」


小宮山くんも声をかけてくれる。


「オレ、榊さんが応援してくれたから


秀に勝てたと思ってる。


最後のリレーも諦めずに走れた!


ありがとう、団長!」


小宮山くんの晴れ晴れした笑顔を見たら


ちょっとは役にたてたのかな、って嬉しくなった。


みんなでわいわい騒ぎながら教室を出ると


ふらっ…


立ち眩みがした。


あ、ヤバ…  電池切れ…


私は前を歩く小宮山くんの背中に激突した。


「…え?美織?」


隣を歩いていた怜那ちゃんの慌てた声。


「大丈夫か?」小宮山くんが私を支えてくれる。


「大翔、離れて。」


どこからか秀くんの声がする。


割って入ってきて


私をその場にしゃがませる。


私は秀くんに体を預ける。


それから「頑張り過ぎ!」と叱られる。


「…秀くんに勝ちたかった〜」


私は意識が朦朧とする中うわ言を言う。


秀くんは溜息をついた。


「みおちゃんが団長の時点でオレのメンタルは


ズタボロ…。こんな卑怯な戦い、


意地でも勝つでしょ!」


秀くんが私を見下ろす。


「え…っ?」小宮山くんが驚く。


「榊さんって秀の弱点なの?」


その言葉に秀くんが静かに静かに振り返って笑う。


「よくも彼女を焚き付かせたな…。


実に見事な良い作戦だったけど、


大翔、許さないよ?」


その場にいたみんなが凍る。


「や、オレじゃない!佐々木さんだろ?!」


小宮山くんが慌てる。


「え…っと、私…か!あはははは〜」


怜那ちゃんが冷や汗を流す。


「佐々木さん、面白がるのもいい加減にしてよ?」


秀くんが怜那ちゃんに冷ややかに伝える。


「…秀くん。」袖を引っ張っる。


「私、団長出来て…楽しかったよ。」


にこっと笑う。


秀くんが深い深い溜息をつく。


「〜/// みおちゃんには敵わないよ…


そんなに嬉しそうな顔されたら


怒れなくなるよ…。」


私の顔の絆創膏を撫でる。


「人の気も知らないで… 」


私はそのまま安心して意識を手放した。






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