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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
36/50

花形種目

色別対抗大縄跳び


この種目も我が6年赤組は一致団結して


取り組んできた。


1分間の練習の後に3分間で飛んだ回数を競う。


これも白組には10回の差をつけて勝った。



お昼を挟んで応援合戦が始まる。


秀くんと並んで入場して中央で左右に分かれる。


まず白組からの応援合戦。


こんなに大勢の人に見られていても秀くんは


落ち着いているし、声がよく通る。


いや、カッコいいな。


だれ?あの人…(笑)


続いて私の番。


学校でも家でも体が勝手に動くくらい練習してきた。


みんなの心をひとつにすること。


私に課せられた大切な役割。


この発声だって


怜那ちゃんがしっかり叩き込んでくれた。


すうっ


お腹から声を張る。


「最後まで心をひとつに駆け抜けるぞ~!


今年優勝するのはどこの組だ〜」


「赤組だ〜!!!」


「打倒白組!今年は絶対に我ら赤組が勝利する!」


高らかに宣言して太鼓の音と共に駆け足で退散する。


拍手で赤組の席のみんなに迎えて貰った。


「いや、団長、カッコ良かった!」


小宮山くんの仲間達が声をかけてくれた。


「美織〜!カッコ良すぎて惚れたよ〜!」


春花ちゃんが涙目になってる。


「いい声出てた、美織。後半も頑張るよ?!」


怜那ちゃんも満足してくれたみたいで安心した。



午後は何と言ってもリレー選手の対抗リレー。


ここが1番点数が高い。


私は応援団長として熱が入る種目でもある。


気合いを入れていたその時、


急に染谷先生から呼ばれた。


「飯田さんが足を捻っちゃったみたいでね、


リレー選には榊さんが出て下さい。」


と突然言われた。


ええっ?!


予期せぬ出来事に慌てる。と


飯田さんが私の両手をぎゅっと握ってきた。


「榊さん、本当にごめん。」


私は飯田さんの無念を


その手の握りから痛い程感じ取った。


やるしかない!!!


赤組の応援席に戻ると怜那ちゃんが心配そうに


「何だった?」と声をかけて来た。


私は袴を脱ぐ。


「飯田さんがケガした。私がリレー選に出る。」


それだけ言うと怜那ちゃんも一瞬動揺を見せたけど


頷く。


「いいね、最高の運動会じゃん!美織持ってるね!」


私達は揃って選手の集合場所へ向かう。


私は最後から2番目。アンカーの怜那ちゃんに


バトンを渡せばいい。


白組のアンカーは日戸瀬さん。


「あら。驚いたわ。


こんな所に榊さんがいるなんて。


榊さん相手なら白組は圧勝だわ!」と


完全に見下された発言をされた。


怜那ちゃんも私もスルーしたが心の中では


ふつふつと闘志が燃えたぎった。


リレーの待機場所に移動する時に私は春花ちゃんに


眼鏡を預けた。


「…見えるの?」春花ちゃんが心配そうだったけど、


「大丈夫。寧ろ眼鏡がジャマなの。」というと


笑って預かってくれた。


本気モードにしてくれて


日戸瀬さん、ありがとうね!


5年生の選手からスタートして


校庭を一周ずつ走っていく。


6年生の番になり、


応援も今日1番の盛り上がりを見せる。


スタートラインに立つ。


赤組は白組にリードを許している。


私は…追いつくのは難しそうだけど


せめて離されない、逆転を狙える位置で


怜那ちゃんに繋ぎたい。


白組の選手が先に出て割とすぐにバトンを受け取る。


「榊さん!任せた!」


前走者の原さんが頑張って距離を詰めてくれた。


しっかりバトンを受け取ると


白組の選手を追いかける。


この距離なら追いつけるかも…!


位置を確認しながらスピードをあげる。


もっと詰められると思ったのに


最後の直線で並走するのがやっとだった。


なんとか白組の選手に喰らいついて


怜那ちゃんにバトンを渡す。


「よくやった!後は任せろ!」


怜那ちゃんが力強く飛び出していく。


怜那ちゃんにバトンを渡して安心した瞬間


足がもつれて派手に転んだ。


係の人や先生達に引き摺られる様にその場から


離されたが、私の目線は勝負の行方を追い続ける。


アンカーは2周。


日戸瀬さんは全学年間アンカーを務める


バスケクラブのエース。


足の速さは有名。


でも怜那ちゃんも運動神経バツグンの才女。


手に汗握る って、こういう事?


白組、赤組共に応援が白熱する。


2周目に入ろうとする所にいた私は立ち上がって


怜那ちゃんを応援する。


一緒にみんなで練習してきた。


勝ちたい!!負けたくない!!


1周半保ってきた接戦は最後の直線に持ち込まれる。


直線に入った瞬間、怜那ちゃんが先に出る。


そのまま日戸瀬さんを置いて逃げ切り、


赤組が先にゴールした。


「〜っ!!やった〜!!」


怜那ちゃんに近づこうとした瞬間痛みに気がつく。


足を見ると両膝から流血。


近くにいたみんなに慌てて救護班に引き渡された。


保健室で手当てをした時に初めて


頬からも流血していた事に気がつく。


3か所とも大したキズではないので絆創膏を貼って


戻る。


眼鏡してなくて良かった(笑)


男子のリレーはまだ始まっていなくて安心した。


コレが最後の戦い。


男子選手の入場がアナウンスされる。


白組のアンカーは秀くん。


赤組のアンカーは小宮山くん。


本日2回目の対戦だ。


応援席に戻ると女子のリレーを讃える歓喜。


「お疲れ様〜!って、なにその顔と足!」


春花ちゃんが私のケガに気がついて震える。


私は袴を羽織り直して男子の応援に備える。


「みんな、泣いても笑ってもコレが最後!


赤組、応援するよ〜!」


1年生から6年生に声をかける。


お〜っ!!!!


その声援に気がついた小宮山くんと目が合う。


小宮山くんは親指を立ててグーサイン。


拍手して私の活躍を讃えてくれた。


私はグーを突き出して小宮山くんを激励する。


小宮山くんの隣で待機する秀くんから


何やらドス黒いオーラを感じる。


…私、運動会終わったら秀くんに


めちゃくちゃ怒られるのかな…?


それとも無視? 


今は考えるのを止めよう…


スタートの合図がしていよいよ最後の種目が


始まる。


5年生最後の白組の選手が異様に速くて


赤組が少し遅れる。


それでも何とか喰らいつくけど


ちょっとずつ差が大きくなってきた。


最後のアンカー秀くんはバトンを受け取ると


追撃を許さないハイスピードで


スタートする。


遅れてバトンを受け取った小宮山くんとの差は


半周遅れ。


それでも小宮山くんの目は諦めていない。


こちらも負けじと声援を送り小宮山くんの


後押しをする。


結局そのまま差は縮められずに秀くんが先にゴール。


小宮山くんも最後まで全速力だったから、


ゴールした瞬間は小宮山くんを讃える拍手が


会場中から聞こえた。


「あ〜…あれだけ開いちゃうとね〜。


相手廣澤くんだし…。残念だったね!」


怜那ちゃんに声を掛けられた。 


こうして全プログラムは無事に終了。


あとは結果を待つのみとなった。






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