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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
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6年生

春休みが開け、とうとう最終学年の6年生になった。


秀くんは1組。私と怜那ちゃんは2組になった。


始業式の日


私は1人の男子に初めて声をかけられた。


「ねー、榊さんって秀と幼馴染なんだろ?」


「うん。そうだけど…?」


「なぁ、なんかアイツの弱点知らない?!」


至ってマジメに彼は聞いてきた。


「弱点?!」


ちょっと驚いてから頭の中を巡らせた。


秀くんの弱点…


「…嫌いなモノも無いし、あっ…!」


「あっ…?」


私の様子に彼が期待の目線を送る。


「お兄ちゃん…が苦手そう…?」


「兄?!」食い付く。


「あ…、でも逆に起爆剤か…」


私が思い変えしを口にすると


彼はわかり易く落胆した。


「起爆剤は逆効果だ!」


チッと舌打ちする。


「他には…何かないか?!」


と先を急かされる。


「特に…無いのかな…?」


それを聞いた彼は嘆きの声をあげた。


「マジか〜!幼馴染をもってしても


弱点が見当たらないとは…!


完璧人間か!アイツは…」


周りの男子達も会話に入ってくる。


「あ〜?秀の話?」


「そうそう。オレ、アイツと同じサッカーチーム


なんだけど、サッカー上手いわ、人望厚いわ、


カッコいいわ、オレなんにもアイツに


勝てないんだよね。」


「え〜?小宮山だってレギュラーじゃん!」


「そういう問題じゃないんだ。問題は 対 秀


なんだ。」


「あ〜!なんかわかるわ。勉強も出来るし…」


「スポーツなんでも上手いし…」


その場で話していた男子達から


淀んだ空気が生み出される。


「今年最終学年じゃん?何か1つでいいから


アイツに勝って卒業したいよね〜」


その言葉を聞いて私も内心激しく同意する。


「1人の力じゃ勝てなくてもさ、みんなででも


いいな!例えば…運動会?」


1人の男子が提案する。


「それいいな!」


その場のみんなが盛り上がる。


「何、何?」 


賑わいを聞いて女子達も入ってくる。


「運動会、優勝して卒業したくね?」


「いいねぇ!」


みんなの目が輝いていく。


「1組が赤で2組が白だな…。打倒赤チームだ!」


「1組だと秀くんがいるね。あと日戸瀬さん。


あの2人、リレー選手から外れた事ないよね。」


女子の1人が言い出す。


「大丈夫でしょ!


こっちは怜那ちゃんと小宮山くんがいるもん!」


こうしてまだ6年生の初日だというのに、


6年2組は勝手に打倒1組、元い、打倒 廣澤秀


に燃えていた。



そんな事を何も知らない秀くんはと言うと…


榊家ー


私はリビングで勉強を進める。


その横でさっきから秀くんに見られているのが


気になる。


にこにこにこにこにこにこにこ…


「〜秀くん! 気になるんだけどっ!」


堪らずに秀くんを怒った。


「ごめん。ごめん。眼鏡姿のみおちゃんも


かわいいな〜と思って♡」


そう。私は目が悪くなって


眼鏡をかけることになった。


全く見えない訳じゃないんだけど、


あった方が見えやすい。


「面白がってるでしょう!」


と更に怒ると


「とんでもない!心外だなぁ!」


秀くんはオーバーに傷付いた様な顔をする。


それから秀くんの手が眼鏡に伸びてきて、


外された!


「ちょっと!」


視界が微妙にぼやける。


「みおちゃん、学校では眼鏡を付けた


ままなんでしょう?」


秀くんが顔を近づけてくる。


「…多分。そうなっちゃうかな?」


「うん。無理しない方がいいね♡


オレもつけたままの方がいいと思う♡」


何でか?


さっきから気遣って貰っているというよりは


喜んでいるようにみえるんだけど…。


「…何でそんなに嬉しそうなの?」


不満を漏らす。


「だってみおちゃんのメガネ無しのかわいい顔、


みんなに見られたくないし♡」


にこにこにこにこにこにこにこ…


私は溜息をついた。


「…っていうか、


2人きりはダメなんじゃなかったの?」


軽く睨む。


「みおちゃんが警戒しておけば良い話だよ。


それにオレ、彼氏だよ?」


にこにこにこにこにこにこにこ…


〜っ、付き合いきれない…


本当に…私も何か卒業するまでに


秀くんに何か1つでいいから勝ちたいな…!


秀くんの「参った!」って顔、見てみたい。


私も運動出来たらなー


打倒 秀くんでみんなと一緒に盛り上がれるのに…


「ね?みおちゃん。キスしていい?」


突然の秀くんのお断り。


「…はい?」


「無理矢理は嫌だから。


みおちゃんの気持ちをちゃんと守るのは


母さんとの約束だから。」


千景さんが以前言っていた


秀くんと約束している事って


『私の気持ちを守ること』 だったんだ…


静かに秀くんを見つめる。


懇願する様な、


子犬が上目遣いにおねだりする様な顔。


私はどうも秀くんのこの表情に弱い。


玲那ちゃんが前に秀くんを策略的と言っていた。


コレも、作戦なのでしょうか?


答えなくてもわかっているでしょう?


顔が熱い。


堪らずに目を閉じる。


「いいよ。」


秀くんはふっと笑ってから私にキスをした。


「学校で眼鏡外しちゃダメだからね?」




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