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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
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ちゃんと伝えるって決めたんだから…

秀くんが家に来る…


落ち着かない。そわそわする…。


でも…逃げない!


伝えるって決めたんだから…


自分の気持ちにちゃんと気がついたから。


「…千景さん。私が志望校を変えた事、


秀くんは悲しみますか?」


胸の付近を握りしめる。


また、切ない顔をさせるかな?


でも…私、秀くんから離れて頑張ってみたいの。


秀くんが守ってくれていることも気がつかずに

 

いつの間にかそれを普通に思って過ごすのは


嫌なの。


秀くんの優しさについ甘えたくなる弱い自分から


秀くんみたいに強い意志を持てる自分になりたいの。


私がいると秀くんも気になってしまうでしょう?


それは秀くんにも良くはないと思うの…


好きなのに、離れていたい…


ワガママだよね。


両方受け入れて欲しいなんて。


でも私は決めたの。


秀くんに嫌われても…  (ズキッ 心が痛い…)


学校の事だけは譲れないって。


静かに千景さんが私を見る。


「美織ちゃん。秀は大丈夫よ。


確かに少しは悲しむかもしれないけど、大丈夫よ。


秀は私との約束をちゃんと果たすわ…。」


千景さんにそっと頭を撫でられた。


「…約束?」


千景さんを見上げる。


千景さんは静かに微笑んだ。


暫くするとインターホンが鳴り


お兄ちゃんの声がした。


「こんにちは〜!」


…明るい(笑)


お兄ちゃんはリビングに入ってくるなり


べらべらと喋り出した。


「や〜!美織ちゃん、驚いたよ〜!


志望校変更だって?しかもKM女子中学♡


お嬢様学校じゃん♡制服もかわいいし♡


いや〜。絶対美織ちゃんに合うね!!!


S中より良いんじゃない?!!!


一緒に頑張ろうね〜?!」


お兄ちゃんがにこにこべらべら喋る後ろから


秀くんが静かに入ってくる。


ドキッ


「…ぁ」


秀くんに話掛けなくちゃ…


「オレ調べたんだけど、KM女子は小学校の勉強が


ちゃんとわかっていれば、結構いけると思うんだ!


応用問題もそこまで複雑じゃないし。


ま、でも倍率高いからちゃんとやらなきゃね。」


美織ちゃんも過去問見たいだろ?と


櫂お兄ちゃんに腕をひかれてイスに座らせられる。


「S中ほどの複雑さは無いのか…。


今からでもいけるかな?」


お母さんが過去問を確認する。


「どちらかっていうと作文対策かな?


でも美織ちゃんはかなり本読むから結構いけると


思うんだ! お〜♪やっぱり制服かわいい〜♡」


お兄ちゃんが制服ページに喜ぶ。


「お〜♪」みんなが歓声をあげる。


「…あのさ、」秀くんが声を上げた。


みんながリビングの入口にいる秀くんに注目する。


「みんな浮かれている処、悪いんだけど、


オレ、みおちゃんと話したいんだよね!ふたりで!」


びくっ 


…怒ってる?


2人で…?


秀くんの言葉に固まる。


「…秀。」


千景さんが咎める様な言い方をする。


「母さんとの約束は覚えてる。ちゃんと守る。


みおちゃんの悲しむ事はしない。


ただ、オレはみおちゃんとちゃんと話したい。


みおちゃんの気持ちをちゃんと聞きたい。」


ハッキリとした口調で秀くんが言放つ。


私は自分の肩を抱いて縮こまる。


大丈夫… 怖くない。  


自分の気持をちゃんと伝えなくちゃ…


「…私も秀くんと話したい…。」


なけなしの勇気を振り絞って秀くんを見る。


秀くんの強い視線とぶつかる。


逃げないよ。


まっすぐに


ちゃんと伝えるって決めたから。


秀くんの強い意志に憧れたあの時から


自分なりに努力してきたんだから…。


私は立ち上がって秀くんのいる入口に向かう。


「部屋に行って来るね。」私が言う。


「言っておくけど立ち聞きしたら怒るからね。」


秀くんが静かにみんなを牽制をした。


そのすごみににみんなが一瞬怯む。


私達は無言で私の部屋に向かった。



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