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僕の大好きな幼馴染  作者: 愉香
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駅の近くのマンション


が怜那ちゃんのお家だった。


家にお邪魔するのは実は初めて。


お父さんやお母さんにも会った事が無かった。


家に着くまでの道中、玲那ちゃんは喋らなかった。


ただひたすら私の手を握って連れて来てくれた。


その間で、私も少し心を落ちつかせる事ができた。


オートロックの玄関を通り過ぎ、エレベーターで


3階に降りる。


家の前に着くと初めて怜那ちゃんが喋り出した。


「お父さんもお母さんも今日仕事なんだよね。


兄貴も多分部活でいない…」


そう言いながら鍵を開ける。


玄関の靴を確認して、


「やっぱりいないみたい!」とにっと笑って


私を家へ招き入れてくれた。


玄関には家族写真。


お兄さんの入学記念かな?


仲が良さそう。


微笑ましくて顔が緩んだ。


「お邪魔します…」


靴を揃えてお家にお邪魔する。


とりあえずリビングに通された。


着ていた上着を脱いで鞄を下ろす間、


怜那ちゃんはテキパキと飲み物とお茶請けを


用意していた。


お盆に乗せると「こっちだよ。」


と怜那ちゃんの部屋へ通された。


ベッド前の小さなテーブルにお盆を置くと


座って〜と誘導される。


私はクッションの上にちょこんと座って、


怜那ちゃんが差し出してくれた紅茶を


とりあえず飲む。


アップルの香りが鼻から抜けて思わず笑みが溢れた。


それから「まぁ、これも食べなさい。」と


バウムクーヘンを私の前に置いてくれた。


「ここのバウムクーヘン、すごくおいしいよ♡」


そうオススメされて食べてみると


本当に美味しかった。


怜那ちゃんのおもてなしのお陰で私の気持ちは


すっかり落ち着いた。


「怜那ちゃんありがとう。…落ち着いたよ。」


怜那ちゃんは優しく微笑んで


「そう。良かった!」って言ってくれた。


それから「どうしたの?…って聞いてもいい?」


と確認してくれる。


怜那ちゃんの気遣いが有り難い。


「私、怜那ちゃんに話を聞いて貰いたかった。」


と怜那ちゃんを見て言った。


怜那ちゃんが頷いてくれた。


「さっき日戸瀬さんに会って、日戸瀬さんは


秀くんの事が好きだって言ってた。」


怜那ちゃんは何も言わずに聞いている。


「でも秀くんは私が好きで…」


言いながら自問自答する


「私が秀くんの気持ちに気がつき始めて…る?」


「美織は廣澤くんが自分を好きだと思う?」


逆に怜那ちゃんに質問される。


少し考える。


「…最近、家族… 兄弟愛とは違うのかな?って


感じる時はある。」


秀くんの照れた顔、心の底から心配していたり、


嬉しそうだったり、切ない想いを感じる時が


沢山あった。


「うん。そうだよね。」怜那ちゃんがきっぱり


肯定する。


怜那ちゃんから見てもそう思うなら確かだと思った。


私は説明を続ける。


「秀くんの気持ちに気がついてなかったのに、


今更気がつき出すなんてって、


日戸瀬さんの気持ちが報われないって…


認めないって、泣いてた。


私、どうしたらいいかわからなくて…」


というと、


「何もしなくていいんじゃない?」


と怜那ちゃんが言ってきた。


私は困惑した。


「日戸瀬さんのは逆恨み。だから日戸瀬さんは


放っておいて良し!」と言い放った。


「それより美織の気持ちは?


廣澤くんは美織の事を大切に想ってる。


それはそうだと思う。美織は嬉しい?しんどい?」


「…感謝はしてる。でも…」


私の好きは、兄弟愛… ?


目線を下に落として考える。


「じゃあ廣澤くんと廣澤くんのお兄さんだっけ?


とは美織にとっては変わらない存在な訳?」


そう言われてちょっと比較してみる。


「う〜ん…。それもまた違うな…。お兄ちゃんは


秀くん程は気にならないかな…?」


「美織、廣澤くんの事、気になるんだ?」


怜那ちゃんがまたも質問してくる。


「そうだね。最近何だか気がついたら


秀くんを確認していたり、何だか秀くんのする事


がいちいちドキドキするんだよね…」


怜那ちゃんが呆れた顔をした。


「めっちゃ恋してんじゃん!」


めっちゃ恋してる?


「…っ?! ええ〜?!」


驚いたのは私。 えっ???そうなの???


「…自覚なしか。」


怜那ちゃんが頭を抱えた。


私は顔が熱くて手でうちわを扇ぐ。


「そ…、そうなのか…?」もう1回確認する。


「そうでしょう!」怜那ちゃんに断定される。


「え…っ。どうしよう?」


あのどきどきが恋から来るものだとして、


私はどうしたらいいんだろう?


「とりあえず廣澤くんに伝えてあげたら?」


怜那ちゃんが頬杖をつきながらニヤニヤしている。


「喜ぶだろうね、それはそれは…(笑)」


「…そうか。そうなのか?…そっかー ?」


私はふわふわした変な気持ちになった。


恋してる? 実感がない…


「…だから日戸瀬さん怒ってたんだ。私が自覚なく


恋してる?から。」


うつ伏せで私の顔を上目遣いに怜那ちゃんが見る。


「気がついたご褒美に1つ昔話をしてあげようか?」


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