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さらに予想外に

ここ数日、制服では暑く感じられる。

薄手の袖の短い街着に着替えたイズールは、サリラの館に向かった。

サリラは商人であるが、外貨を稼いだ貢献で位を賜っている。

平民ではないので、気軽に会う訳にはいかない。

手紙を渡すだけでもできればいいと思っていたが、待ち構えていたかのように迎えられてびっくりした。


「お館様はすぐいらっしゃいますから」


と、お茶とケーキが出される。

相変わらず部屋から自分は浮いているが、使用人たちは丁重にもてなしてくれた。

しばらく経ってあらわれたサリラは、前とは違う顔をしていた。

王宮にやって来る商人のような、気合の入った顔である。


「孫にあげた魔術具を、息子が複製して勝手に売ってしまって、大ごとになってしまったわ。ごめんなさいね?」


脇に控える侍女が重そうな袋を持っているのが不思議だ。


「息子も一人前になったと嬉しかったというか、なんというか……ものすごく好評で、偽物が出回るくらいの人気なのよ。とても……文官のあなたに何て言ったらいいかしらね、庶民の言葉で言うと、大儲けさせていただいたのよ」


だからこれを、と合図すると侍女が袋をテーブルに置く。


「改めてあなたへの謝礼よ。とりあえず今までの売り上げの2割。」


袋を開けると、見たことのないような量の金貨が入っている。

自分の給料の何年分だろうか。


「これからも2割をあなた、8割を私たちがもらうというのでどうかしら」


……頭が追い付かない。

お茶を飲み、ケーキを食べながら話は続く。


「お金は専属の契約としてもどうしても受け取ってほしいし、また歌を魔術具に吹き込んではくれないかしら。うちの店の目玉商品の一つになってしまったの。王族にも新しいものを献上しろとせっつかれているし」


王族もご存じなの?!

イズールは今度こそびっくりした。


「王族主催の公演で歌って欲しいと依頼も来ているわ。謝礼をはずむと言っているの」


逃さないぞ、と、一見穏やかに見えるサリラの目が光っていた。

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