長い話の後に
「……と、いう訳でネリーは辺境で暮らすことになったんだ」
「琴を喜んでもらったわ。メドジェ族、良いところだったのよ」
ボルフとセイランはニコニコと笑う。
「まあ、大活躍だったのね」
と、サリラも微笑んでいる。
それは……あっちもこっちも大変だったのだな、とイズールは笑った。
ボルフはサリラと布の手配について話し始めている。
帰りはさらに遅くなるだろう。
もしかしたら今日中にメソ族に旅立ってしまうかもしれない。
父の人生は原住民族と共にあるのである。
視線に気づいてサリラが言った。
「またおいでなさい、隠居老人は若い人をいつでも歓迎するわ。今日はここまでで大丈夫よ」
イズールとセイランが正門から送り出されると、塀の上からボッケの花が落ちているのが見えた。
「あら、持って帰ろうかしら。孤児院の花は子どもたちが食べつくしてしまったのよ」
と、セイランがバッグから布を取り出すのを止める。
「あなたは国の宝なんでしょ。拾い食いは慎まないと」
「それを言うならあなただって……」
言い合っていると、老紳士が近づいて来た。
「お館様がボッケを全て孤児院に届けるように指示されましたよ。どうぞご安心ください」
気の利く大商人に感謝しつつ、セイランと別れて家路を急ぐ。
王宮では長い休みをもらってしまった。
戦が終わった祝いでみんな休んでいるので目立たないだろうが。
明日からまた小さな部屋に戻るのだ。




