戦の日々
物々しい出発を見送れば、一見不自然なくらいに穏やかな日常が戻ってくる。
しかし、魔石交換室の奥の小さな部屋では、過酷な日々が報告されていた。
目まぐるしく光る魔石を次々と金の魔石へつなぐ。
こんなに戦況は不利なのに、
「無駄な戦をやめて」
その一言が何で誰にも王に言えないのだろう。
戦で「大儲け」する人もいるだろう、サリラもそうかもしれない。
「はあ、国王はいつこの馬鹿騒ぎをお止めになるのかしらね」
だからお茶を飲みながらサリラが当然のように言い放ったのにびっくりした。
「そんなこと、誰かに聞かれたら」
「そう、今だけよ」
演者である3人の娘たちに向かってサリラはため息をつく。
「孫が物心つくまでにはおさまってほしいけれど……どうなるのかしら」
こんな状況でも公演は開かれるのだ。
こんな時だからこそ公演をするのらしいが、王族に自分の歌を聴かせてやりたくなんかないと思うほどにはイズールは腹を立てている。
次の公演の前に辺境に慰問に行くのだとネリーとセイランが言った。
「無事に、会えるといいわね」
セイランが永遠の別れのように言うので、
「会えるわよ!」
とイズールは強く言った。
……しかし。
その日はやってきたのだ。