私たちしあわせになりまぁす♡
「俺とグノンが結婚することになったんだ!」
美貌の騎士である男友達、リーリシャリムが本当は美貌の少女だと分かって、さらに美貌の姫君になって、結局美貌の騎士に戻り、義兄であるグノンを捕まえてしまった。
……魔石交換から察するに、どうやら国家規模の大騒動であったらしい。
「……お、おめでとう?」
「ありがとう!ぜひ式には来てね!」
上機嫌のリーリシャリムとちょっと疲れたグノンが対照的である。
「得体のしれない子だとは思っていたけれど、想像の斜め上をいったわね……」
「グノンが不憫ねえ」
マリベルとチアシェが失礼なことをささやいている。
チアシェはこの大騒動の中、新しくできたかわいがってくれる人である。
「もう一緒に住んでいるの?」
「ずっと一緒だったけれど、今さらベッドを分けろというんだ」
ひどいよね!とむくれるリーリシャリムこそひどい女である。
というか、小さいころからずっと一緒のベッドで寝ていたのだと知ってびっくりする。
長年、一年間一日中、寝ている間も自分に男になる魔法をかけ続けていたリーリシャリムもすごいし、少年の頃ならともかく、女に戻ってからも結構な期間つっぱね続けていたグノンもすごい。
「まあ、今まで通りだな」
と、あきらめたように言うグノンは、実は大物なのではないか。
「グノンは地方の豪農出身なのに最年少で副官に抜擢された逸材だからな」
アドルがほめると、そんな良いものじゃないよ、と頭をかいた。
「俺たちの方がよっぽど新婚っぽいぞ」
と言いながらルルファスがマリベルの髪に口づけようとして怒られている。
「ぜひぜひ何度でも祝っておくれよ!」
リーリシャリム、絶好調である。