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真実 05

「ちょっと待って」


いつの間にやら話が進んでいたけれど、根本的な問題を思い出し、私は待ったをかけた。


「大前提として、私は百回目を成功させたいと思ってるの」

「えぇ、存じております」

「貴方は私を手伝う為に、下界に降りたって言っていたわね?」

「そうですね。結果として力になれたかというと、決してそんなことはありませんが……」

「仮の姿とは言え婚約もして、かれこれ三年くらい一緒にいるわよね?」

「はい」


一つ一つ確認を取ってから、私は大きく息を吸って、ニウェウス神に向かって指を差しながら言った。


「一緒にいるというのに、あまりに胡散臭くて、私は貴方を信じることが出来ないの!!」


神という絶対的存在であり、やり直しの機会をくださった恩人でもあり、何よりも目的を同じくする者としてそれなりに同じ時間を過ごしてきたと言うのに、私が彼を心から信じる気持ちは皆無だった。いや、以前はもっとあったように思う。何だかんだ言いながらも、信じていたのだ。


「私は貴女に嘘など――」

「確かに嘘は吐いていないのかもしれない。だけど、大事なことも話していないじゃない」

「……」


例えば歴史修正は百回までだとか。本当に私が自暴自棄になって、何も考えずに、グリフィス殿下を殺してしまっていたら失敗に終わってしまっていただろう。それなのにリートゥスが誕生するまで私の出方を窺っていたのだ。


「結局のところ、ニウェウス神にとって百回目は失敗しても問題は無いんでしょう?」

「そうですね。お教えすることは出来ませんが、コロル王国と共に消滅することを回避する方法はあります。けれど、それは再び人類を巻き込まぬようにする為の最終手段であって、成功させるに越したことはありませんよ」

「それもまた本心ではないでしょう?」


本気で成功させたかったのなら、限度回数を伝えるべきだし、この時点で下界に降りてきてアルヴァとして私をコントロールすることは出来たはずで、それをしなかったのは、最初から成功を諦めていたからに他ならない。


「貴方には逃げ道があるかもしれないけど、私はこれが最後の一回なの。どっちつかずの態度で、出しゃばられると迷惑なのよ」


ニウェウス神は、例えコロル王国が滅びても、どうにかする方法を持っている。対して私はと言えば、何も持っていない。失敗した場合、運が良ければ現状維持だが、何らかの罪を着せられて、一族郎党に至るまで罪人になる可能性も否定できない。


「それでは貴女は何を望むのです?私が何をすれば満足すると言うのですか?」


私の目をジッと見つめるニウェウス神。私の本心を探ろうとしているのだろう。心を読んでしまえば良いのに、それをしないのは、私を分かりやすいと言ったが故の矜持なのだろうか。


「最初に言ったでしょう?私は歴史修正を必ず成功させたいって。だから、ちゃんと協力して」

「これまでも協力してきたでしょう?」

「隣で茶々入れるだけなら、その辺の小鳥でも出来るのよ。貴方は小鳥なの?大きくて可愛くはないけど」


恐らく、今後私は主神と対峙することになるかもしれない。その時に、この身一つでは戦うことなど到底無理である。ならば、私の切り札となり得るのはニウェウス神の存在に他ならなかった。


そして何より私が許せなかったのは、申し訳ない申し訳ないと言いながら、結局は放置していたと言う事実だ。人間達の自主性に任せると言ったところで、結局は愛していない人間の面倒を見るなんて嫌だと、この男は知らんふりしていただけなのだ。


「殺してしまった人達に申し訳ないって思うのなら、最後の最後くらい、本気で罪を償いなさいよ」


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