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歴史修正とは?

王太子妃になったロゼリア様は、熱心に公務を行っていたと記録に残っている。王太子の仕事まで肩代わりして、国民がより良く暮らす為に注力したという。それは王妃となった後も変わらず、まるで彼女自身が国の長ではないかと言わんばかりの活躍だったそうだ。


サイアン公爵家を守る為に、跡継ぎの座を兄に譲り、王家に輿入れする。そして内部から王家を変えようとした――辻褄が合わないわけではないが、疑問は解消されない。


「歴史修正が失敗したのなら、またやり直せば良いのでは?ロゼリア様はどうしてその方法を取らなかったのかしら……」


私なんて百回目の【修正者】だ。既に99回も失敗されているのだから、私が失敗したところで別に怖くない。ロゼリア様は前任者が少なかったから躊躇ったのだろうか?


「あるいはやり直すことが出来なかった、とは考えられませんか?」

「根拠はあるの?」

「嫁がれる少し前、セルリアン侯爵がロゼリア様を説得しようとしたそうです。けれども、彼女は『貴重な恩寵を私の我がままで消費するわけにはいかない』と仰って、拒絶したそうです」


『貴重な恩寵』という言葉に違和感を覚えた。


「ねぇ、侯爵。本当に歴史修正って貴重なのかしら?」


時間を巻き戻して、もう一度世界をやり直させるなんて、非現実的で有り得ない。まさに神の御業に相応しいのだけれど、私には貴重なものだなんて思えなかった。だって99回も失敗している。


「貴重だったら、どうしてあの愚かなグリフィス殿下や王妃を【修正者】に選ぶと言うの?」


グリフィス殿下は人としてあるまじき行為を重ね、王国を三度も滅ぼしている。一度目人の身でありながらは嫉妬に狂って他人を殺し、二度目三度目は神の使いである【修正者】の本分を忘れ、私利私欲の為に生きた。ハッキリ言って、人の道理で諭せるはずがないくらい愚かである。私だったら、絶対に選ばない人選だけど、ニウェウス神は選んだ。


私とロゼリア様を【修正者】に選んだのはプルプラ神で、グリフィス殿下や王妃を選んだのはニウェウス神だ。この歴史修正で最も高いリスクを抱えているのはニウェウス神であるのに、だ。自らの消滅の危機が掛かっているというのに、不適切な人間を宛がう。あの性格の悪いが、頭は悪くないニウェウス神がするような失敗ではないように思う。


「むしろわざと失敗させようとしているのかしら?」

「何の為に?ニウェウス神様は、コロル王国の守護神でいらっしゃいますよ?」


考えたけれども、結局、疑問だけを残したままプルシャン侯爵との面会を終わった。

侯爵との話を思い出しながら、私はこれまでの歴史修正について考える。


まず、私がニウェウス神から与えられた任務は『グリフィス殿下が王国を滅亡させるのを阻止すること』だ。グリフィス殿下は次のようなことをやって国を滅亡に導いている。


・一度目の人生で愛人に溺れ、他国の王族を殺したことでコロル王国は制裁を受けた。

・二度目の人生では権力に溺れ、兄を殺して、独裁政治行って、クーデターの際に死亡する。

・三度目の人生では愛人は現れず、別の国の王女に手を出して、隣国の滅ぼされることになった。


私の歴史修正によって、愛人・フラビアはグリフィス殿下に近づくことは出来なくなったので、一度目と違う道筋に進んだと考えて良いだろう。二度目の失敗も、【修正者】となって歴史を繰り返したことによって調子に乗ってしまったが故の行動であるので、【修正者】にならなければ回避できるだろう。あとは、三度目の人生にあった他国の王女さえ近づかせなければ、任務は完了するだろう。ロゼリア様もまた、ほとんど歴史修正が出来ていたはずなのに、未来を捨てて、王家に殉じることになったのは何故なのだろうか。


ニウェウス神は、まるで『次回』があるかのように私に語ったけれど、ロゼリア様は『貴重』だという。それを神と人の思考の差だと断じてしまって良いのだろうか。歴史修正に失敗することによって、何らかの不利な状況に追い込まれると言うのだろうか。そうであるのなら、失敗など出来はしない。


【修正者】を辞めたかったはずなのに、辞めたいと口に出した途端に、【修正者】という存在に囚われてしまっている。


考えていても埒が明かない。私は是が非でもアルヴァに会って話をしなければいけないと思った。

すぐに呼び出しの連絡を入れたのだけれども、図ったように彼は実家に呼び出されてラクテオルス伯爵領に帰省してしまった。無理やり呼び出したところで数日程は時間がかかるということだった。

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