バクロンへの道
いよいよ始まります第3部バクロン篇。
いよいよメグルの第二のチートが覚醒か?
実はまだ分からないという…。
とにかく始まり始まり。
※この物語は仮想世界を舞台にしたフィクションです。登場する人物、地名、神々は架空のものであり、現実世界・歴史・文化・宗教とは一切関係ありません※
転生したら転生してないの俺だけだった
〜レムリア大陸放浪記〜
3-1.バクロンへの道
ラン子の背中の輿に乗り、俺たちは快適に移動していた。
シバヤンが作った輿の椅子は詰めれば二人座れる余地があり、俺とオコが座っている。ラン子の首にはパーサが跨っている。
成長期の翼獅子はその後更に体が大きくなり、今では1000km/h位は軽く出せる。この速度だといくら鍛えているオコでも外は無理だが、輿の中ならば問題ない。パーサは自動式人形なので、風圧の影響を受けない。飛行中パーサはラン子と行程を確認し合ったりして、結構仲良くなっている様だ。最初ラン子は
「ぱーささん」
と呼んでいたが、最近は
「ぱーねえちゃん」
になっている。
コンコンは輿の後ろのラゲッジスペースに装着した特製の鞄に入って、飛行中は主に寝ている。
伎芸天が去った後、コンコン(童女)はちょっと不満そうだった。実は本当は成人バージョンが良かったらしい。絵で見る伎芸天女達はグラマー美人なので、俺はホッとしていた。オコが十分そのキャラなので被るのだ。いやまあそんな色っぽいキャラが二人いても悪い気はしないが、中身が先先代(熟女)だし、下手に見とれたりすると、オコの電撃(比喩)が怖い。美女1、少女1、童女1でバランスもいいので、 俺的には満足だ。
だがここに子狐の死体、じゃなくて意識不明の子狐が残ったのは困った。先先代は罠に掛かって死にそうな子狐に憑依してコンコンをやっていたのだが、子狐の意識は旅の間に完全に先先代に同化していた。まあ俺だって14年間で現世の俺と前世の俺は同化し、もはや分離する事は出来ないのだが、そこは狐同士、同化は早かった様だ。
「あの子(伎芸天)の仕事が雑なん、忘れとったわ」
童女の体にはしっかり子狐込みのコンコンの意識が宿ったままだった。
仕方ないのでコンコンは、子狐の体を童女の首輪に縫い込んだ。ラン子を帯に封じたのと同じ手法である。違うのは子狐を召喚すると同じ首輪に童女が封じられる様にした事で、今度は子狐に首輪が嵌められている。主にラン子に乗っている時と天幕で眠る時は、子狐の姿だった。童女姿だと基本睡眠は不要なのだが(神の眷族だからね)、寝ないと精神的には疲れるらしい。
つまり走行中、輿の中は俺とオコだけである。自然に俺はオコと話す時間が長くなった。こんなに長く話すのは、ジョウザのあの秘密の部屋で脱出の打ち合わせをした時以来かもしれない。
「なあオコ」
「なあに?」
「俺たちの旅ってどれ位続くんだろう?」
「それは私が聞きたいわよ。コンコン様によれば、メグルの寿命は普通の人より長い。そして依代に宿った私の寿命もメグルが死ぬまで。と定められているわ」
普段はオコ、コンコンと呼び合っているが、三人称ではオコはどうしても様をつけてしまう。先先代であり、眷族としてのオコの体の親なので義母にもあたる。
「何百年だかよく判らないが、俺ってその間ずっと旅するんかな。もちろん旅行家として本を書いたりするのは楽しみだけど、例えば100年程旅行したとして、ラン子に乗って移動したら、かなりの場所は回れるよな」
「メグルのおかげで馬車の速度は上がったけど、ラン子はその30倍以上で飛ぶものね」
「うん。これで大街道と南レムリアはもう行っただろ?後はこれから行くバクロン。西のナイラス。西域の色目人国。あとは行きたくないけど大東。大東とバクランの間の大密林。アンゴルモア大王の故郷の北東大草原。これだけ制覇すれば、後は誰も行ったことがない国ばかりだな」
ナイラスの南には広大な砂漠があり、その南には南レムリア人よりも肌が黒い、キャーリーみたいな人々が住むという。そこから先は誰も行った事がない。
後はベンガニーがシュニアの出身国として描いた、大東の東のホーライという島。これなどは船乗りのホラ話かもしれない。降りる陸地がなければ、ラン子も飛ぶのが難しいので、この辺は行けないだろうな。場所的には日本ぽいのだが。
「本当に何百年も旅するの?私は早くメグルと家庭が持ちたいのだけど、留守番は嫌だし」
「ラピュタみたいな島に住んじゃえばいいんだけどな」
「ラピュタって?」
俺は前世の有名な空想小説"ガリバー旅行記"に出てくる、空に浮かぶ島の話をした。
「なるほど、そこに一家で住んで、旅を続ければいいのか」
俺とオコがラピュタの王と女王になる姿を想像したが、俺が丸い黒眼鏡をしている姿になるので、想像を消した。
「まあ、流石にシバヤンでも作れないだろうけどな」
俺はそこで黙った。大体俺が旅をするのは、俺が旅行家になりたいと言い出したからだ。
でもシバヤンたちは、俺が何かの運命か使命で旅を続ける定め。みたいに思っている印象がある。創造主とか、レムリア様とか言う単語が説明なしで出てくる。誰なんだ?俺に旅をさせたいやつは?そして何のために?
何度もこの事を聞こうと思ったが、コンコンにもシバヤンたちにも聞けなかった。聞こうとすると、別の話になったり、別の出来事が急に起こったり、何か呪がかかってる感じなのだ。ちょうどドラクエで、経験値を積んですごく強くなっているのに、簡単な村の中の段差を飛び降りれない様に。
「多分この旅を仕組んだお方がいて、その方に会うのが旅の終わりなんだよ。それが何年先になるのか」
「ふーん。じゃあその神様?に、早くメグルと子供たちと暮らしたいってお祈りしようかな。勿論旅も楽しいけど」
ジョウザに売られてしまった俺とは違い、オコは両親の初めての子であったらしいが、ブラックな職場が嫌な俺が強く主張して、12歳で初めて妖狐の里に宿下りが許された時、両親はオコをヨウコ様と呼んで、娘としては扱わなかったらしい。
でも生まれていた幼い弟や妹達は、自分の姉がヨウコ様になった事はまだ理解出来ないので、お姉ちゃんと懐いたという。
宿下りの度にこの家に泊まったので、妖狐としては異例だがオコは家族というものを知っている。だから俺と家族を作る。という事に執念を燃やしている。俺もオコとのスイートホームは勿論夢だ。
もし俺が、
「もう旅やめるわ。オコと子供たちと暮らす」
と宣言して、さっさと旅行家を引退したらどうなるか?不思議な呪が働いて、妨げられるのか?それとも、すぐ死んでしまうのだろうか?
考えてみれば、ラン子だって旅する前提で借りてるんだもんな。誰も来れない山の上にお城作って、ラン子が居なかったらどうやって行くんだ?
そんなとりとめのない事を考えていた。
オコは俺にもたれて眠ってしまい、時々
「よしよし。いい子いい子」
とか寝言を言っている。
子供たちと一緒にいる未来の夢か、幼い頃一つ下の俺と暮らしてた過去の夢なのか。
バクロンの都が近づいてくる。人類最古の文明が発祥した地域である。俺自身は王立図書館の蔵書と
「石を投げれば魔術師に当たる」
と言われる、多様な魔術に興味がある。
4500年前のスメル人の国から、王朝が代る度に新しい民族が魔術を持ち込み、多様な古代魔術が層をなして、ミルフィーユの様に積み重なっている。
まるで魔法のケーキバイキング状態や!
読んでいただきありがとうございます。
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