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この先生きのこるには(1)

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


1-7.この先生きのこるには(1)


ついにこの日が来たか…。

俺は転生の始まり。死後の役所の受付嬢の言葉を思い出す。

「みなみさんが異世界転生者である事が、ある方にばれて問い詰められます。その時は正直に白状して、相談して下さい」


つまりこれが重大なフラグだな。相手がヨウコというのは若干予定調和に過ぎる気がするが、やはり俺がどういう選択をしてもついて来てくれるのは、ヨウコだけだからな。


「あんた、本当は前世があるわよね?」

「うん。なぜ分かった?」

「ずっと一緒だもの、なんとなく分かってた。いくら神童でも年相応の子供らしさはあるものだけど」

「俺、子供らしくなかった?『オコちゃんオコちゃん』って、いつもついて歩いてただろ?」

「うん、そういうところにチラチラ作為があったのね。子供ならこうするだろうとか」


「そうか…」

俺が生まれた時から、歳相応の感性では生活はしてるけど、前世の俺の理性はそれをちゃんと見てるし、コントロールする事も出来る。

二重人格っていうのではなく、感性と理性を分担してる感じ。


「あんたが5歳の時、夜中に”ヨウコ姉ちゃん、おねしょした”って泣きながら来たでしょ?」

「そんな事あったっけ?恥ずかしいな」

「覚えてるくせに。で、私がこっそり洗濯場で夜具を洗ったんだけど、先先代さまが」

「誰だって?」

「ああ、前世のヨウコ様の一人ね。その人が」

ああさっき言ってたおばあさまって人か。

「ヨウコ持ちは前世の記憶だけじゃなく語らう事もできるのか、凄いな」


この世界の一般人は前世誰だったかをうっすら覚えている人さえ少なく、輪廻の鏡で初めて知る人が多い。前世に偉い人がいても優遇される訳では無い。まあ話のタネ、日本での血液型位に思っている人が多い。

「うん、そのおねしょ事件の時、先先代さまが”嗅いでみ?”と言ったのよ」


「なにそれキモい。普段から”ああメグル君の匂い〜っ!”ってくんかくんかしてるのか?」

「そんな事してねーよ。なぐるぞ」

「ぐっ!蹴ってから言うなよ」

「でな、嗅いだらただの水だったという。なんでこいつわざと恥ずかしい事すんの?たがりなの?って思った」

たがりと言うのは若者言葉だと侍女から聞いた。まあMって事だな。


「まあ余り化け物扱いされないようにな」

「やっぱり覚えてるじゃん。あとメグルは時々誰も聞いた事がない言葉を突然言って、慌てて”いや何でもない”と言うのが、結構ある」

「え?無意識にそんな事が!」

「しょっちゅうよ。多分このまま即位したら”異言を語るボン”として、後世に名を残すわよ」

「ボンが語る言葉は書記がいちいち書き残して経典になっちゃうからなあ」


「まあ公の場では余りボロは出してないけどね。私といると、気が緩んでまあボロボロと。なによ!

”港のヨウコヨコハマヨコスカ〜”

って?歴代のヨウコはずっとジョウザで暮らすから、港になんか住んだ事ない。初代妖狐様も、港はいくつも滅ぼしたけど住んだ事はないって」

偶然だがこの世界でも港はミナトである。

「あははご愛嬌」


「メグルは各地の言葉をすぐ覚えるけど、あれは全く聞いた事ない言葉。もしかして伝説の海の彼方の国から来たの?」

「違うよ。それにそんな国はない。この星にはレムリアの大陸以外に陸地はない。後は海ばっかりだ」

「じゃあどこから…。あはは、まさかおとぎ話に出てくる異世界から、とかだったりしてぇ」


俺は宮殿にもある輪廻の鏡を持ってくる。この鏡は各地の寺院に置かれ、人々の前世を確認するのに使われている。

「最近この魔道具を色々調べてたんだ。もう失われた古代魔術の産物だから、忘れられた使用法がないかと思ってね。さっきヨウコが言っていた前世を見えなくする禁呪と言うのも、そう言う裏機能を利用してるんだろう」

「最近部屋に閉じこもっていると思ったらそんな事を…」


俺は鏡の照準を自分に合わせる。

「前世がなにも出ない。だからあんたボンなのよね」

「ところが、こうするとね」

俺は指で鏡面にある図形をなぞる。

「えっ!」

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