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大東帝国の思惑(3)

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


1-5.大東帝国の思惑(3)


「ヨウコさん?………。いやいやいやいやいや。だめでしょそれ」

ヨウコはなんかもじもじしている。

「私はね。どっちでもいいんだよ。メグルが私の方だけ見て、撫でてくれたり、ぎゅって抱きしめてくれれば、それだけでいい。なんか怖いし、子供とか余り好きじゃないし」


これは嘘である。ヨウコの生まれた村の子供たちに教育資金を届けたり(現地では「赤いきつね募金」と呼んで感謝しているそうだ)、ジョウザの麓の孤児院に時々沢山のお菓子を持って遊びに行ったりしているのをヨウコは秘密にしているが、俺は知っている。


「メグルだって、ボンなら童貞が当たり前だもんね?」

いやいやそれは困る(汗)。

第一俺、童貞じゃないぞ!

俺がボンの候補に選ばれた、つまり輪廻鏡に前世の記録が無かったのは、あくまでもこの世界の前世がないだけで、俺には60過ぎまで地球で暮らした前世の記憶がしっかりある。


結婚もした。子供だっていた。

そんな人生の楽しみを半分くらい捨てる半生をこれから送るのは嫌だ!

しかも俺は14歳。発育は遅い方でまだ毛も生えてないが、最近は無邪気にジャレてくるヨウコの、オアシスの極上甘瓜の様に張り出してきた胸にモヤモヤする事もある、

そんな健全な少年Aなんだよ!


「逃げよう」

「そう言うと思った。結構大変だけど、やってみる?」

「捕まると、死刑かなあ」

「いいえ、捕まると問答無用で」

「チョッキン」

俺は内股になって蒼ざめた。

「逃げなければ、半年後に来るボン即位の直前にチョッキン?」


「ううん。あれって大東から専門の医師を招いて施術するんだけど、かなり痛んで、3か月位は座ることも出来ないんだって。即位式では、ボンは長時間座ってるからねえ。もうちょっと前かな?」


「ひいぃ。じゃあもう時間ないじゃねえか!」

「うん、それで昨日侍従長のタンジンと神官長のギンランが密談してたんだけど、ギンランが『医師を招く前に、もう一度帝意を確認する』と言ってた」

「帝意…ギンランは大東から来た修行僧出身だが、タンジンまでも、大東の手先か?」

なんか神童とか言われていい気になっていたが、大人の政治の世界には全く無知だった。。。


「タンジンのおっさんは生粋のジョウザ人だから誠実よ。でも100年の間にジョウザの政治は大東には逆らえなくなってる」

「まあ3万の兵で負けても30万ならわからんからな」

「大東の仙術も進化しているらしいしね」

「派兵するより政治で締め付ける方が安上がりなだけって訳か」


「でもタンジンは好きで大東の言うこと聞いてる訳じゃないし、それにあのおっさん、メグルの事が大好きなんだよ」

それは感じている。高価な割れモノを見るような慇懃な視線が多い宮殿で、タンジンは小さな頃から俺が新しい術を覚えたり知識で教師を感心させたりすると、手を打って喜ぶ。まるで父親のようだった。

「じゃあタンジンはチョッキンに反対だと」

「いやそこはむしろ推進派だよ」

そうなの…?

「この100年で最高の名ボンが誕生するのを心待ちにしてるから、しきたりは守る」

「じゃあ誰も味方はいないじゃん」

「ところが最近、少し雲行きが変わって来た」

「味方が現れた?」

「いえ、敵の考えが変わった」

「どう言う事?」


「メグル、あなたやり過ぎたのよ」


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