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11-6.神獣の里へ

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


11-6.神獣の里へ


「神獣の里に行けるのは、身に獣の気を帯びた者だけです」

アヌビスが告げた。

つまりマァトは行けないが、今マァトはふにゃふにゃになっており、どのみち行けそうになかったので、侍女達に任せた。

アヌビスよ。どうせ馬鹿助なお前の事だから、好感度MAXの今の内に、求愛(プロポーズ)して結婚しちゃった方が良くないか?


あと行けないのは師匠と俺だな。残念だが。

「なに言ってるんですか?ウラナ兄さん(兄さん言うな!)は行けますよ。あなた南方守護、朱雀大空督の眷族でしょ?」

シバヤンには見抜かれた事があるが、そんな苗字にまつわる細かい関わりを良く知ってるな。

「そんなのレムリアの神族なら誰でも知ってますよ」

アヌビスが取り出したのは

「別紙特集:人類の代表ウラナ・ストロの全て〜救世の英雄か、がっかりさんか?」

と言う神界タイムスの紙面だった。

こんなものまで?


幸い一部の最上級神しか知らない、メグル・ミナミと言う本名や、ジョウザとのつながりは言及されていなかったが、これまでの功績や、インタビュー記事もあった。シバヤンがインタビューで

『彼は朱雀の眷族』

と明言しており、この事をアヌビスは言っているのだ。あのおっさん、余計な事を。

ここまで書かれてしまったなら、一度朱雀本家(でいいのか?)にも挨拶に行った方がいいかな?

文化が日本に近い蓬莱も行きたいと思っている場所。

あとゴンドワナでは、東の海の島に住むと言う赤い小鳥(アパパネ)にも化身した事がある。あの島にも行ってみたいな。

よし次の旅は東だ!


ちなみにワタリガラスの神であるコリナンクリン社長は、師匠が行かないなら行かない。と行った。ただ、もし神獣の里にカラス天狗がいたら話をして来て欲しいと頼まれた。

カラス天狗は蓬莱の獣人で、今は絶滅している。同じくワタリガラスにも、犬人の様な獣人に当たる存在が元々なく、社長は前からもしかしたらカラス天狗はカラスの獣人ではなく、ワタリガラスの神獣(上位獣人)なのではないか?と思っているそうで、その辺を聞いて欲しいそうだ。そんなの自分で訊けよ。と思ったが、がっかりしている師匠の側を離れたくない。との事。お仲のよろしい事だが、例によってオルフェからSOSが入っているので、二人で本拠地に戻るとのこと。トトムですっ飛んで行った。


ステルは神なので無問題。生きた神は冥界に入る事に色々制約があるが、ステルは

「乗り物」と言う属性がある為、問題ない様だ。コンコンはむしろ冥界(こっち)の住人だし。パーサはアヌビス体型になれる事とアヌビスの妹と言う事で、自動式人形(オートマタ)であっても大丈夫だった。

師匠は今回の訪問の一部始終を録画する様、パーサに頼み込んでいた※。


※パーサ・ウリアムズは晩年"全てフィクションです"と言う題名の神界、冥界を旅した体の随筆集を発表しており、本書もこれを底本としている。


アヌビスは獣神ウプウアウトを正式に息子と認知し、ナイラス神界限定のパリトネカビルを与えた。またナイラス国王プトマス95世に、ナイラス狼を絶滅危惧動物として保護政策をとる様に依頼した。ナイラス狼はウプウアウトの指導で人や家畜を襲う事をしなかったため、ナイラスの保護を受けて一定数の群を維持出来る様になった。


こうして俺たち5人とアヌビス、ウプウアウトは冥界に旅立った。

アヌビスは冥界神でもあるので当然フリーパスだが、俺たちは審査がある。ただ今回はオシリス神の元へではなく、直接神獣の里に向かうので、死者の書は不要だった。


神獣の里はナイラスだけでなく、レムリア全ての神獣のための冥界ホームだ。

ややこしいので一度整理すると獣関係は、

最上位が獣神。これはマルモ屋とか社長の様な存在だ。白虎やランはここになるが、特別に神獣が地位が引き上げられて神として扱われるものなので、獣神のトップだ。

ちなみにステルも獣神だが、ヤクスチランの守護神になったので、すでにここではなく、神々の部類。


次が神獣。人々に崇められる神聖な獣で、言葉を話す者も多い。人間に化身出来る者もあり、妖狐も一応この範疇になる。獣神と神獣の境は曖昧で、人間に化身出来れば獣神とか、言葉を話せば獣神とか諸説ある。レムリアの神々が可愛いがっているペットもこの範疇で、亡くなったペットのために諸神が共同で神獣の里を設立した。


この下に獣人と呼ばれる獣の特徴を持つ人がいるが、レムリア様の政策により絶滅している。なおゴンドワナには今でも生息している。

そしてさらに下に鳥獣たち。

レムリアでは獣人がいないので、鳥獣しか信者のいないマルモ屋や社長の様な獣神の立場は弱い。従って強い神の眷族として働くか(天帝の四神、サンディのラン)、社長の様にサイドビジネスに励む者もいる。


審判の門ではアヌビスの計らいで、形ばかりの審査(イミグレーション)があったが、アヌビスの前で審査官は直立不動だった。だがオコの時だけは、もっと最敬礼で対応していた。

「聖狐天尊様の、ご、ご母堂様?でございますか!」

審査官は同僚を呼び、うやうやしく色紙に一筆を。と願い出た。アヌビスが

「おいおい!そんなの手続きにないだろう」

と言ったが、審査官は恐れず、

「冥界の聖狐天教会に掲げたいのです。最近は亡者に聖狐天教信者も多く、みな安らかに死出の旅に来ております。それを見て(それがし)も、入信致しました次第で」

最上司の注意にも少しもめげずに答える審査官に感銘を受けて

「行状書きが長いので省略したが(ちょっと自慢げ)、俺も一応聖狐天の父親。と言う事になってるんだよ」

と、マジックポーチから聖子ちゃんの等身大フィギュアを取り出して、プレゼントした。

審査官の感激が頂点に達した事は言うまでもない。

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