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8-14.箱庭の中

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


8-14.箱庭の中


さすがによく見かける風景だなあ。

やはり出来合いのジオラマ用パーツで作るとこんな感じになるのか。木の形が全部同じとか、岩の形も。

これで村に入ったら村人が

「テレテレテレテレ」

って字幕で話しかけてきたら、まるで某有名RPGゲームだ。

「初めての場所だから、弱い者を包む様に行動しよう」

なんかみんな俺の周りに集まってきた。

そうか攻撃魔法が使えず腕力(うでっぷし)も弱い俺が、パーティの最弱者か。


俺は前世から転生した時、こう言う世界を想像していた。

始まりの街で目覚める。

冒険者ギルドに入り、手頃なスライムとかを退治してレベルを上げる。

装備を揃え、仲間とパーティを組み(なぜか女性ばかり。巨乳戦士と、ロリ魔法使いと癒し系僧侶希望)、ダンジョンを彷徨って魔物を退治する。

もちろん俺は勇者だ。


そう言う世界に転生するのを夢見ていたのだが、たまたまほとんどの恩寵(チート)が先にきた日本のオタク達に取られてしまい、地味な世界に転生した。

まあオコに出会えたので、不満はないが。

それに俺に授かった2つの恩寵は、まさに国士無双と言っていい優れたものだった。

攻撃性が全くないので、オタク達には受けが悪かったろうが。


ついでに言うと、レベルが上がったとか、どんな能力を新たに得たとかは、このレムリアではわからない。まあ強くなったな。とか奴は凄く強い。とかが漠然と判る程度。

もしスカウターみたい物があって、もしシバヤンとかを見たら、もうずっと五体投地で這って行かないと会えなくなるので、欲しいとは思わない。


よくリアリティを追求したフルダイブ型RPGとかが出来たら。と言う設定のラノベとかで、それにでもタッチパネルみたいな物が出てきて、自分の今の戦力が分かっちゃったりするのは、ちょっとずるいと思う。

せいぜいメモ帳と算盤で計算する。とかにして欲しいものである。


某有名RPGはオンラインになってからやらなくなった。ゲームまで人に気を使いたくないから。

一度家のネットの状態がおかしくなり、子供に猛烈に抗議された事がある。

なんか時間を決めて、オンラインで知り合った仲間とクエストに出かける約束をしていたのに…。との事。

現実(リアル)でも友達関係に苦労しているのに、ゲームでもそんなに気を使わなきゃいけないのか。

そう言う訳でオンラインゲームは嫌いだったが、普通のRPGは好きだった。

仕事で疲れきった時など

「あああの宿屋で泊まりたい」

と何度思った事か。


話が脱線したが、この箱庭世界ゴンドワナ(なんかスピンオフっぽくていいな)では、エルフもドワーフも獣人も魔物もいるらしい。

J.R.R.トールキンの指輪物語(ロードオブザリング)では、最終的にエルフ達古い種族は海の向こうに去り、人間だけの歴史が始まる。と言う結末だったが、現実のレムリアでも、創造神レムリア(本当にいるのか?)の意向とかで、人間以外の種族は子供が生まれなくなり、人間との混血のみが許され、人間と言う大きな種族に併合されて行った。

シバヤンはこれに内心不服だった様で、逆らえないストレスの解消に、こんな擬似世界を作ったらしい。


俺はRPGらしくパーティの編成を考える。

「まずは斥候。パーサとステルが担当。前衛はオコの弓と社長のワタリガラス攻撃。中衛はコンコンの結界術と俺の治癒魔法。後衛は師匠が全体を見渡し、後方から攻撃魔術を使う」

「なにブツブツ言ってんの?なんか15歳くらいの男の子が、俺最強みたいな設定考えてるみたいよ」

ええ、どうせ俺は中2病ですよ。

てか俺まだ(こっちでは)15歳だもん。

現実には俺たちが気づく前にパーサが大抵自己判断で危険を排除するので、他の人には出る幕がない。


「まず、メグルくんの思う様な、楽しい冒険の世界ではないと思うよ。だってそんな楽しそうなものを作っても、シバヤンは来れないので、楽しめないんだから」

そうなのだ。シバヤンが作りたかったのは、眺めて楽しい鉄道ジオラマで、実際に列車に乗り組むヴァーチャルアミューズメントパークじゃないのだ。

「ふーん…敵出てこないのか」

ステルが残念そうだ。

「敵みてぇあなもん、面倒くさいだけだが。おらん方がええで」


「そうやな。でももしかしたら」

「もしかしたら、なに?」

「こんな大歓迎を受けるかも知れへんで」

コンコンが指指す道の向こうに、いかにも悪そうな一団が立っていた。

「ゴブリン多数。あとはオークが12匹。トロールが3匹。オーガが1匹いるけど、あれがボスかしゃん?」

パーサが分析する。


「余り大げさな結界を張ると、敵意あると見なされる。不意討ちに備えた布陣で行こう」

俺としては

「いのちだいじに」

モードのつもりなのだが、皆首を捻っている。

「戦うの?仲良しするの?」


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