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7-17.呪の成就

※第7部の主な登場人物

◯旅の仲間

メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目な15歳と結構浮気症な66歳が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者(イノベーター)"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表"を押し付けられる。

未婚のまま聖狐天の父となる。

オコ…メグルの婚約者。自称妻の元妖狐。メグルとの結婚と子作りを夢見ている。弱者の味方で直情的。未婚のまま聖狐天の母となる。

コンコン…先先代妖狐。子狐と伎芸天女の童女に憑依できる。

ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。

パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスに変身出来る。


◯その他の主な登場人(神)

七娘(チーにゃん)…ナンバーズの一人。巨大モビルスーツを操り、宇宙での任務に当たっている。

マーリン…大魔法使い。メグルに人間の代表を押し付けようとする。かつてヤクスチランのマヌカ・ケペックを助け、悪神を討伐した。更にメープル朝のザッハを助け、大氷原に逃がす。

ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの恋人。

シバヤン…南レムリア最高神の一人。

ダガムリアル…工匠の神。ドワーフの祖先神。

ベンガニー…元ジョウザ侍女で大ベストセラー作家。

コリナンクリン…ワタリガラスの鳥人。オルフェを拾って育てた師匠で女社長。ノヅリの恋人。

イグルー…大氷原の村の娘。村長の孫。メープル朝の末裔。

トマレ…大氷原の村の少女。

パトニカル…ヤクスチランの主神。酒の神。

マヌカ・ケペックIII世…神聖ヤクスチラン帝国皇帝。イグルーに想いを寄せている。

占い師…かつてマーリンが憑依していた老婆。

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


7-17.呪の成就


「やっぱりシバヤンにはお見通しか?」

「どういう事?」

「だって彼奴ってヴァルガの事だろ?」

「まあそう言う事になるやろな」

「でもそれって変だわよシバヤンが私達の計画が分かるはずない」

社長が断言する。

「どうしてそんなに自信があるのさ?」

「だってシバヤンは大氷原やヤクスチランの事など何も知らないはずよ」

ワインの産地としては名前は通っているが、ヤクスチランとはどこなのかをほとんどのレムリアの民も神々も知らない。最高級のワインを産する地で、酒の神デュオニソスが納める伝説の地。と言うまでが限界だ。ヤクスチランの秘密を長らく秘匿して来たからこそ、社長の商売は上手く行っていたのだ。


「ヴァルガは島の全周に結界を巡らしたから、ステルも通れなかったけれど、レムリアの人々は嵐の南の海の彼方には何もないと思っている。なんなら滝みたいに海の水が落ち込んで行くと」

「でもシバヤン達ペンジクの神々なら分かってたんじゃないか?」

「今でこそ多少の情報交換はあるけど、本来神々は自分の縄張り以外には興味がないの。精々隣の神界に侵略されてない様に気を配る程度。信者あっての神々だからね。人の住んでいない海には興味がない」

成る程。だからこそ高濃度放射性廃棄物みたいな死に体ヴァルガを、海の中の孤島に捨てようとしたのか。


「でも、そうなるとスパイがいる。と言う事にならない?」

オコが正直な疑問を呈する。

「この中にシバヤンやサンディのスパイは居るのか?」

全員が否定した。一番可能性があったのは、もちろんパーサだが、この様な具体的問いにパーサは嘘がつけない。

ナンバーズはその様に作られているのだ。

念のため、

「ペンジクの神々のスパイ」

と言う問いに変えて見たが、結果は同じだった。


「じゃあ、なんでシバヤンは俺たちの行動がヴァルガの事と関連があると思ったのだろう?」

「これは言葉の呪ではないかな?」

師匠が答える。

「言葉の呪?」

「今ではなくもっと昔に、ヴァルガを呪で縛ったか、ヴァルガ自身が縛ったかして、今それが発動したのだろう」

「むずかしい。ステルにはなんの事か判らない」

「例えばあのヤクスチランの泉の女神だけど、『神にも人にも倒せない』と言う呪があったため、無敵の強さを誇っていた。だがステル、当時のラン子は進化の真っ最中で、神でも人でも獣でも無かったので、女神を倒す事が出来た」


「ヴァルガ自身も、伝説によると『倒せる男はいない』だったので、ペンジクの神々は最終兵器美少女戦闘人形としてサンディを作ったのだったわね」

「そうだよハニー。ヴァルガはマウリヤ島に自ら幽閉された時、『神々やそれに準ずる空を飛ぶ者には絶対に破れない』結界を張った。だから普通の鳥や船に乗った人間なら結界を通る事が出来るんだ」

「でもワタリガラスは通れないわよ」

「コプターや郵便の仕事の時はね。それはコリナンクリンと言う神の使いだから」

「で、人間はとても渡れる海では無いので、最初からカウントされていない訳だ」

「まあ君みたいな規格外の勇者じゃ無い限りね」

え?俺ですか?


「シバヤンは我々の計画の事も、大氷原の事も知らなかった。でも今は知っている」

「どうやって?」

「パーサ」

「なんだの?」

「ナンバーズの中で、シバヤンの目を持っていないのは二娘だけだったよね?」

「一娘様は判らやん。多分付けて無いと思う」

「三娘以降は全てシバヤンの目を持っていると」

「そう言う事になるわなあ」

「もちろん七娘も」

「うん」

「シバヤンは彼女の目を通して、大氷原にいる我々を見た。なにをしているのか?そこはどこなのか?」

どこか分かってるから、ナナちゃんは真っ直ぐに落ちて来たんだろう?

「前にシバヤンが出てくる時、ヤクスチランの話をしてたわよ。聞いてたんじゃない?」

「シバヤンさはアシの目で見れるけど、耳はないでよ」


「ねえパービーちゃん。ナナちゃんは宇宙で何をしてたの?」

「最近の事だで判らやん。あとパービー言うな!」

「ナナちゃんにはパービ、いやパーサちゃんの気配がナンバーズ同士の感応で判った。だから何も考えずに凍った海だと思った所へ落ちて来た。落ちたらそこは陸地だった。そこで初めてシバヤンさんはマウリヤ島の南に新大陸がある事を知ったのさ」

ナナちゃんの目を通してシバヤンはその事を知り、同時になんと俺たちがそこに居て、その北の海にはマウリヤ島がある。と言う地理を知ったのか。


「そこから先は僕の推測だけど、シバヤンとヴァルガには何かしらの呪が結ばれている。そしてそれは人間でなければ解けない。魔法や飛ぶ生き物に乗ってでなく、自力で海を渡って来る人間。簡単に言えば勇者だね。シバヤンはそれは『解けないクイズ』だと思っていた。嵐の海。凶悪な海の魔物。そこを渡れる人間は誰もいないから、ヴァルガの呪を解くものはいない。と言う訳だ」

「ところが、ペンジクの神々も知らない南の海が凍りついていて、犬橇で渡れるかも知れない。と判った訳ね」

「いかにナンバーズが相互感応出来ても、今のパーサの所へ来れるのは、宇宙にいた七娘だけ。と言うわけだな」


「でもおかしいやんか。前ヤクスチラン来た時も、パーサもおったやろ?そやったら、大氷原もヤクスチランも見とった訳やないか?」

「シバヤンさはずっと見とる訳だない言ったがね」

ナンバーズの目は、シバヤンの代わりに見る事は出来るが、位置までは判らないと言う事か。だからナンバーズの中で一番丈夫な外殻を持つ七娘を宇宙に打ち上げたんだな。

「シバヤンは知りたかった事を知った。そしてそれ以上の事も知ったのさ」


「この件が終わったら、シバヤンとパトニカトルの会談が必要だな」

「そうだね。そしてそのお膳立てをするのが、人類の代表の仕事。ってことさ」

やれやれ。

「ねえ。まだ分かんないんだけど、それ以上の事って、なんなの?」

ステルが首を傾げる。

「勇者がヴァルガのいる島に辿りついて、何かをする。そしてその事をヴァルガも、おそらくシバヤンも望んでいる。と言う事かな。まだそれが何か判らないけど、その呪が解ける日が来る。とシバヤンは思った。だから僕たちがマウリヤ島を目指す事を察して、秘密で事を運ぼうとした事を黙認したのだろう」


よく判らないが、もの凄くでかいフラグだと言うことは判った。

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