表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
254/1941

7-16.隕石

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


7-16.隕石


不幸中の幸いだが、村人(ミイラ)達は全員外に出ていた。歩行訓練と虫干しを兼ねて、イグルーとトマレが地上に連れ出していたので、その場に(うずくま)って怪我人は居なかった。

地下壕も天井は無事だったが、入り口が崩れて入れなくなっていたので、俺たちで修復した。

アヌビスは一人一人診察したが、びっくりしてお婆さんが一人転んだ以外は無事だった様だ。


アヌビスは引き続き診療したい(まだミイラから人に完全蘇生していないので、俺たちの治癒魔法は役に立たない)と言う事で、俺たちは再度隕石落下の現場に戻った。

先程は舞い上がった氷片と砂塵で煙幕の様だったが、大分収まっている。

比較的小さな隕石の落下だった様だ。

直径20m程の穴が開き、氷の層が無くなって地表が露出していた。


一般にクレーターの直径は隕石の10倍だそうである。

だから前世のメキシコ、ユカタン半島に約6600万年に落ちた。と言われる隕石、と言うより直径16kmの小惑星は直径160km程のクレーターを作り、舞い上がった砂塵が大気圏で太陽光を遮り、気温が急激に下がって恐竜絶滅の原因になったと言われている。植物が育たない→草食恐竜が絶滅→肉食恐竜も絶滅。と言うわけだ。

「アルマゲドン」

と言う映画が結構好きだったが(特にリブ・タイラー)、地球を破壊する規模の天体が衝突。となれば、核ミサイルを打ち込んだ位では何の役にも立たない。


話が脱線したが、件の隕石だか何だかの落下物。クレーターの中心まで降りてみると、実に漫画的な光景が広がっていた。

「足だねー」

「足だーまなだよー」

誰にも解って貰えない(当たり前)

ちなみにみんなが魔王を探し始めるので、起き抜けに

「朝だーまおー!」

と叫ぶのは自粛している。

漫画的光景。地面から足が二本生えている。

しかし長い。3m位あるなあ。人間じゃない。

魔王か?


やがて足がユラユラ揺れ始め、交差すると、

クルッと腰を捻って、ドリルの逆回転の様に体がせり上がって行く。

スポンと全体が抜け、バンザイをした女の子が飛び出して来た。

女の子と言っていいのか?

身長6m以上あるよなあ。

錐の様に地面に食い込んだだけあって、体の凹凸は余りない。顔も細長く目鼻らしいものはあるが、口はない。全体は銀色で、やはり銀色のミニスカートを穿いており、よくある宇宙人みたいだ。

しかし、これってアレだよなあ。


「なにこれ?」

オコが呟く。

「なにこれって、これはアレだがね。ナナちゃんだがね」

やっぱり。

「だからなによナナちゃんって」

「ナナちゃんはナンバーズの七娘(ちーにゃん)だがね」

え?このでかいのが?

俺はシバヤンの神殿で、

「ナンバーズ勢ぞろいでお出迎え」

と言うのを何回か見たが、こんなデカブツは居なかったぞ。

「たりみゃあだわ。これはモビルスーツ。これを使うのがナナちゃんの特技(チート)だて」

最初見た時サンディのデカさに驚いたが、あれもモビルスーツと言うか着ぐるみだったな。

この子もそう言う能力をシバヤンから貰って居るのか。


やがてキャンプ用エアマットの空気が抜ける様に体が縮み始め、パーサ達と同じメイド服姿の少女が出てきた。

間違いない。ナンバーズだ。外観はパーサと余り違わない。顔もよく似ている。

ただ髪が、金髪縦ロールだ。

「ナナちゃん、髪染めやーたの?でら似合うがね」

「あらパービーちゃん、ご機嫌よう。シバヤン様が、個性が大切。とおっしゃいまして」

そう言うキャラがこの子に割り当てられたわけね。

「パービーちゃん」

「ププッ」

オコとステルが笑い転げている。

おそらく八娘だからパーちゃん。パーサはクローンだからパーBなんだろう。


オコとステルを睨みつけたパーサが

「そんで何しに来やーたの。こんなどえらけにゃあ大穴開かしてまって」

「ごめん遊ばせ。ちょっと用事で宇宙空間にいたものだから、速度が付き過ぎて、軟着陸(ソフトランディング)に失敗したのですわ。誰もお怪我がない場所を選んだのですけれど」

宇宙空間で何の仕事を?

「アシになんかよう?」

七娘だから姉の筈だが、特に遠慮はない。そう言えば五娘にも最速王をかけたライバル心はあるが、姉とは思ってない様だった。

製作年代が近いのかな?

二娘の事は姉と思っている様だが、なんか偉そうにしている。二娘の方は歳の離れた妹の生意気に

「はいはい」

と従って可愛いがってる感じ。

一娘様(パーサがこう言うので俺たちもうつった)にはまだ面識がないが別格な感じで、サンディのみならずシバヤン宮全体の宮宰だし、パーサ達が生まれた時初等教育を施しているので、パーサ達には母の様な存在だ。ナンバーズの中ではパーサが一番最後に生まれ(クローン分裂)ており、一娘を尊敬しているみたいだ。


「用と言うか、貴女の遠隔装置(ドラレコ)が故障しているので、様子を見て来いと言われたのですわ」

「誰に」

ヤバイな。

「サンディ様にですわ。シバヤン様は"ほっとけ"とおっしゃったのですけど、サンディ様が心配されて、内緒で」

首の皮一枚。ってやつかな?

「サンディさんにお伝えください。近々パーサを連れて必ず修理に伺います。パーサの事は俺が責任持ちますと」

「わかりましたわ。近々修理に来られる由。そしてパービーの事はメグル殿が責任持って妻に迎えると」

「「違う!」」

「それな!」

「違うってパービー!」

パービーパービークスクスとオコとステルがまた笑い転げている。成功だ。重婚問題でまたオコと揉めたくない。

「もう、パービー言うなてナナちゃん!」


「あら?」

七娘の胸のペンダントが赤くピコピコ点滅している。

「もう時間がありませんわ。宇宙に戻らねば」

カラータイマーか!

しかし七娘が地上に落ちてから、3分どころか3時間は経ってるぞ。

巨大スーツ姿に変身した七娘は、確かにあのM78星雲から来た人にも似ていた。

「シュワッチ!」

とは言わなかったが、飛び立つ態勢になってから一度止まった七娘は、俺の方を振り向いた。


「忘れてましたわ。シバヤン様からの伝言です」

バレてたか?と思って緊張した俺に

「彼奴は人間を待っている」

と言う謎の言葉を残して、七娘は飛び去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ