表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/1940

新しいヨウコ(3)

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


1-20.新しいヨウコ(3)


俺のボン契約解除は簡単だった。解除書類は昔流行ったあの映画まんまの"令"と書かれた細長い札で、先先代が、俺の額に貼り付けると、

「ポーン」と言う電子音が一回だけ鳴り、それで終了。まあ「エラーファイル」と書かれたフォルダを転送消去する様なものだろう。

「南南東百八十里。鏡の司の夢枕に告げよ」

「はっ!」と言う声がする。

「これで三日目の夜にお告げが下る。今回の新しいボン様は直ぐに見つからないと困るしな」

これでますます失敗出来なくなった。


そう思っていた時

「ううううわ〜〜っ!やめてぇ〜〜っ!痛い痛いっ!」とヨウコが苦しみだす。ヨウコの体はみるみる小さくなり、赤だか青だかのキャンディを舐めた様に若返って行く。出会った頃の幼児よりも更にに萎んで、やがて勾玉の様な形となる。

「これがヨウコの幼体や。飛べ!宿主を定めよ!」

ひゅん、と勾玉が妖狐の里目指して飛ぶ。


ヨウコの寝ていた後には、緑色の淡い光が人型に光っていた。

「それがヨウコの魂や、婿殿、早く眷族の体に繋ぎとめなはれ。技術などもうええ。誠意や若さや青春や。抱きしめや、撫でさすり、揉み、 舐めまくるのや!」突然の婿殿呼ばわり。


だがエロい事をするのは違う気がする。もっと神聖な儀式じゃなきゃ。

俺は眷族の手を握り、呼びかける。

「ヨウコ、この体に入れ。末永く俺と添い遂げよう!」

蒸発する様に天井に立ち登り、そのまま成仏(でいいのか?)しそうだった緑色の光りが、すうっと眷族に引き込まれる。


「ううううん」

眷族、いや新しいヨウコが目覚める。

「メグル。怖い夢見てた」

そうか、どんな?

「変な人材派遣会社で転生させられそうに」

それは怖かったな。


「上手く行ったの?何があったの?」

「自分の胸に手を当ててよく考えてご覧」

「SUGOI DEKAI!。メグルがこの胸触ったりしてスケベで呼んだの?」

「いや、普通に…。誠意で」

「末永く俺と添い遂げよう!末永く俺と添い遂げよう!末永く俺と添い遂げよう!」

ババア煩いっ!


「それでやな」

先先代が、なぜかハサミを持ってる。

「まだ眷族とわての間に、霊的な臍の緒が繋がってるんやが、監視役として、これは残した方がいいかと思うのや」

確かに細い透明の糸が先先代と眷族を繋いでいる。


「残すと何か利点が?」

「情報とか、その他諸々わてに直ぐ伝わるので、危険な時直ぐ助けに行けるで」

「うーん…その他諸々って?」

「感情とかやな。ヨウコが婿殿にいい事して貰うと感じるいい気持ちが、わてにも」


ヨウコが先先代からハサミをひったくると、ためらいなくバチンと臍の緒を切った。俺が

「端末にトラップを仕掛けて、メーカーが個人情報を不正に取得する事は犯罪です」

「もう…お茶目な冗談じゃ。そんな若夫婦の夜を覗く姑みたいな事、ようせんわ」

覗く気満々だった癖に。


「これで、あんたらが首尾よく逃げられるまでお別れやな。あんじょうお気張りやす」

「判った。必ずまた会えますよね」

「会えるで。嫌ちゅうほど」

なんか背中を悪寒が走った。

「あとヨウコの腕の傷な、カラスの。今度の体にも付けといたで。侍女に目ざとい子がいてるしな。まあ無事逃げおおせたら、消したるわ」


「「そのままで大丈夫です」」


〆のセリフが気に入ってます。大事な傷。


読んでいただきありがとうございます。

気に入られましたら、

ブックマーク登録、★評価頂けるとありがたいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ