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50-21.女王の正体

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


50-21.女王の正体


女王の肉声を聞いた途端、状況が変わった。

老婆の姿は消え、紫陽花よりは年輩だが、まだ十分に若い婦人の姿が現れた。

「これは失礼いたしました」

側近が慌てて女王にベールを被せる。


「なんでいつもは、おばあちゃんになってるの?」

ステルが流石に小声で訊く。

「ムニンの長老にも同じ習慣があります。長老に就任すると老齢者の姿を纏うのですよ」

「なんのために?」

ステルがザ・フォーク・クルセダーズの曲名で問う(※知っている人は同世代)。


「まあ、若造が跡を継いで長老になる事もあるので、舐められない様にでしょうね」

確かに物語の長老は高齢の爺さんか老婆で

「定めじゃ(錯乱坊@うる星奴ら)」

とか

「あの山に行ってはならぬ」

とかしわがれた声で呟くんだよな。

あれが小学生くらいの子供だったら、確かに舐められるかもしれん※。


※葬送のフリーレンで人気投票をやると、たった1話にしか登場しなかったキャラクターが上位に来る事がある。

もちろんその筆頭は

「断頭台のアウラ」

だが、原作第3巻25話

「剣の里」

(アニメ1期12話)に出てくる49代目の里長さんも常に人気投票上位だ。


まだ幼い里長さんはフリーレンが先々代里長(おばあさま)

「近いうちにまた来る」

と約束したのに80年以上遅れたことに

「ブチ切れて」

いるのだが、千年以上の時を生きるエルフに対して、せいぜい生きて80年の人間との再会が難しいことを表している。


筆者も一番好きなキャラクターだが、それはCVが

「ククリ(魔法陣グルグル)」

の小原好美さんであることも関係している。

小原さんは、かぐや様の藤原書記だし、まちカドまぞくのシャミ子だしな。(※終わり)


「カシスを育てる妖しの民を目撃されたのは、どちらですか?」

老婆の正装を捨てた曼珠沙華女王は、いきなり俺たちに話しかけた。

この人は落ち着いた成人の雰囲気を漂わせているが、

目は何かを期待する様な輝きに満ちていた。


「あ、即答を許します」

頭越しで女王が話しかけたので慌てた側近が追加する(※この人の名は片栗と言う事を後から紫陽花に聞いた。俺の翻訳機能はどうやらフギン族は全て植物の和名で行く事に決めたらしい。片栗は百合に似た花を付ける植物で、その根からはカタクリ粉が取れる。現在のカタクリ粉はじゃがいものデンプンを指すが、たおやかな外見に反して質実剛健で実用的なところが、この側近の性格を表している)。


「私はレムリアの魔法使いノヅリ。私がここにおります妻のワタリガラス神コリナンクリンと世界一周の新婚旅行に行った時、偶然アノ山脈の麓で、カシスを栽培するフードを被った人々を見たのです」

「ああ…、この地のワタリガラス神様のご夫君。ワタリガラス神様とは、一度ご挨拶をしたいと思っておりました」


「私と?」

社長がちょっと驚く。

「はい、我が先祖のフギンとその連れ合いムニンがかつてオーディンに連れて来られた時、大変お世話になったとか」

確かムニン族にもそう言う言い伝えがあったな。


だがこの一族はワタリガラスに化身できた魔族の末裔というだけで、現在でも魔界のワタリガラスと関係があるわけではない。

ましてレムリアのワタリガラスの神であるコリナンクリンとは縁もゆかりもないのだが、先祖が世話になった神ではあるし、フギン族がレムリアに来た以上は仁義を通しておきたい。

くらいの気持ちだったろう。


社長がずっと烏天狗を探していたのは、動物神に対する動物たちの信仰が大変弱いもので、それだけではワタリガラスたちを守る事ができず、運送会社を立ち上げたりして大変苦労したからで、犬神マルモシウスに対する犬人の様な高度生命体の信仰があれば、もっと楽にワタリガラスを守れるのに。

と言う思いだった。


だが、実際に会ってみると烏天狗(ムニン族)は魔界から来た者で、特にコリナンクリンを信仰する民ではなかった。

今の社長はそれでもいいと思っている。

だが、共にレムリアのワタリガラスを守れる存在になってくれれば、なお良い。

と思っているだけなのだ。


「不思議なご縁を感じますね。その謎の人々はやはりフギン族の方々なのでしょうか?」

と師匠が尋ねる。

どうもその人たちが、ククドゥ王国とは別行動している感じなのが、気になるところだ。

まさか魔女の手先に?


女王は少し困った顔をして、片栗とコソコソ密談した後こう言った。

「妾の一人息子、翌檜(アスナロ)だと思われます」

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