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49-24.思い当たらない

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


49-24.思い当たらない


コンコン達妖狐は冥界と縁が深い。

初代が九尾の狐。つまり悪事を働いた大妖怪であったが、醍醐教ジョウザ派を開いた初代のボンに帰依し、生涯を忠実なしもべととして仕えた。

ボンが亡くなった時、妖狐もお供をしたが、醍醐教でも一派を築いたボンに比べ、妖狐は人間ですらない。


ボンは醍醐神界で菩薩として地位を得たが、妖狐の方はそのままだと冥界で冥王の裁きを受けて、十中八九地獄送りだ。

なにしろ王をたぶらかしていくつもの国を滅ぼした悪女なのだから。


冥界では妖狐の扱いに苦慮し醍醐神界と相談して、不起訴のまま妖狐のための引退・静養区域を設定した。

その事案を踏襲して、次代の妖狐も没後は初代様の近くに隠居所を設け、それが慣習となった。


冥界のキャパシティにも限界があるのだが、妖狐たちは四次元的手法で時系列順に家を構えたので、現在の様な、代を遡る度にどんどん遠くになった。と錯覚させるような

「妖狐の老人ホーム」

が出来上がった。


若くしてボンと共に亡くなった先代妖狐のような方もおられるので(俺には義母にあたる人なので、口調が丁寧になる)、ちょっと表現が適当ではないが

「妖狐の里」

と表現すると、現実にレムリアにある観光地と同じになってしまうので、あえてこう呼びたい。


時系列順なので初代様は一番奥におられ、ステルが飛んでも結構時間がかかる。

初代様は一度だけ俺に会いに来てくれた事があるが、ウルトラマンの様にほんの数分話しただけで帰ってしまった。

現世に出てくるだけでも莫大な妖力を使うので、そのまま100年の眠りについてしまった。


基本的に今でも初代様は自宅で寝ており、3メタルの誰か一人が交代で世話をしていた。

俺たちが会う時は、朱雀国南部に店を構える

密林男(ジャングルマン)

の魔剤を持参して行き目覚めていただく。


この魔剤は大東の

魑魅魍魎散(モンスター)

やペンジクの

赤雄牛(ラールサーンド)

に比べると安価でいいのだが、最近成分から

魔果(マカ)

が省かれたので、効き目が弱くなった(※メタ表現である。ちなみに主人公が前世に存命中は、ジャングルマンには成分にマカが含まれていたが、現在はアルギニンに変更され、マカ配合をチェリオ自販機で得るためには200円のゴジラを買わねばならない)。


斉天大聖が若かりし頃の黒歴史で、天帝宮の仙桃(西王母の庭から移植したもの)を全部盗んだ時、彼は殆どを自分で食ったが、7個だけ残しておいてドライフルーツにした。

斉天大聖は自らの部下である五大猴に与え、不死にしようとした。

仙桃には食べた人を不死にする効能があり、斉天大聖も不死を得ていた。


仙女から生まれた斉天大聖の娘、金糸猴は元々不死性を持っていたので仙桃は辞退し、斉天大聖の手元に3個の乾燥仙桃が残った。

それを貰ったのだが、斉天大聖は俺たち夫婦が使うかと思った様だが、俺は老後は文殊菩薩になるらしいし、オコは既に大聖母として信仰を集めている。


そこでオコは早世して冥界に行っても体が弱い義母の先代妖狐と、コンコンとしていつも一緒にいてくれる先先代妖狐(小狐に憑依しているので妖力の消費は少ないが、実体で現世に顕れたりする時間が増えた)に渡し、残りは初代様に献上した。

初代様は相変わらず現世には来られないが、自宅で目覚めていられる時間が伸びたので、なにかお尋ねする事がある時に助かっている。


という訳でコンコンはしょっちゅう冥界に行くので、亡者についての情報にも詳しい。

その気になれば異世界の冥界情報も入手できるらしいのだ。

だが千年前に魔界から大量のレッサー魔族らしき者達が千人単位で冥界に来た事など、記録にないらしい。


「やはり彼らはレムリアに来ていると思う。彼らの特技は諜報活動と言ったね?」

「はいそう漏れ聞いております」

タニエの祖父でユリニウスの父、(髭の)ユリニウス(ええい面倒くさい。ステルはこの老人と仲良くなって『ひげ爺さん』と呼ぶ様になった)は言った。


「レムリアで、ムニンとかフギンとか言う名前に、誰か心当たりがないかい?」

「ないねえ」

ステルが首を振る。

自然と皆の目が一番詳しそうなコンコンの方を見るがコンコンも黙って首を振った。


「何か…聞いた事がある気がするのだけれど」

社長が相当不思議な顔をしている。

「凄く凄く幼い時に…、聞いた様な…、思い出せないわ」

「ウラナ君は?」

師匠が訊くが、皆が知らない事を俺が…。


見ると師匠がウインクしている。

皆も。

ああそうか。

リリパッド達の前でスミティには聞けないもんね。

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