48-37.いかん!また余談ばっかに
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
48-37.いかん!また余談ばっかに
マリスによると、心理地雷を植えつけられた人にはその自覚がないらしい。
だからもし俺が最後の心理地雷のターゲットだったら、今俺が
「師匠が怪しい」
とかスミティと大真面目に論議しているのは滑稽で、運命神たちは腹を抱えて笑っているだろう。
だが今の俺にはとりあえず自分の事は
「置いといて※」
疑惑を解明せねばならない。
そのために、まず自分が名探偵に相応しい事を証明するため、皆が眠りについた後、スミティと時間旅行に行く必要があった。
※私の記憶の中で最も古いテレビ番組は、多分アメリカのテレビドラマ
「ローンレンジャー」
ではないかと思う。
颯爽と馬に乗ったローンレンジャーが悪漢を懲らしめるために敵地に向かう時に流れるテーマ曲は、ロッシーニ作曲
「ウィリアム・テル序曲」
の第4部、スイス軍の行進曲だった。
このメロディを大いに気に入った私は親にねだってレコードを買ってもらった。
これが初めて買ったレコードだった。
やがてアメリカドラマの影響を受け、日本初の連続テレビドラマ
「月光仮面」
が始まり、私は友達と一緒に月光仮面ごっこをしたが、おもちゃのサングラスと二丁拳銃、風呂敷のマントと並んで私たちのマストなアイテムはタイツだった。
これも親に頼んで女児用のをなんとか買って貰った。
これが私の初めてのコスプレである。
さて大人たちが夜の団欒のお楽しみにしていたのが、NHKの一連のバラエティ番組で、クイズ形式が多かった。
「私の秘密」
は、特異な体験をした人や特殊な技能を持った人が登場し、出演者がそれを当てる。
と言うもので、全く同じ形式で後に民放でも番組が作られた。
NHKの番組の方は余り覚えていないが、民放版の方は
「東芝ファミリーホール特ダネ登場⁉︎」
と言うバラエティ番組のコーナーで
「特ダネさん募集」
と言う企画があり、視聴者から応募を募ってその人がどんな秘密を持っているのかを出演者が当てる。
と言う私の秘密そっくりなコーナーだった。
長門裕之・南田洋子夫妻とか、山本直純、萩本欽一、金田正一とかが、わざとボケた回答をしてお茶の間を楽しませた。
体をすっぽり覆うマントで視聴者が出てくると
「下に何を着ているんだろう?」
と子供の私はワクワクしたものだ。
その他に
「私だけが知っている」
と言う推理形式のクイズ番組もNHKでやっており、
そのオープニングの画面と音楽がいかにもおどろおどろしくて、幼児の私は怖くて隣室に逃げた。らしい。
そして今でもやればいいのに。と思うのが
「ジェスチャー」
と言う長寿番組で、身振り手振りで人に伝える
gestureという英語がジェスチャーとして日本で定着したのは、実はこの番組が始まりだった。
欧米には昔からあるレクリエーションゲームで
出題者がジェスチャーでやる題目を当てるまでの時間を競う。
それも
「誰それが何々をしたらコレコレだったのでホニャララになってしまい困っているのを笑って見ている何某さん」
みたいな長い構文を寸分違わず当てるまで正解にならない。
NHKの番組では白組の出題者が柳家金語楼さん。紅組の出題者が水之江瀧子さんだった。
※印をつけてまで何を長々と思い出話を書いているかというと、このジェスチャーという番組で、今も年配の人が使う、両手を荷物を持つようにして、それを脇にどける
「おいといて」
という動作が生まれたのである。
その他にもネクタイを締める動作で
「男」
とか、いろんなお約束の動作があった。
(※終わり)
「天帝神界のパンデミックといえば第38部の終わり頃からだったね?」
『はい、ですがそれは二重の意味でメタ表現ですよ』
「どうして?」
『まず私たちの時系列を小説みたいに分類している事。あとパンデミックはあなたが死んでから前世で日本語になった言葉です』
「そうだった、ごめんごめん」
(※というような会話を登場人物に語らせているのが、だいたいメタ表現なので三重になっている)
「ちょうどミグルディアの反魂とアイデンティティの確立が終わった後だった。青天の霹靂の様に起こった事件だった」
『それより前には遡る必要はありませんね』
「どうして?」
『魔女がもしミグルディアさんの事を知っていたら、全力で妨害しただろうからです』
なるほど。
マチアス・ナビルを魔女陣営から引き剥がす唯一の希望がミグルディアだったもんな。
でもそんな妨害は起こっていない。
「と、なるとそれ以降に地雷を植えつけられた可能性があるのか?」
『醍醐神界で醍醐如来と会談した時は除外しても大丈夫でしょうね』
まああそこも入れんだろうな。
「次は…、小津を救出して技芸天の謎に迫る」
まあ醍醐神界の住人と接触している期間も大丈夫だろう。




