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48-24.作戦会議

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


48-24.作戦会議


その後のゴンドワナ人類史、とりわけ召喚された旧ゴンドワナ人との遭遇については、今は語らないでおこう。

それらの出来事が、レムリアの第二次ラグナロクより前だったか、後だったかも※。


ミヒャイル・エンデの

「果てしない物語」

なら

「それはまた、別のお話」

と言う所だ。


※実はまだ何も考えていない(汗)。

この物語の一つの節目がラグナロクである事は確かなので、その後ゆっくり語る事にしたい。

メグルとオコの子供達の物語と並んで、2000話以降の重要なテーマになってくれると思う。


とは言っても俺たちの近くには、いつでもレムリアとゴンドワナを行き来出来るパピーズと、義娘の事が心配でならない白フクロウのおじいさんがいるので、彼らの動向を知る事は容易かった。

だが今は彼らの行く末に気を配っている場合ではない。


パピーズがゴンドワナに行っている間に、俺たちビッグセブンは久々に会議を開く。

「マリスの協力によって、今回のラグナロクにおけるヨルムンガント級であった心理地雷の脅威はほぼ取り除かれた。今後は神界・現世共同作戦として、フェンリル級の天使兵軍団撃退に向けて全力を上げよう」

俺が会議の口火を切った。


「それは大筋正しいけどね。650個あった心理地雷の目的は、各地で一斉に作動させて、こちらを大混乱に陥れる。という事だけじゃない様に思うんだよ」

師匠が意見を述べる。

師匠は小学校の学級会によくいる

「皆の水を注す様な事をわざわざ言う」

タイプではあるが、指摘はいつも正しい。

ちょっと悔しいけど。


「ダーリンの言ってるのは『ロスト・ワン』の事でしょ?」

社長がフォローする。

二人だけの会話で使われた単語なのだろう。

だが意味はわかる。


3個ペアで使われて来た余りの2個。

割り切れない2個。小学校の算数で言えば

「650÷3=216あまり2」

のうち1つは、大東神界の天帝御乱心騒動の際に用いられた

「心理ウイルス」

作成に使われた。


神々には精神操作魔法が効かない。

なので心理地雷も不発に終わる。

ラグナロクの主戦場の一つである現世において、王侯や将軍と言った指導者に心理地雷が使用されなかったのは祝着至極であるが、半人半神であり、希少な様々な仙薬を練ることができる天帝神界の仙人に心理地雷を仕掛け、神々にも感染する心理ウイルスを作らせた。


そして傀儡師小津の製作した天帝神界フリーパス通信手段

「金翅鳥(傀儡の鳥)」

を媒介として、天帝神界内に持ち込んで蔓延させたのだ。


最初は小津も共犯、つまり小津にも心理地雷が仕掛けられたとも考えられたが、今回の小津はむしろ被害者で、通常の手順で金翅鳥を飛ばしただけだった。

なので余りの心理地雷はあと一個ある。


これが社長の言うロスト・ワンだった。

「まあその辺は、実験に誤差はつきもの、的な何かではないの?」

オコが聞くと師匠は

「そうかも知れない。製造工程で不良品としてハネた物かも知れないね。でも逆に」


「残りの649個は最後の一個のために作られたのかも知れへん。ちゅうこっちゃな?」

コンコンが頷く。

「その通りです妖狐様。敵の狙いはヨルムンガントを目覚めさせるためにその一個を使いたかった。その他はダミーに過ぎない。とも考えられる」


1944年7月、アメリカはグアム島を日本から奪還し、以後日本本土の空襲が本格化する。

多くは日本建築が多くは木造ということから、爆弾でなく燃え広がりやすい物質が充満した焼夷弾が使われ、多くの非戦闘員が命を落としたのだが、1945年に入ってから、日本各地の軍事拠点に謎の模擬弾が打ち込まれた。


軍港広島にも落下し、人々は

「爆発しなかったのは、神がお守りになったからだ」

と噂したが、当然それは8月6日の世界初の原爆投下のシミュレーションだったのだ。


俺は終戦9年後に生まれた名古屋っ子だが、当時

「もし日本が無条件降伏しんかったら、次は零戦を作っとった三菱工場のあった名古屋もその次か次の次に原爆落とされとったでねぇ」

と大人から良く聞かされた。


事実8月9日は、目標地だった佐世保の空に雲が多かったために、目標が急遽長崎に変わったという。

本当に戦争では、どんな状況でも楽観は許されない。


確かにもう一個の天帝神界で使われた地雷についても、結果造られた心理誘導物質を俺が

「ウイルス」

と定義したために、醍醐神界の薬師如来のチームが

「防疫作業」

として、完全に抑え込む事に成功した。


もし俺がこれを

「心理ガス」

の様に定義した場合、レムリアでは地下鉄サリン事件の際に活躍した自衛隊の化学防護隊の様な組織は上警でさえ持っていないので、天帝神界の混乱は更に続いたと思う。


「そのたった一個の地雷のターゲットがラグナロクの勝敗を決する様な人物だったら、残りの648個や無駄骨だった手下たちも必要な失敗だった。と言えるんだよね」


「しかし、そうは言ってもさ、心理地雷は基本神々には効果がないんだから、最後の虎の子の使い先は限られるよね?」

俺が言うと師匠は深く頷く。


「だから困るんだよ」


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