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48-7.パピーズたちのナーバス

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


48-7.パピーズたちのナーバス


そろそろマリスとミグの旅立ちを書かねばならないのだが、何しろパピーズは、二人をあの井戸の浮遊神界から犬人の里に送り届けたのち、直ちにレムリアに戻って任務についたので、こちらを先に説明しようと思う。


俺はパピーズが二人をクロウサギの賢者、つまりシンダル王に引き合わすまで先導してくれるのを期待したのだが、パピーズの反応は薄かった。

「いや大丈夫だと思いますよ」

とウラナα。

彼はパピーズのリーダーとして常に慎重の上にも慎重を重ねて、時にはナーバスになってしまうのだが、マリスとミグの件にはあっさりしたものだった。


「ミグルディア様と元ヨルムンガント級のコンビでしょ?怖いものなしよ」

オコαが楽感的に言う。

「今の所、ゴンドワナには凶悪な因子も感知できないし」

セイコαは

「リリス因子」

に代わるゴンドワナでの呼び名をまだ見つけられていない。


ゴンドワナでアダムとイブに代わる名前もまだ分からないが、今後旧ゴンドワナ人に会う事があれば、それは判明するだろう。

俺の勘では、それもマリスとミグなのではないかと思う。

まあこの辺は俺の翻訳機能の問題なので、俺がそう思っていると、結局そう訳されるのだが。


だが賢者が覚えている古いゴンドワナの神話には、レムリアの

「魔女メハシェファ」

に相当するものは出てこない。

もちろん虚無の女神もだ。

あまりに牧歌的な妄想をするのもなんだが、古代ゴンドワナで、問題を起こすのは人類だけだったらしい。


他の種族は、いがみあいも、騙し合いも、妬み合いも無く、仲良く暮らしていたようだ。

この辺は

「武器で死んだ痕の残る人骨や、焼かれた住居の跡が殆ど見られないので、一万年続いた日本の縄文時代は争いがなく、平和な時代だった」

と言う楽観論と同じで、貧しくて争ってる場合じゃなかったのかもしれない。


だが、現在のゴンドワナの

「物を言う獣にされた神々」

の性格を見ても、色々やらかしてくれるレムリアや前世の神話の神々に比べて、なんだかのんびりしている。


やはり現世人類

「ホモ・サピエンス」

自体が、親戚であるネアンデルタール人などと比べて、好戦的で、嫉妬や裏切りに満ちていて、それが故に多種族を圧倒して星を支配したのかもしれない。

つまりはリリス因子だ。


古代ゴンドワナでも、この要素は人類だけが持っていた様で、だからこそラプラス神は人類の根絶を決意した模様だ。

同じプログラムのバグでも、レムリア神よりこちらの方が納得が行ってしまう。


「今僕たちやマーリン先生がお二人を助けるのは簡単ですが、彼らはゴンドワナの諸神と対等でなければなりません。人類の祖神として、上位的な存在の助けがあると、賢者たちに認識されるのはかえってお二人のためにならないのでは?」

とノヅリαに諭されてしまった。


仰る通りだな。

この若者には、論戦で勝てそうな気がしなくなって来た。

これは、パピーズたちが二人を信頼していることでもある。と思う事にしよう。

それ以上にパピーズたちは新しい任務に相当入れ込んでいる様だ。


入れ込むとか、熱くなるとか、そう言う状態を日本ではポジティブに捉えるが、米語では大きなイベントに向かって準備万端、開幕が楽しみでしょうがない。

と言う状態を

「exciting」

と言う。


だが、やはりそうは言ってもちょと不安もあるよね。もう他の事考えられなくて。

とか言う場合は一足飛びに全部

「nervous」

と表現する様で、日本ではナーバスと言うと、もうすぐに引きこもりそうなイメージだが、これは

「ドキドキします」

位の訳でちょうどいいみたいだ。


という訳で、そんな状態のパピーズの編成を

セイコα、オコβ、ウラナα、ノヅリβのチームと

セイコβ、オコα、ウラナβ、ノヅリαのチームに

最終的に分ける事にした。


主力(センサー)がセイコαβである事は言うまでもないが、対魔女勢力抑止力であるオコαβがついている事。

そしてチームのリーダーシップをウラナαとノヅリαに分担してもらおうと言う狙いだ。


と言っても子供と犬が

「こんちわー。検針にきました」

みたいなノリで乗り込んでも相手にされないので、彼らは

「優秀な魔法感知犬と調教師」

的スタンスで、上警捜査官に同行してもらう事にした。


上警であれば、世界中の警察組織にも顔が効くし、各国首脳も逆らうことができない。

俺たちが最も親しい上警の上級捜査官は四娘なので、今回の任務は四娘に依頼したが、もちろん四娘には表に出てきて貰う訳には行かないので、彼女の部下を派遣して貰った。


四娘自身が変装する事もあるようだが、彼女の部下には女性としての利点を活かして潜入捜査する

「くノ一型」

捜査官が揃っており、男を上機嫌にさせて情報を引き出す事には長けている者が多いらしい。


もちろんハニトラのような人身提供はしない。

その危険が迫ると、なぜか突然相手のヒヒジジイが昏倒するらしい。

だから彼女たち捜査官は安心して仕事ができるし、彼女たちの

「カマイタチのお頭」

に対する信頼感(リスペクト)は信仰に近いのだ。


と言うわけで、四娘が厳選して派遣してくれた捜査官が二人、屈強なボディガードに伴われてやってきた。

ボディガードは身長190cm以上、筋骨隆々。

と言うより実践的な筋肉をまとった細マッチョだった。


なんかこの三人、見覚えあるな?


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