表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1810/1944

47-12.マーリンの予言

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


47-12.マーリンの予言


「なんか先生に秘策でもあるんですか?」

師匠が聞く。

「自分達で考えるのじゃ」

マーリンがニヤリと笑う。

マーリンがこういう悪い顔をする時は、たいてい悪事を考える時だ。


【マーリン師のリリス因子には、変化が見られません】

パピーズは普段マーリンの事を

「先生」

と呼んでいたはずだ。

だが今さっきまでマチアスがミグルディアを先生と呼んでいた。

師匠と言い換えると、俺が普段ノヅリさんの事をそう呼んでいる。

だからマーリン師と言い換えたのだろう。

なかなか気転の効く子だ。


しかしこれだけ意地悪な返答をしてもリリス因子が増大しない。という事は、あれだな?

すっげえ上から目線の

「ワシはお前たちの成長のために、あえて教えずにおるのじゃよ」

ってやつ?

なんかムカつくなあ。


ちなみにこの表現が最初にTVに登場したのは、誰か女芸人(清水ミチ子?)のやる

「典型的な若い女の子の喋り方」

みたいなモノマネ芸だったと記憶しているので、当時のJKとかの言葉だったのだと思う。

当時はネットがそれほど普及していなかったので、その頃の若い子がどういう話し方をするのか、知る手段が無かった。


だから

「ムカつく」

と言われても、一般の人は

「大丈夫ですか?吐きそうならポリ袋持ってきましょうか?」

とか返しそうだった。


この言葉が

「腹が立つ」

と言う意味で正式に認知されたのは、もちろん

「皿田きのこ(ドクタースランプ)」

の功績である。


「じゃワシは戻るでな。レムリア坊がいつ帰ってくるかわからんのじゃ」

マーリンの言う事には、レムリアくんは旅に出ている時には透明でピクリとも動かず、おとなしいものだが、ひとたび魂が帰ってくると、なかなかに自己主張の強い、手のかかる赤ん坊なのだそうだ。


「じゃあなミグルディア、また会おう」

『お義父さま。どんな境遇になろうとも、必ず会いに参りますわ』

「いや、それは無理というものじゃろう。ワシから会いに行くでな」

『あ、はい分かりました』

ミグルディアは不審げな顔をして答えた。


つまり、マーリンにはこれから俺たちが、いかにして解決するか、分かっているのだろう。

「ムカツクじいさん」

「なんじゃステル、失礼なやっちゃな」

「ヒントヒント」

「ダメじゃな。お前みたいな失礼な奴には教えたらん」


【マーリン師のリリス因子に変化は見られません】


面白がっているだけらしい。

「おねがい、リバーシブルオールドマン」

失礼じゃなく言ったつもりみたいだが、リバーシブルは裏返しても使える、という意味で、リバースしそう、という意味にはならんぞ。


「仕方ないなあ、じゃあヒントじゃ」

「わーい」

なんだかんだ言って、マーリンは子供には甘い。

「なぜワシが、最愛の娘を死に追いやらざるを得なかったか?考えよ」

「それがヒント?ケッチくさぁ〜」

「若いうちに頭を使うのじゃ、ボケてしまう前にな」

マーリンはニヤリと笑った。


そして真顔に戻ると、マチアスの石像に顔を向ける。

「マチアス・ナビルよ」

『なに?』

マチアスは明らかに緊張していた。

破滅の魔女陣営では、マーリンは最も憎むべき敵だ。と教えられた。現世で育ったマチアスには、両方の立場から見ていたので

「まさかそんな大魔王じゃあるまいし」

と思っていたが、実際会ってみるとかなり恐ろしい。


ステルやパーサに散々ディスられたりしているが、ひとたび怒ると世界が簡単に吹き飛びそうな迫力がある。

と、その時は思ったそうだ。

まあそのへんは俺が作った

「孤高の老魔法使い(名は秘すが、例の灰色の人がモデル)」

の可動式1/1依代人形フィギュアの出来の良さが大いに影響しているのだけれども(えっへんバウワー)。


「ワシはお前さんを、悪の権化と思っていた。人間の中に稀におる、悪事をやるために生まれてきた様な悪党じゃ」

つまり、リリス因子が異常に多く生まれてしまった手合いだな。


「じゃが、ガキどもの測定では、リリス因子の値は10/100前後。つまり平均的じゃな。復活したミグルディアに会うまでは、復讐の念に燃えていたじゃろうから、とんでもないリリス値であったろうがな」

『本心を明かさない性格なんでバレなかったが、腹ん中は溶岩がドロドロ燃えてたよ』


「そうじゃろうな。心配かけて、誠にすまんじゃった」

マーリンが頭を下げる。

という、今まで一度も見たことのない光景。

全員ちょっと驚いた。


「ワシは少しは魔法が使える」

嫌味な言い方だ。ムカつく。

「じゃからお前さんが得意とする精神操作魔法はよく知っておるし、まあ自分でもそこそこは使える」

そこそこねえ…。

天才的詐欺師じゃねえか。


「じゃからの。今お主がなんの魔法もかけていない事は、わかるのじゃ」

『石にされていては、なにも使えないからな』

何か杖とかを使うらしい。

いや、香を炊くのか?


「じゃから、怨念が去れば、お前さんが根は善人じゃという事がわかる。内心の夜叉を隠すための菩薩の顔が、実は偽りでは無かったのじゃ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ