47-10.ミグルディアの悩み
転生したら転生してないの俺だけだった
~レムリア大陸放浪記~
47-10.ミグルディアの悩み
師匠の様に社長(女神コリナンクリン)と結婚して伴侶になれば、不死を約束される。
師匠が結婚したのは中年に差し掛かった頃だったから(イメージ大泉洋さん)、女子大生位にしか見えない社長と並ぶと、師匠の方が年上の援交おじさんに見えるが、実際には社長の方が千年以上歳上だ。
だが二人は仲良しで、この姿のままずっと暮らして行くのだろう。最近師匠がやけに筋トレしているのも、少しでも若々しくして釣り合いを保っているのだろうか?
もしミグルディアが女神になり、マチアスと結婚しなければ、マチアスだけが年老いて行く事になる。
結婚したとしても
「神の伴侶」
と認めるのは信者なのだ。
今のままではバクロン魔法省の特別指名手配犯マチアス・ナビルを、女神の伴侶と認める信者はいないだろう。
それどころか、清純派タレントが結婚する相手がタトゥーのいっぱい入った自称アーティストだったりすると(偏見)
「幻滅した。俺もう推しやめるわ」
みたいな感じで、ミグルディアが女神になる事さえ危うくなるかもしれない※
※当時清純派枠だったHさんがなんかアーティストのCさん(Cはロウソクね)と結婚した時、がっかりしたファンは居ただろうと思う(自分も)。
だが今回の事故で登場した元夫のCさんは
「支離滅裂な元妻に振り回されながら、シングルファザーを務めている男」
のイメージでインタビューに現れ
「なんか凄い真面目ないい人じゃん」
と評価が上がった。
『わたし…女神様になんかなりたくないです』
突然ミグルディアが吐露する。
「え?そうなの?魔法使いって、みんな神様になりたいんだと思ってた」
オコがびっくりする。
「そんな事はないよ。神様なんてなろうとしてなれるもんじゃない。マーリン先生だって修行の結果人々から神様みたいに思われてるけど、神様になりたいわけじゃないと思うよ」
師匠のマーリン評は、ちょっと持ち上げ過ぎだと思う。
「大東の仙人は、言うてもそう言う感じやけどな」
コンコンの言わんとする事は分かる。
「世俗を捨てて修行を積み、遂には神仙に至る」
と言う仙人のイメージだが、実際には天帝神界の官僚として、時には足の引っ張り合いもあるらしい。
「ステルは知らないうちに神さまになった」
ステルは天帝の成長抑制の呪いから解かれた時、歪な進化の可能性があった。それは
「今度のイーブイ、何に進化するかな?ワクワク」
みたいなお気楽なものではなく、ルーレットの半分が
「物言わぬ使役獣」
と言う残酷な未来を暗示していた。
だがシバヤンから翼を授けられた事により、ヤクスチランにて
「伝説の鳥ジャガー神」
と誤解され、それが信仰として固定されたので、ステルは正式にヤクスチランの守護神に進化した。
誤解とは言えヤクスチランの民がそれを決定付けたのだ。
「私はワタリガラス達の生活を支えなければならなかったから、選択肢は無かった」
社長は感慨深げに呟く。
ワタリガラス神族には他にも候補があったが、実際に運送会社を立ち上げてワタリガラス達を絶滅から救ったのは、小柄なワタリガラス、コリナンクリン社長だったのだ。
「私は神様の器じゃありません。私は人間としてひっそり暮らしたいんです。名付けの名声も、好きで得たわけでもありませんし」
真面目な女学生だったミグルディアは、魔法の道でも相当な成果を上げたが、名付けの才能が認められたのは最近の事だ。
古代ドワーフのくみんと古代エルフのアリー(の生まれ変わりの仔犬)の名付けを正確に行い、マーリンとハトホルの息子に
「レムリア」
と名付けたのは彼女の研鑽の賜物ではなく、天与の才。ふと頭に浮かんで来た名前を付けるだけなのだ。
最近は口コミで名声が徐々に高まり、赤子に名付けを頼まれる事もあるようだが、真面目なミグルディアには納得がいかない様だ。
名付けと言えば、前世で一人のタレント、と言うか芸人を思い出す。
1996年にテレビ番組の企画でユーラシア大陸のヒッチハイク旅行で話題になり、CDなども大ヒットしたが、その後は低迷し、コンビも解散、ダチョウ 倶楽部の上島竜兵の世話になっていたりした有吉弘行が再ブレイクしたきっかけは、2007年の番組で品川祐を
「おしゃべりクソ野郎」
と名付けた事だった。
これが(品川祐氏には悪いが)共感の爆笑を呼び、毒舌芸人、特に酷い(だけど当たってる)あだ名を付ける芸人として再浮上した。
一番好きだったのは、ベッキーに付けた
「元気の押し売り」
ディスりと共に愛情を感じる。
そしてマツコ・デラックスとの共演で、その話術が決して人をディスるだけの才能ではない事を示した。
(※番組で共演したフリーアナウンサーの夏目三久との交際も
「10歳も歳が違う」
と言う理由で夏目のアプローチを拒んでいたが、押しに負けて遂に2021年に結婚してからは、家庭人としての姿を賞賛する関係者は多い)
有吉は毒舌な名付けで復活のワンチャンスをモノにしたが、いつまでもそのポジションに固執しなかった。
ミグルディアも自分の努力の成果ではない
「名付けの聖女」
と言う称号を、決して喜んでは居なかった(名付け親として責任を感じる)。
そしてレムリアと言う世界では、ミグルディアが名付けた子はその様に育って行く。
その事の責任も重いのだ。
と言う事をミグルディアは語った。
前にも言ったが、ラグナロクの戦況を有利にするため、無理矢理に破滅の魔女メハシェファをミグルディアが例えば
「力無き老女」
と名付けたとて、魔女がそうなるものでもない。
ミグルディアの命名は天啓と言うべきもので、そう言う意味では、マーリンとハトホルの子の名付けをした時点で、「ミグルディアの天啓は達成された」
とも言える。
※47部の主な登場人物
◯旅の仲間(ビッグセブン+α)
メグル(ウラナ)…主人公。元ボン76世(未)。旅行家志望。生真面目なまもなく18歳(僕)と結構浮気症な66歳(俺)が同居している。"国民的英雄"に加え、"改革者"の称号を獲得。更にマーリンから"人類の代表(略して人代)"を押し付けられる。
聖狐天の父となる。朱雀国ガルーダ元帥となる。
オコ…メグルの妻の元妖狐。メグルとの子作りを夢見ている。弓の達人。弱者の味方で直情的。聖狐天の母となる。大聖母。
コンコン…先先代妖狐。通常は子狐に憑依しているが、最近は仙桃の力で元の姿も長くとれる。
ステル(ラン子)…鳥ジャガー神。ラン(獅子)とヘレン(白虎)の娘。メグルをあるじと慕う優しい少女。第6章で進化を遂げ成体、幼体(子猫)以外に猫耳娘の形態をとる。第26部でさらなる進化を遂げ、龍神ケツァルコアトルにも化身。
パーサ…元八娘2号。シバヤンから譲渡され、メグルの侍女となった名古屋弁美少女。諜報活動に大活躍。自称第二夫人。大型肉食獣アヌビスと美しい牝馬に変身出来る。
今後は小説家になるらしい。
ノヅリ…バクロン第3王子。魔法省長官を辞し魔法修行の旅に出る。メグルの師匠。コリナンクリンの夫。
コリナンクリン…ワタリガラスの鳥神。運送業ワタリガラス商会の女社長。ノヅリの妻。
"僕"…"俺"の中に共存する肉体の本来の持ち主。スミティと共にウラナに様々な助言をする。
八咫…ノヅリ師匠とコリナンクリン社長の息子。寄宿舎学校に通っている。
トトム…師匠と社長が駆る飛竜。知性が芽生えつつある。
○聖狐天神界
聖狐天…オコを崇める人々の信仰が造り出した神をオコの分魂とメグルの造った依代で具現化した新しい神。ウラナ夫妻の娘。
シャミラム…聖狐天四天王の一人。元北風の巫女。
サンコン…聖狐天四天王の一人。オコの先々先代の鼎尾妖狐。
二娘…聖狐天四天王の一人。ナンバーズ一の武人。
メルファ…聖狐天四天王の一人。元暴風の魔女メル=ハバ。
ドルマ…ゴルモア大草原の元霊犬。聖狐天を守護する魔喰い。よつばを産む。
○ナンバーズ
一娘…ナンバーズの統括。シバヤンの宮宰。
五〜七娘の母。
二娘…武人。聖狐天に仕える。八娘の母。
三娘…シバヤン宮廷の家事一般を取り仕切る。完全なお掃除をする侍女人形。
四娘…隠密活動に特化。上警で働く侍女人形。
五娘…キャーリーの親友。足が速い。
六娘…唯一人間と同じ消化器官を持つ。記録の神殿で修行中。
七娘…背が高い。宇宙での活動に特化。
八娘…パーサ。クローン分裂したもう一人の八娘のパー子は、人間のパナとなりバクロン元第5王子にして元国王アルディンの妻。
○その他の神・人
アドミン…管理者。スミティを派遣する。
スミティ…アドミンに派遣されたエージェント。メグルの脳内で、メグルの宿主意識の少年と暮らし、メグルに助言する。
マーリン…古代の魔術師。元人類の代表。因業爺。超古代の英雄神イーオンの転生。太古の名はアダムらしい。ゴンドワナでは白いフクロウを依代とする。
ベンガニー…元ジョウザの侍女。大ベストセラー作家。今回はコンサートツアーギョウザ公演のプロデュースと新しい"3メタル物語"の脚本を担当。
小孫妹…ベンガニーが飼っている金糸猴の小猿。
パピーズ…レムリアとゴンドワナを行き来出来る4人の犬人の子(ウラナ、オコ、ノヅリ、セイコのαと4匹の橇犬の仔犬(同β)。
3メタル…初代妖狐の娘白銀丸、初代妖狐の義妹の黄金丸、赤銅丸。
レナルド・ダンチビ…妖狐の里の天才発明家兼工房長。
イグルー…大氷原の族長の娘。ヤクスチランワイン貯蔵庫責任者。ベンガニー本のヤクスチラン語翻訳者を目指している。自著名"威愚瑠烏"
トマレ…大氷原の少女。
ウメダ…元チャガマン公国の王子、現在はアマランタインの夫。ハーフエルフ同士の子。
アマランタイン…千年の眠りから覚めたエルフ女王。
ハツホ…ウメダとアマランタインの息子。
○オコの家族
吐心…父。蓬莱系移民。
サリナ…母、妖狐の里一の踊り子だった。
御供…オコの弟。二娘とメルファに師事。請われて女神モリガンのタイラン軍に入隊。
リュナ…オコの上の妹。商才に長ける。
愛…オコの下妹。魔性の妹で今はローカルアイドル。
○神々
ダガムリアル…古代神の一人。滅亡したドワーフの祖先神で工芸の神。キャーリーと結婚。
シバヤン…ペンジクの有力神。破壊と創生神。
パトゥニー…シバヤンの妻。慈母の女神。
キャーリー…シバヤンとパトゥニーの娘。ダガムリアルの妻。漆黒の女神。太古の女神スバーハと習合している。
アヌビス…ナイラスのミイラ作りの神。パーサの義兄。馬鹿助。
マァト…太陽神ラーの娘、冥界審査官、冥王補佐、アヌビスの恋人。
記録の神殿の神官…本名は漆黒大陸の神オニャンコポン。
アンゴルモア大王…ゴルモア人の大草原冥界で暮らす先祖神。
モリガン…タイラン島の女神。実体はナイラスのマヤ・ティティ。マヤ・ティティはモリガンの頭の中で夫のイグナスIII世と共存している。
ターワン・ラメン…古代ナイラスの元帥で御供の守護霊。タイラン島の猿人を指揮するため御供を左腕にして復活する。
レムリア神…ついに明らかになったレムリア最高神は宇宙生命体天御中神だった。レムリア神は天御中神の作ったプログラムで、生命の創造と進化を担当。
ワダツミ大神…蓬莱の海神。ムーの主神でカナロアと呼ばれたが、本当はオケアノスと言う古代の海神。正体は宇宙生命体天御中神の組んだプログラムで、生命の環境を整える役目を負う。
朱雀王…朱雀神界の主神。メグルの主筋。
高御産巣日神…天御中主神、神産巣日神とともにレムリアを訪れた神。天御中主神の作ったプログラムか?別の宇宙生命体か?
日見呼主命…蓬莱の主神。正体は不明。
スクナヒコナ…ヒーナル。波乗りする小さな神。ワダツミの子として、ワイハ人をムー島嶼に導いた。正体はワダツミ大神の創造した上位エージェント。
伎芸天…所属神界のない芸能神。芸能事務所社長。実は醍醐如来の娘にあたる。
フォクシー御酒子…3メタルの振付を担当する世界的振付師。
三元道士…マーリンの弟子の一人でコリナンクリン社長の同級生の親友。
ドスル…名前を奪われた元古代神ロキ。放浪しながら魔女を追う。現在は軍師。
パトニカトル…現レムリア神界最古の神。酒神。ヤクスチランの主神。オオモノヌシとも言われる。
ハトホル…ナイラスの女神。マヤ・ティティの母。前世はイブ。
ハマチャーン…ペンジク神界の猿面の神。
斉天大聖…上警の上級捜査官。水簾洞の主人でハマチャーンのクローン兄弟だった。
クロノス神…運命の神。レムリア人・神々が、漠然と思う時間の神。実際には時間局を統括する四次元神。
醍醐如来…醍醐教の主神。
大日如来…醍醐教密教の主神。
不動明王…大日如来を護る五大明王の一人。だけでなく、大日如来の意を伝えるCOO役でもある。
薬師如来…醍醐神界の医療・薬学の総帥。
観世音菩薩…醍醐神界のお助けヒーロー。33の変化体を持つ。
シンダル王…エルフの祖先神。
制咜迦童子…不動明王の眷属八大童子の八男。
孔雀明王…密教守護神で、ペンジク由来の強力な女神。
西老猴、北武猴、南温猴、東徹猴…水蓮洞の四大猴。
魔光仙女…斉天大聖の娘で売れっ子漫画家。水簾洞の金糸猴。通称マコちゃん。
ディード…ポエミの神。幼名エリッサ。亡命魔神。
○敵
合理キー(仮)…パーサの首を捻じ切った謎の怪力マン。正体は天使のプロトタイプ。
ヨルムンガンド級…オケアノスが警告するラグナロクでの強敵。精神操作系の術者だと思われる。
カペラ…スミティと同等の宇宙生命体の部下。
ケイオス…アドミンと同等の宇宙生命体。
天使兵…宇宙空間でスサ大神を拘束していたフェンリル級怪力天使。生物ではない様だ。兵団単位。
怪僧…黒衣の修道僧の姿の魔女の新しい部下。天使を操る力を持つ。正体は蓬莱東国の銅居。
虚無の女神…宇宙生命体でも制御出来ない、天体を飲み込んでしまう負の存在。ブラックホール的なもの。
マチアス・ナビル…バクロン魔法省に処刑された、当時12歳の少年。しかし心理地雷で脱出し、魔女の陣営に加わる?ヨルムンガンド級と思われる。別名魔智吾主。
◯第47部の登場人物・神
スサ大神…日見呼命神の弟。反転地の主。
クシュナダ姫…ペンジクコウモリ神の娘でスサ大神の妻。
レムリア…レムリアくん。レムリア坊や。ミグルディアの命名。マーリンとハトホルの子。高位の生命体、またはプログラムと思われる。




