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47-6.マーリンの別荘にて

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


47-6.マーリンの別荘にて


マーリンと言えば今は息子のレムリアくんの育児でつきっきりである。

この子は初めから人間としては生まれてこなかったので(父:マーリン、母:ハトホル)、今後どう言う成長をするのかは不明だ。

ステルの様に成長に何百年もかかるのか、八咫の様に3歳にして寄宿舎学校瑞西学院で主席になるのか?

多分見た目は幼児でも内に秘めた洞察力は群を抜いている。とか?

まあ会うのが楽しみな子ではあるな。


と言う訳で、相変わらず記録の神殿横付けの、マーリンの浮遊神界別荘に向かう。

「こんにちわー」

鳥ジャガーの姿のまま、ステルが叫ぶ。

門扉にマーリンの面が現れ

「なんじゃ?お前たちか」

と言った。

「今開けるから入って来よ」

アノマロカリスの口の様な神界の入り口が開き、ステルとトトムはそのまま入る。


この神界には別に小さなフリーエントランスがあり、記録の神殿でロクが作るケータリングをウーバードと言う鳥の運送業者が運び入れている。

だがこれは記録の神殿と言う絶対結界の中に頭を突っ込んでいるマーリンの別荘だから出来る芸当で、業者がフリーだからと言って、普通の人が勝手に入り込む事は出来ない。

まああのマーリンと、世界一正体が謎な赤子を襲おうと思う者は居ないだろうけど。


別荘の中はとっ散らかっていた。

マーリンは蓬莱の陰陽師、安倍某(あべのなにがし)だった時期に、前鬼・後鬼と言う式神を得ており、これを必要に応じて、バクロン魔法省の捜査官ウォズとジョブズ(仮名)だったり、別荘の管理人ホースケやファルコンとして使役しているが、この別荘には執事を置いて居ないのか、なんか雑然とした、ケータリングの殻とか、育児用品などが散らばっていた。


「でら散らかっとるがね。ちょっくら掃除してええかね?」

元々が自動式侍女人形(オートマタ)であるパーサには、我慢出来なかったらしい。

あっと言う間にゴミ袋の山が出来上がり、俺はマジックポーチに放り込む。


自宅でゴミの日に出すのだ。

妖狐の里にゴミ収集システムがあるのか?って?

まあ細かい事は言わんでもよろしい。

家には神聖魔法(ブンシタンイノブンカイ)使いがいるからな。


「よく片付いた。男やもめに蛆が湧くとはこの事じゃわい」

「しき神つかえばいいのに」

「あれは使用回数制限があってな。あと100年は緊急用以外には使いたくないのじゃ」

マーリン程の魔法使いの言う緊急用とは、簡単には倒せない敵が急に襲って来た時に、式神に時間稼ぎをさせて、その間に巨大術式を組み立てる。とかなんだろうか?


「掃除の礼になんでも1つ、屋敷のものを持って行って良いぞ、あ、ベイビィはダメだぞ」

「要らんて。それなら薬種棚の瓶薬、イッコ貰ってええかね?」

「いいとも、どれを所望かな?」

「これだて」

パーサはポケットから瓶を取り出す。事前にくすねていた様だ。

「石化解除液ではないか?石化薬とセットで使うと、万病の治療薬ともなる、優れモノじゃ※」


※人類のほとんどが石化された未来世界で、科学の力で生き抜く主人公を描く『Dr.STONE』で最も非科学的なのは、石化のメカニズムで、硝酸とアルコールの溶液であるナイタールで石化は解けるのだが、重病人を石化して再び石化を解くと病気が治るメカニズムは科学的に証明されていない。


「いやいや、石化液はもう要らんのだて」

「そうか、石化した人間を見つけたのだな?」

マーリンは慎重だった。

「だな?もなにも、アンタの娘さんだがね」

「それとムコさんな」

「なんじゃと?ミ、ミ、ミグルディアにそんな悪い虫が?」

知ってて遊んでいやがるな?このジジイ。


「この瓶一本で二人分あるかね?」

「そいつも石化を解くのか?なあウラナよ、考えてもみよ、ミグルディアだけの石化を解いて、マチアスを石像のままにしておけば、ラグナロクの心配事は半分解消するではないか」

「そんなのダメです。二人の愛は成就させねば」

恋愛脳のオコが反対する。


「ミグルディアが帰って来て、坊の世話をしてくれんと困るのじゃ」

本音が出たな。

なんだかマーリンはミグルディアを溺愛していると思ったが、体のいい女中扱いか?


『ソナタノ ネガイハ カナワヌ』

突然誰も聞いた事のない念話が入って来た。

全員黙ってこの念話の圧に耐えている。

正直体調の悪い者なら失神する程の念圧だった。

自分の認識、記憶が上書きされかねない。

精神操作魔法なんかのレベルじゃなかった。


「これは…、あれだね?」

辛うじてステルが口を開く。

「ステル、今はまだ名前を言ってはいけないよ」

師匠が厳かに言う。

皆頷く。

名前を言ってはならないあの人

「ヴォルテモート卿かっ?」

「誰よそれ」

これ以上の追求は無益だ。

(※作者の都合もある)


「ミグルディアとマチアスの石化を解くならワシも同行しよう」

「先生が同席されるなら、マチアスの精神操作魔法にも安心ですね」

「いや、そんな事ならパピーズのガキ共がいれば十分じゃろう。それよりマチアスが娘の婿たるにふさわしいかどうか、見届けねばならんしな」

なんかすっかりガンコ親父モードだが、ミグルディアを処刑の運命に導いたマーリンを、マチアスが許すかどうか?

が、まずは心配だ。


「それで息子さんはどうしやぁすの?現世に一緒に連れて来やぁすの?」

パーサが当然の問いをする。

「レムリア坊なら今居らんよ。旅に出ておる」

なんですとぉ〜っ!?

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