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44-38.天使兵工場

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


44-38.天使兵工場


俺たちの推測はこうだ。

イェスタ島。

ここで魔女に味方する科学者によって、天使兵が量産された。


天使兵が最初に現れたのは、アトランティス島嶼沖の海底に沈んだアトランティス神殿で、ここでサンダル大王が神食い虫によって狂乱したゼウスを拘束する為、相打ち状態で事切れていた。

潜水服を着た俺と、深海の水圧に耐えられるパーサが海底調査を行っていた最中に、突然巨大な何者かの腕が現れ、パーサの首をもぎ取った。

その怪力に俺たちはそれを

「合理キー(仮名)」

と命名した(第14部)


次に遭遇したのは、スサ大神の居所である反転地を旅した時の事。

そこで俺たちは巨大な白い羽根を発見し、それが天使の姿を模した巨大なゴーレム

「天使兵」

であり、それが今回のラグナロクにおける

「フェンリル級(パワー戦力)」

であることを確信する。

そして合理キー(仮名)は天使兵試作中のプロトタイプであった事も(第25部)。


次に天空に宙釣りにされていたスサ大神を復元すべく、天使兵が護っている箱からスサ大神のバラバラな部品を取り戻す(第26部)。


さらに完成品の天使兵とついに遭遇する。

それは魔女の協力者、正体不明の怪僧の手に落ちた傀儡師の小津を救出する為、透徹塾跡の秘密施設に突入し、羽根のない地上戦用の天使兵と、有翼の空戦型天使兵に遭遇して撃破した(第40部)。


この時は薬師如来配下の十二神将の一人、摩虎羅神将が殆ど片付けてくれたが、小津の離脱により怪僧だけの傀儡操作では動作が単調になり、俺たちの主力空軍、ブルーエンジン(ナイラス神ベンヌの眷属大アオサギとタイラン島の猿人の部隊)の撃つコラカン砲で充分対抗出来る事が判った。


小津救出の時もかなりの天使兵が動員されて来た。

一体どこにそんな量産施設があるのか、これまでは不明だったが、イェスタ島が生産施設だった事が判明したのだ(イマココ)。


しかし科学者達はここを去っており、数千、もしかしたら数万にも及ぶと思われる天使兵は姿を消していた。


各国を襲う大型魔物を中心とした魔物軍。

そして主に神界を襲うと思われる天使兵軍団。

さらにヨルムンガンド級マチアス・ナビルの心理地雷。

第二次ラグナロクの敵戦力がほぼ明らかになって来た。

と、この時は思っていた(意味深)。


「ここのモアイは蓬莱東国に送って小津とダガムリアル神に調べさせよう」

俺たちは破壊旧透徹塾跡から破壊した天使兵のサンプルを持ち帰り、小津が開発中の呪術に依存しない電波操縦のゴーレム兵の参考にしているが、このモアイ達の材質は、明らかに違う。

前回のが金属寄りとすると石寄り。


「うわームカつくなあ。これは科学者達からの挑戦状だよ」

師匠が憤慨する。

「どう言う事?」

「異なる材質で天使兵は試作された。結局僕達が見た完成品は金属筐体だった。だが岩石筐体のは秘密兵器として別に開発されたかもしれない」


「石素材のメリット・デメリットは?」

「強度は石が上だ。だけど重い」

「アシの首に残った感触は金属だにゃあでよ」

パーサが言う。合理キー(仮名)の事だ。

パーサは奴(天使兵)へのリベンジの為に研鑽を重ねている。


「ふっふっふ、ビッグセブンのしょくん、しんそうがわかったかね?」

ステルが少年探偵団に残した怪人二十面相の手紙の様な事を言う。

「くっそー、ムカつく※わねえ」

オコが歯ぎしりする。


※「ムカつく」

と言うスケ番風フレーズが前世で一気に全国区になったのは、少年ジャンプ連載

「Dr.スランプ」

に登場した三輪車に乗る幼女

「皿田きのこ」

さんからで、同時に

「ダサい、ナウい」

も死語的に全国に認知された。

その前まではムカつくとか言えば

「大丈夫?吐きそう?」

とか心配されただろう。


「では、噴火口を調査しよう」

俺たちは山頂からカルデラの奥に入り、慎重に調査する。

ここには人間の科学者達が居たのだから、簡易魔界が置かれていた可能性は低い。

魔界が近くにあれば、人間の体調が悪化する可能性があるからだ。


それから今回はヤクスチラン領内なので、出来るだけ他の神界の力を借りたくなかった。

木花之佐久夜毘売や孔雀明王、三娘の力を借りてこれまで簡易魔界を駆除してきたが、長年鎖国を続けて来たヤクスチランは現世各国の注目の的になりつつあり、前世で言えば南極大陸の様な状況になりつつある(※南極大陸の領土圏の凍結と平和利用の為1959年に各国が締結したが、今後資源開発や使用済核燃料廃棄など、各国の思惑が対立する可能性がある)。


各地から圧倒的に離れている。

と言う立地からしても、ここに簡易魔界が置かれている可能性は低いのだが、休火山と言う好条件ではあるので、念のため調査してみたのだ。

すると案の定、特に怪しい物は見つからなかった。


「簡易魔界については、ヴェスパで終わりでいいかな?」と俺は言ったが、師匠は首肯しない。

「ダーリン、何か気になる事が?」

社長が尋ねる。

こう言う時、師匠の分析が最も悲観的で、そして残念ながら当たっている事が多いのだ。

「残留魔素がね。あり得ないくらい高い」

科学者も以前の転移装置の時は、エネルギーとして膨大な魔素を溜め込んでいたので、あり得なくはないが。


「工業製品としての天使兵を量産するのに魔力は使わない、と言うか使えないのが科学者のやり方だよ。別の、例えば天使兵の霊装、とかを開発していたのだろうか?」


(第44部終わり)


なんとか44部も最終話を書く事が出来ました。

実は三月に数日執筆が出来ない事があり、かなり頑張って貯めております。

これからもよろしくお願いします。


鈴波潤

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