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44-26.期限(タイマー)魔法

転生したら転生してないの俺だけだった

~レムリア大陸放浪記~


44-26.期限(タイマー)魔法


期限魔法と聞いてビッグセブン全員の心に

「心理地雷」

というキーワードが浮かんだ。

マチアス・ナビルが超古代黒魔法の研究から開発した

「設定した時刻になると発動し、かかった者が強制的に操られる心理魔法だ。


いわば所定時刻に

「ON」

になるタイマーだ。

しかしディード神の言う期限魔法は逆で

所定時刻で

「OFF」

になるタイマー。との事。


「そう言えばミグルディアさんって、どうやって石化が解けたんだっけ?」

とオコが言い出す。

去年の今頃(※メタ表現)ずっとミグルディアの謎を追いかけていた俺たちだが、その後のミグルディアを再生させる為のプロセスが余りにも複雑だったため、よく覚えていないらしい。

「因業ジジイの魔法じゃないの?」

社長もうろ覚えだ。


「いやマーリン先生はゴーゴンの石化を解除する魔法は見つけられなかった。だからアトランティス島嶼に別荘を作り」

「ああそうだった。あの別荘、メグルが貰ったんでしょ?手入れしないと腐るわよ」

オコが別件を話し出そうとしたので、慌てて止める。


「マーリンの奴は親友の娘の石化を解く為に、アトランティス神殿に沈んだというゼウスの盾についていたと言うゴーゴン、メドゥーサの首を探していたのさ。石化を解く為の合成血液を作る為に(第34部26話)」

「そうだった!ゴーゴンの石化はゴーゴンの血をかける事で解けるんだったわね。その為に違う個体のゴーゴンの首からミグルディアを襲ったゴーゴンに似せた合成血液を作ろうとしたのね」


「そうだ。その試行錯誤にマーリンでも千年以上かかった。だからミグルディアの石化が解けたのはつい二十年程前だった」

「つまりマーリン程の術者であっても、ゴーゴンの睨みは魔術では解けなかった。じゃがポエミ人は相手を石化させる魔法も、解く魔法も持っておった」

滅茶苦茶得意そうにディードは言った。

結構信者贔屓のきつい女神様だ。


「しかも自在に石化が解けるまでの時間も設定できた。と。それは凄いね。古代の暗殺者(アサシン)達は自分で毒を調合したが、同時に必ず解毒剤も開発した。と言うけど」

師匠が感心する。

解毒剤も、と言うのはもちろん殺人以外に

「ここに解毒剤がある。死にたくなかったら秘密を吐け」

と言う任務があるためだ。


「そうでしょう!優秀なのよ、うちの子達は。まあ全部死んじゃったけどね…」

自分で自慢して自分でツッコんで、落ち込んでる女神であった。


「でもさ。変じゃないすか?アタイを生んだ親達は、未来を救うためにアタイを石化させて、何をさせたかったんですか?アタイはこれからシェフの修行が出来る事にワクワクしてる、ただの元ホームレス小娘だよ?」

エリッサが問う。


正直普通の人間なら、親が赤子の自分を石化させて、永遠の別れをした。

と言う事に

「自分は全く愛されて居なかったんだ」

と落ち込むだろうが、エリッサは肉親がおらず、仕事をサボると怖いが、良く面倒を見てくれるおばば位しか知り合いも居なかったので、自分がこの時代に送られた意味の方が気になったのだろう。


「エリッサよ。って自分に言うみたいでなんか変な気持ちじゃが」

とディード神は話し掛ける。

「石化していても千年以上の間お前がいたので、この神界が消失したり、浮遊神界となって彷徨ったりせずに保たれ、妾も眠った状態でおった。そしてもしお前がこの時代に生を受けなければ、妾は目覚める事がなかったろう」


エルフの女王アマランタインも千年の眠りの間、意識があったと言う。

石化したエリッサであってもディード神の神界を保持する

「乾燥剤」

くらいの役目は果たしたのだろう。


「わーすごいけいさん力だね!」

ステルが言う。

「ステル、どう言う意味?」

とオコが問うと

「だってこんどの事にちょうどまにあうように、タイマーをセットしたんでしょ?」

「その通りだよステル。凄いな」

「えっへんバウワー」


「エリッサ、君にはまだ何の魔法もない。今後発動するかもわからない。とりあえず腕の良いシェフになって村でレストランを開業し、おばあさんや村の人に美味しいものを食べさせたい。と言う願いに向かって頑張れば良い。だが君が生まれてすぐ石化されて、今蘇って俺たちをディード神様に導いてくれた事で、俺たちは大変助けられた。君の将来の幸せの為に、俺たちは全力で援助するよ」

「そうっすか…。なんか変な気持ちだなあ」

エリッサは複雑な表情を浮かべた。


夢が叶うのは嬉しいけど、なんか運命の鍵として自分が利用された様な…。

と言う想いもあったろう。


「我が娘よ。そなたに会えて妾は嬉しい。そなたは世界でたった一人の、妾の信者じゃ。そなたに妾からも贈り物がしたい」

「お店の開店資金っすか?」

「そう言う現世的なものは人代殿が出してくれるであろう」

おいおい。まあロクが独立を認めてくれた暁には、全然オッケーだけどな。


「帰ったら、祠の裏を見よ」

それが女神の別れの挨拶だった。

エリッサはパーサに伴われ、ステルに乗って記録の神殿に向かったが、神界から祠に戻った時、祠から綺麗な清水が湧き出しているのを見つけた。

それがが女神ディードの贈り物だったのだ。

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