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4-32.義両親

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


4-32.義両親


おそらく俺たちがこれから聖狐天の元を訪れる必要があるのは、何年かに一度。その時にはなんかメルに用事を言いつけて、遠ざけておけば良いのではあるが。

でも俺たちはもう聖子ちゃんの事が可愛くて可愛くて堪らない。張り合っている三大勢力のお偉方に囲まれて、スクスク育つ事が出来るのか、心配もある。

出来れば、最低半年に一度は様子を見に行きたいのだ。


まず聖子ちゃんを皆に引き合わせる事にした。

「聖狐天です。よろしくね」

三人とも、雷に撃たれた様に立ち尽くす。どうだ見ろ(俺ドヤ顔)。可愛いだろう。いい娘だろ?

「妾の残りの生涯を掛けて、姫をお護り致します」

あんた死んどるやろ。

「小職は誓う。例えシバヤン様の命であっても、誰にも姫を害させまじと」

気合い入ってるな。主君より上扱いだよ。

「みんな大げさねえ。私はただ聖狐天様に仕える為に生まれて来た気がするだけ」

あんた派遣だろ?これが派遣の品格と言うものか?

なんか安心そうだな。


「聖子ちゃん、頼みがあるのだが」

「はい、何でしょう?」

「俺たちをメルに紹介して欲しいんだ」

「まあ!」

俺たちは綿密に打ち合わせをした。

前も言ったけど、メルを俺の事を一般人と同じ位。つまり豆粒程の大きさでしか見ていない。火渡り行の時は後ろ姿だったし。中年男の姿なら大丈夫だろう。しかしオコはどうだろう?

例え熟女の姿になっても、メルにはわかるのではないか?


「ちょっと仕掛けがいるわいね」

コンコンが、面を二つ渡す。

「今の二人の面相(メイク)をこの面に移しておける。それからマーリンはんの術で、二人の人格を作るのや。それでそれを面に記録(メモリー)出来る」

男女の狐面にしか見えないのに、そんな機能が?

マーリンは恐ろしい心理魔術師だ。俺も実際かかったのだが、偽りの記憶を本物の様に思わせる事が出来る。これを使って第二人格を作るわけか。


まずオコに術をかける。

ペンジクのそこそこ裕福な商人夫妻。聖子ちゃんが神に昇華してから、しばらく姿を隠す為下宿(ホームステイ)していた家の家主で、聖子ちゃんは本当の両親の様に慕っている。と言う設定。なぜ隠れなければいけないか、よく分からないけど、どうも神界の色々駆け引きがあって、すぐ顕れるとさっきみたいな取り合いになるのをシバヤンが配慮したと言う筋書きらしい。

『木を隠すなら、森の中』

この場合確かに人間界の方が隠すのには適している。

「パパ、ママ、こっちこっち」

聖子ちゃんが俺たちの手を引張ってくる。

「メルちゃん、私のお義父さんとお義母さんよ」

義理と言うにはオコの顔が似ているので、ちょっとメルは怪しんだ感じだったが、今のオコの人格には昔の記憶はない。

「あなたがメルちゃんね。聖子ちゃんの一番のお友達だとか。聖子ちゃんをよろしくね」

オコが挨拶する。

「他の側近の方々もよろしくお願いします。短い間でしたが、子供のいない私達には聖子ちゃんは本当の娘でした」

俺は本気で涙ぐむ。

「聖狐天様のご両親様。微力ながら、私がこれからお護り致します」

二娘の訓練はもう始まっており、二娘が知っていた蓬莱刀の扱いをメルは練習していた。


一応顔合わせは終わった。

「これで良いのかなあ…」

面を外して、オコはちょっと納得がいかない顔をしている。

「いつか本当の事を言う日が来るかも知れない。笑い話に出来るかもね。とにかくこのままメルがどんどん聖子ちゃんにのめり込んで行けば、本物のオコに会っても動じなくなるのだろう。オコ、まずはメルの呪縛から解き放たれて良かった」

聖狐天は基本移動しないので、俺たちはもうメルにバッタリ会う事はない。俺もいつかタンジンの呪縛から解き放たれる日が来るのか?


「じゃあ行って来るね」

結界の中で、聖子ちゃんと別れを告げる。

「また帰って来てね。私はやっぱり、ウラナさんとオコさんが本当のお父さんとお母さんだと思う」

オコは人格を分けたのでお母さんと言って良いし、考えれば聖子ちゃんの依代は俺の作ったフィギュアだもんな。お父さんと言って良いのかも。

聖子ちゃんをぎゅうっと抱きしめて、俺たちはラン子の輿に乗りこむ。パーサはもうラン子の首の所に跨っているし、コンコンは鞄の中で眠り込んでいる。

「したっけ」

ラン子がお母さんの真似をする。


何処に行くって?

それはマーリンのところさ。

読んでいただきありがとうございます。

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