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4-15.報告

転生したら転生してないの俺だけだった

〜レムリア大陸放浪記〜


4-15.報告


「さて、お二人がいちゃいちゃお嫁さんゴッコしとる間に、アチと五娘(うーにゃん)が必死で集めて来た情報を聞きゃあすか?」

「なんか、すまん」

「あたしがいけないの。パーサやキャーリー様の勢いに押されて、母に相談したりしたから…」

「いや、はっきりしない俺が悪いんだ。結婚するする詐欺って言われても仕方ない状態だった」

「別にそこまでは言ってないけど」

「まあこんなきっかけでもないと、はっきりしなかったからな。いい機会だったよ。俺はオコ以外とは結婚する事はないよ。一緒に生きて行こう」

「まあそれも、子供はまだ当分は。って言う逃げやけどな」

「厳しいなコンコン。でもオコのご両親と約束したんだ。生きてる間に孫の顔見せるって」

「ほなら適当なところで、親が死にそうやと」

「変な入れ知恵すんなよ、コンコン。仮病はダメだからね」

「私は子供が早く欲しいけど、メグルと旅も続けたい」

「そりゃほうだがね。子持ちじゃあ一晩中踊ってられんもんなあ」

パーサはまだ辛辣だ。


「パーサ、五娘、本当にご苦労だった。調査報告を聞こうか」

「なんか話を逸らされた気もするけどが、オコ!アシの愛は変わらんでね。覚悟しとりゃあよ」

「健闘を祈るわ」

オコ余裕だ。

「パーサが何だかポンコツなんで、まず私から報告するわ。あ、私はオコの味方だからね。夫婦が添い遂げる邪魔をする奴は、ナンバーズの仲間でも許さない」

さすが風紀委員長である。

「私はシバヤン様の命で、メルハバの消息を追った。この件はメグルとの情報共有の許可はシバヤン様に得ています」

判った。パーサの調べた情報も共有されるわけだな。

「そう言う事です。結論を言うと、メルハバはマーリン師から逃亡しました」

逃亡?と言うより拘束されてたの?

「その様ですね。どの件で、かはわかりませんが、謹慎中だった様です」

そんなに余罪があるのか?酔って山を吹き飛ばしただけでなく?


「一番考えらるのは、隣国のエスパルト王国からの抗議ですね」

「聞かない名だが」

極西レムリアの地勢図はコロコロ変わるので、メグルがジョウザで習った知識はもはや古いのだ。

「近年ブイブイ言わせている海洋国家です。そこの国王が、事もあろうにメルハバに懸想して」

「物好きな」

「はい。まあ黙っていれば美女ですからね。まあ本質が見抜けない愚かな王です。それでメルハバが怒って、窓の外から針金の様に絞った風を送ったので、摩擦で髭が燃えて」

それってキャプテンドレイクじゃないか。

「イスパニア王の髭を焼きし者」

ってか。あれは例えだけどな。しかしそんなに精巧な風の制御が出来るのに、なんで暴れてしまうんだ。やっぱり人間的に問題があるのか?

「エスパルト王の強硬な抗議で、マーリンはメルハバを拘束したのでは?と思われます。逃亡したメルハバは、アスベン山脈のどこかに潜入中。私はメルハバ発見の為アスベン山脈の消滅をシバヤン様に提案したのですが、受理されませんでした」

そりゃダメだろ。


「次善の策を模索中に、偶然パーサと遭遇しました」

「と言う訳なんだわ。じゃあアシの番だで。まずはダガムリアル殿の消息から。マーリン殿の依頼でとある折れた魔剣を修復してござった」

「マーリン師のところでか?」

「いんや。気が散る言うて大陸側の港町の工人ギルドにござる」

「では別個に会える訳だな」

「そう言う事だがや。ダガムリアルが直してござる魔剣ちゅうのが、どうやらどえりゃあ大物らしいんだわ」

「グラムか?」

「なんで知っとりゃあすの?」

「いや折れた剣を打ち直すと言えばグラムだろ。常考」

「そんな常識はレムリアにはにゃあよ」

「聞かへんな」

「そうか。前いた世界では有名だったんだけどな。英雄が折れた剣を鍛え直して敵を倒す話」

学生時代、西洋神話はギリシャ神話だけではない事を知り、ケルト神話や北欧神話の本を読んでいた。アーサー王神話のエクスカリバーと並んで、北欧神話に出てくる魔剣グラムは超有名ブランドだ。

「間違いなくその剣はグラム言うんだけどが、折れてまっていて、マーリンがある筋から手に入れたんだと。でそれを色々な鍛冶屋で継ぎ合わせて貰ったんだけどが、試し切りでいっつも折れてまって。そんでとうとうダガムリアルにお鉢が回ってきたげなよ」

「なるほど。でもマーリンはなんでそんな剣が欲しいんだ?彼は剣士ではないだろ?」


「そこからがマーリンについての調査報告になるんだわ」

「本当にご苦労だった。報告お願いしたい」

「マーリンは、メルを弟子として大張り切りで教育を始めたんだわ。メルもどんどん上達して行って、マーリンに匹敵する大魔法使いになってまった」

「凄いな。数ヶ月の事だろ?」

「本当に凄いんだわ。けんどメルには致命的な欠点があったんだて」

「どんな?」

「例えばよう。オコ姉さんは弓の達人でしょう?道具は最高、技術も完璧。射れば百発百中だがね。でも、ふと外すんじゃないかな?と不安に思う事、あらせん?」

「あるある。練習では完璧でも、大事な時につい気が焦って。狙う前に撃っちゃったりとかが前にはよくあったわ」

"早気"と言うんだよな。弓道を題材にしたアニメで見たぞ。一種の不安症だろう。

「それは訓練で治るのが普通だけどもが、メルは心が弱いんだげな。ちっとも治らせん。でマーリンが魔法を体で覚えさせる事を仕込んだげな」

ああ!それやっちゃうと


「大間違いだったげな」

「だろうな。メルにはもう一つの心の病がある」

「だ。メルはびっくりこくと、何やるか判らせん」

パニック症状というのだろうか?驚いてどうしていいか判らなくなると、とんでもない事をしてしまう。あの日俺の元に飛んでくるオコを強力な極く細い風の束で空中に押し止めたのも、本人は無意識でやったものだった。子供の時かららしいが、なまじ魔力が強いだけに、周りが恐れる。メルはそれで充分に力が発揮できず、さっきの不安症の原因にもなる。かくしてメルは大した魔力がない無能と思われていた。

「メルは暴風の魔女メルハバと怖れられる様になってまった。マーリンはメルがたった数ヶ月でやらかした沢山の事故の苦情に追われて、アトランティス島嶼の隠れ家に逃げ込んだげな」

もうノイローゼだったろうな。


「で、メルには魔力が使えなくなるチョーカーを嵌めて、牢屋に放り込んでまった」

虐待だな。これはマーリンの自業自得だろうに。

「んでメルは絶対ぇやあ外れんはずのチョーカー取ってまってトンズラしたちゅうのが今までの経緯だて」

「で、メルは?」

「わからせん。大きな魔力使えば、すぐ分かるんで、じっとしとるんだろ」

「でも、メルはどうやってチョーカーを外せたのよ。マーリンがかけた魔法でしょ?」

「わからせん。アシが島の漁師に金握らせて聞いたとこでは、マーリンも逃げ出した隠れ家の牢屋にはよーけに血が流れとったげな」

ああ、それしかないわな。自分で首を◯って後で◯ぐ。一流の魔術師ならできない事は無いが、失敗したら死ぬし、第一滅茶滅茶痛いから普通は考えない。


「で、マーリンはどこへ?」

「近くの別荘にいるげな 」

隠れ家に本宅と別荘があるのか。流石は大魔法使いだな。いや襲撃された時の要人に住処を複数もってるのかも知れん。

「さて、どっから手を付けるかな?」


読んでいただきありがとうございます。

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