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「違う、俺はただ命令されて放っただけだ。あの時も、同じ剣を使ったんだ。正直に言っている、嘘じゃない!!」

 腕に力が入る。子供程度の躯体しか持ってないソードマスターは両足が浮いている。

「ぐ、ぐるじい………」

「じゃあ、お姉さんがぁ、ぜーんぶ教えて、あ・げ・るっ」

 ナフトは相手を子供とは見なしていなかったようだ。最初から。

「なんでこんな状態になったでしょう? 一番、すべては幻想であった。二番、私は幻想の使い手である。 三番、幻想によってこの状況が作られた。四番、幻想によって、私は無敵を誇っている。四択よ。さぁ、どれを選…………。ソードマスターは一瞬の隙を見逃さない。絶好最高の好機。喉周りの首飾り(チョーク)に仕込んだ。ムチ状の剣を振るった。ナフトの首が落ちて。血がドベドベと古都を汚す。落ちた血は。さらに遺跡を滴りおちて。水に入る。

「これで減らず口自体が水の中だっ! ははっ……、あっはっはっは。実に、いい気分だ」

「……んでも、答えは同じなんだけどねぇ」

 確かに首を落とされたナフトの体に。首から上がまだ残っている。当然はじき出される答えは?

「ああ、まだ幻想の中にいたのか……」

 がっくりと肩を落とすソードマスター、目の精力が消える。番外手も含め。最後の奥の手も含め。すべて見通されていた。ナフトは次こそ諦めるだろうと思っている。

「わかった。降参だ。 情報を受け取ってくれ。どこから使っていたのかも……できれば知りたい」

「だから、こうやってあんたにとって都合のいい展開が私の能力なんだってば。早口でいくよ! 網膜に特定の光子を当てて、相手を強制催眠状態にするの。あなたと最初に目があった時。そう、あなたがおいでおいでをしていた時ね。あの時からすべては始まっていたのよ。子供のふりをしようが何をしようが。あなたの思い通りに私が疫病に罹った、それ自体があなたの妄想の産物なのよ? あなたの思い通りに私は何度も隙を見せた。それも全く同じ。あなたの妄想。 やけに都合が良いって感づかなたかったの?」

「じゃあ、これも無駄に終わるのか?」

「そうね、それも無駄に終わるでしょうね」

「の、能力名を……」

「『注入(ポアー)さ(・)れる(デルー)悪夢(ジョン)』。有機脳でも無機脳でも問題ないの。目か認識器官があれば、結果はいつもこうなる」

 細目で笑うナフト。殺気は微塵もないようだが。

「なら、僕ぁ最初から騙されていたんだ」

「油断大敵、火の用心。大きい問題にならないうちに回避策を考えなかった、いいえ、それをあなたに教えなかった先生の負けね。考えつかなかった点については……お姉ちゃんは認めてあ・げ・るっ」


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