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「蓄音機とかレコーダーとかは使ってないよー。もっとえげつないのは使ったけど」
ソードマスターの視界が。細胞から吹き出した血色に染まっていたはずの空気が晴れていく。青ざめた表情で、ソードマスターは確認することになる。
「さぁ、僕ちゃん。舌戦や口撃が徹底的に苦手なおぼっちゃん」
笑いながら、見下しながらそう言うナフト。ソードマスターは、自分の背後から捻れたハサミのような形状のグングニルが出ていることを確認。
「こういう形にもできるの。ま、これはご希望の槍モードなんだけどね。ほらねっ? 剣を選べるのはあんただけじゃない。むしろ、剣を選ばないのが剣使いの剣使い極意、ってこと」
「こ……このっ、番外手野郎がっ!」
「あら、それが本性? なら、二重の意味で私の勝利ね」
「ああ? どういう意味だ? って、雰囲気で考えてくれよ。コレを外してくれ。そういうノリだったじゃねえか」
背が小さいことを利用した番外手を使ったようだ。
「こっちで人を殺すのは何回目?」
「…まだ、こっ、殺したことはない……」
「第(N)一(I)帝国(C)のゴルジ・マルゥーゾ攻略戦。何人ものカビの生えた死体が見つかる」
「…………!」
「ほら、呼吸が荒くなった。それに、突然黙る。これなら嘘発見器なんてあんたには要らないね。嘘をつくなら上手くやらなきゃ、犬も食・べ・な・いっ」
耳に注ぎ込むように。そっと吐息交じりの声をかけ。ナフトはソードマスターの足を後ろから蹴る。体重を支えきれなくなったソードマスター。体をお姉ちゃんに委ねる。
「どう? お姉ちゃんの胸は? 柔らかい? 感じちゃう? いい気持ち? イっちゃいそ?」
「……頼む、助けてくれ。そっ、そうだ。剣をやる、何本でも」
「剣はいいわ。それは能力だから明け渡しはできない、でしょ? 代わりに情報を頂戴。第四帝国についての情報を」
「わ、分かった。だが、戦士として、あんたの能力を知ってから死にたい」
(だって、『会話』の魔法飛ばされていたらアウトじゃん。無線やアイグラスと同じように使えると仮定するなら、能力が敵に筒抜け。ま、いいか。このクラスなら)
「ああ、魔法を警戒しているのか? な……ならもう繋がれていない。逆探知のような技術があったら、第四帝国自体も怖い。それに、負けるような兵士に甘くはないんだ。だっ、だからだっ。正直に言ったんだっ、許してくれっ。……ってか、何が起こったんだ?」
「あれ、まだ正体に気がつかないの? 第(N)一(I)帝国(C)絡みで、あそこの人間の特徴知ってるのかと思ってた」




