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「君は内容が言えない人間なのか?」

 ロレンツォの光沢のあるメガネが秘書の一人を(にら)む。他の秘書も顔が引きつる。

「あ、あのっ、……ですから私も半信半疑なのですが……」

「次には中身のある話をしてくれ。意味のない言葉の羅列には興味がないのだよ。半信半疑と思うのならば、そのまま沈黙することこそ賢い選択だとも言えるだろうな」

 表情一つ変えないロレンツォ。

「…………なっ……難航が予測された事件こそ、……せ、戦績が高いらしいです。例の二人組は」

「そうなんだよ、まさにそこだ、それが問題なんだ」

 ふと、足を止めて腕を組む。そして、上を見る。秘書も少し後ろで止まった。

「どういう……意味でしょうか?」

 後ろに綺麗に半回転して、ロレンツォは答える。足を少しの間だけ止めて。

「今回の作戦は、第二帝国内部で行われているとある研究の実態を探るだけの作戦だ。いいか? 『探る』だけなんだ」

「は、はぁ……」

 呆気に取られたような表情の秘書。意味がまだ理解できていないらしい。

「あいつらの戦績がまとめてあるファイルをもう一度見てみろ。特に備考欄をな」

 秘書は慌てて、歩きつつ電子ファイルを再確認する。

「……な、なるほど」

 再びコツコツと鳴る音が耳に入ってくる秘書たち。

「仕事が完全に処理できないのだよ、彼女らは。噂に聞く見た目通りに『綺麗』――そう、無駄なく必要最低限のことをするように戦ってはくれないものかね、……軍属なのだろう?」

 皮肉を込めてロレンツォは愚痴った。委員として、個人として。切れ長の眼は静かに(たたず)んでいる。

「あのっ……」

 そう秘書が言いかけた時

「分かっているよ、兵器を使った破壊活動は我々の世界の根幹だ。当然、否定はできないんだ」

 一度言葉を区切るロレンツォ。言葉に含みが出る。

「ただ、乱暴過ぎる。一体誰が責任を取ってきたんだ。特に第二帝国の大統領補佐官に殴りかかろうとしたことがあっただろ? あの時は?」

 尋ねるロレンツォに、胸のバッジがきらりと美しい、凛とした一人の女性秘書が言った。

「E-DEN及び、その関連組織の7割を支援している()()帝国(ニア)屈指の金融寡頭(かとう)機関であるところの、ルベド財団です」

「そう、下手に大損害でも与えてみろ? E-DENの行動に懐疑的な論調が生まれるかもしれない。ただでさえ、大国同士が全面戦争をしないための措置に過ぎない。組織としての行動は採れてもな」


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