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「ああ、分かってると思うけど、『疫』は簡単には出せないんだ。前の持ち主が、異形(いぎょう)だったからね。僕が精神を一緒にするのが大変なんだ」

「先生はこの戦術について、なんて言っていた?」

「『疫』が出せれば何でもいいって。あのさ、お姉ちゃんって戦闘を楽しんじゃうタイプでしょ?

 なら大丈夫だよ、見たいんでしょ? 僕の剣。と言っても、この体を見てよ。短剣飛ばしが良い例で、あまり剣技は得意じゃないんだ」

「なら、なぜ『ソードマスター』を名乗るの?」

「『ソードマスター』は先生から貰ったから。大切にしてるんだ。お姉ちゃんに何か言われたくないねっ」

 ナフトはなぜか微笑んだ。ゾクゾクしてきている。

「どんな剣でも刀でも、見て相手を殺したならばそれをトレースできる。何本でもね」

「まぁ……こんな短剣じゃ退屈だからさ、そろそろ出してくれない?」

「子供だから大目に見てよ。前の持ち主の話、聞きたくない? 『疫』の持ち主の……」

「……ふぅん」

 飛んでくる剣を叩き落としつつ。

「あなたの戦力が増えるなら、付き合ってあげないこともない、かな?」

「あははは。大丈夫だよ。これが最強の剣なんだから。『疫』の持ち主は、建築家だったんだ。()(ザム)(クレ)()では、かなり高名な、ね。でも、作り上げた建築物のあらゆる場所から、遺体が見つかった。

 それだけじゃない、建築物に済んだ人間全員が、なんらかの毒で死んだ。僕らの皇帝が、直接、公開処刑にした人物なんだ。最後に残した言葉、それは絞首刑の直前に言ったもの。『俺は殺していない。勝手に剣が出てきて、勝手に毒を広めたんだ』 ()(ザム)(クレ)()の治安維持部隊が出動した時には、こんなこともやった。『毒素を吐き出す疫病の蔓延(まんえん)』。……ん? 蔓延って言葉知ってる?」

「もちろん。普通の人間だったってことが言いたいの?」

「ああ、こっちの世界にもいるんだ。連続殺人鬼って」

「あっそ。普通じゃないわけね。まどろっこしい。殺人鬼ならいるけど、その『疫』って剣の持ち主は、無意識でやったんでしょ?」

「さぁね。真相は誰も分からず終い。結果、近くで目撃していた僕のものになった」

「そろそろ、出してもいいんじゃない?これで出せないのなら、そもそも武器なんかじゃない」

「安心してよ、お姉ちゃん。もうすぐ出来上がるから」

 凶々しい物質が、ソードマスターの右手から伸びつつあった。

「これは……」

 一瞬、目を細めるナフト。こっちの世界には存在しない気迫、邪悪、邪気、瘴気。

「ふんっ、いいよっ。それでかかってきな。坊や」

「これこれ。ほら、これを見てよ。お姉ちゃん」


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