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小さな人差し指を『水使い』に向ける。そして。
「このモナちゃんがコテンパンのペランペランのズッタンズッタンにしてやるのですぅっ!」
少しでも無駄な発言を増やす。
「おいおい、お前じゃあ様にならないだろう? 俺様を呼ぶなら『水使いのアクエルオ』。 そうだなぁ、アクエルオとでも呼びな。 ただまぁ……、見る限りは、呼べる余裕があるとは思っていないがなあ、ヒヒヒ」
アクエルオは精神的にも優位に立ちたい様だ。
「にしても、色気のねぇ機械女が俺の敵かよ、クソが。……あいつ、自分好みの女を選んだもんだぜ。あれは後でたっぷりと弄ぶつもりだろうなぁ。クヒッ、羨ましいもんだな。こちとら、こんな微乳なお子ちゃまと来たもんだ」
下品が女性を臆させると思っての発言、ではないだろう。本能のまま生きてるだけのよう。「私はモナ・バーベルツ! 第九世代型局地殲滅型電子戦機ですっ! 最新式ですっ!」
「お、やってくれるね。自分の性能、そっちではスペックって言うんだっけか? 開示しちまっていいのか? ならよぉ、双方の能力の開示をしないか? お互いにフェアに戦おうぜ、クヒヒッ!」
「ベーーー!! モナちゃんは電子戦機すぅ~! あなたの能力なんて数秒で解析できるのです! 一方的にデメリットしかない交換条件なんて……」
【モナ、熱くなるな。むしろ冷たくなるんだ】
【……了解……!】
ナフト、アイグラスでモナをアシスト。
「解析できたところでどうにもならないよぉ、電子の天使ちゃん」
「その二つ名を知っているということは、相当予習をしたみたいですねっ! 自信の無さが滲み出ていますっ!」
軽く握った手の甲を持ち上げるアクエルオ。
「勝つ確率を少しでも増やしたいんだよ、ヒッヒ」
握っていた指を親指から順に開きながらそう言う。
「俺様はこの侵略で官僚に採用されるんだよ、ソブ様にな。目の前のクソガキをぶっ潰してなぁー。ヒヒヒヒヒ」
愛想よく? 話相手になっているのは敵を詳細に分析するため。 こちらには事前の予習、ブリーフィングがない。モナのセンサーは大気中の水素と酸素の濃度を測定している。濃度は安定状態。しかし、特異点の向こう側の世界特有の技を繰り出してくる可能性がある。――魔法。魔法にも論理はあるのだろうか?
物理法則自体が違う可能性があるために、今までのデータがあてにならないかもしれない。刹那、アクエルオ、細長い水色の剣を空中から出し地面に刺す。(……やっぱり隠していた、魔法と隠し武器、どう出るぅ!?)地面から物理的にありえないくらいの水があふれ出る。水を転送しているのか。魔法で出しているかは不明。あふれ出た水は表面張力を残したままに。ほぼ球体として宙に浮かんでいる。はち切れんばかりに空中に溜まり続け、やがて体積を増やす。ここまでの秒数が、まさに刹那のコンマの世界。モナだからこそ撮影した動画を多角的に分析できたというもの。並の軍人ならば即死だろう。次いで、水は太く大きい槍のような様相と形を変える水。スクリュー回転しながら鋭く尖る。なるほど『水使い』は口だけの敵ではないようだ。これで突かれれば、いくら機械化されてるとは言え、槍刺し(ッド)&エンドだろう。『水の槍』一本が形成され終わると、アクエルオはモナ目掛けて飛ばしてきた。(飛翔ブースター、オンッ!)頭の中でスイッチを押す。植物型ナノマシンはモナを可憐に宙に舞わせ。水槍は虚しくモナの後方へと槍先が向かっている。




