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「いや、もうとっくにガチガチなんだろ? 誘ってるんだよ。ナンパされちゃったねぇ? 考えた通りには行かないもんだわ」

「何で? 敵が来てもぉ……。あー、やっぱり」

「あの『ソードマスター』とか大仰(おおぎょう)な名前の敵。私の手にあるグングニルを見据えてる。私相手にカッコつけてくれるじゃない」

「げ! モナちゃんは水はあまり得意じゃないですぅ……」

「私は大剣が相手だと武者震いが止まらないけどねぇ。ああ、鳥肌も…、乳首も…んふふっ、たっちゃうね……」

 うっとりとした目でナフト。銃剣となった射撃モードのグングニル。それを(した)()ろし、左手で胸を押さえる。期待感からか、それとも――。流し目で敵を見る姿も美しかった。

【今度こそ、絶対にシャットアウトされないからな。ロレンツォより両名へ。それではこれより『オペレーション(レン)(マー)(ツォ)』を実行する! ブリーフィングが戦闘直前になったのは、突如魔術的特異点が出現したため。現地の状況は……こちらでは確認できず、だ。モナが止めているのだろうが、どうせ言うことは聞くまい。つまりは、だ。二人が索敵、作戦立案の根幹、戦闘及び確保をしてもらうことになる】

【ロレンツォ、それって『作戦無し作戦』って言うんじゃない?】

【そもそも特殊な任務をこなすエージェントはこれらを容易にできるはずだ。君たちなら尚、だろ? それに得られたデータからはアドバイスができるはずだ。ロックを外してくれるならば、な。量子暗号とかやめろよ】

【ふぅん……でさっ、レンマーツォってあのレンマーツォってこと?】

 人馬座、()()帝国(ヴィン)の古語である。半人半獣のキメラが、愛する王女のために、弓で王を射る。転じて、絶対に刺さる矢、確実に成功を収めることを意味する。

【そうだ。想像の通り。つまりは作戦に失敗は許されない】

 最後、王を射たことで地の(ごく)へと堕とされた人馬(ひとうま)。この決戦はどうなる?

【そんな任務に強いのは誰でしょぉ~う】

 愛する王女は、その後幸せを手にした。逸話や伝承、伝説、神話ではそうなっている。

【君たちだ。………いや、言葉を正そうか。君たち二人しかいない。私の先の心配は杞憂だったようだ。

【ナフト、戦闘行為を開始する】

【モナちゃんも出ま~っすぅ】

【『オペレーション(レン)(マー)(ツォ)』を開始する】

【ロレンツォ殿、面目が保ててよかったですね!】

【カブラギ少佐、君ってそんなキャラだったっけ?】

 アイグラスには当面、E-DENからの連絡は来ない。戦闘開始のシグナル。現地で見たものをベースに、ロレンツォは指示を送るのだろう。事実、それが可能だとロレンツォは思っている。しかし、それは全く無意味なことになるかもしれない。さぁ、この戦いは伝説となるだろうか、神話となるだろうか?――それとも。


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