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「違う、匂いがしたってことさ。まぁ、案外間違いでもないかな」
「『鷹』どういうこと?」
【現在猶予がある時間は一七秒らしい。目減りしているな。では……行ってくる】
最期の言葉。
【オープン回線で『鷹』から全隊員へ、これよりNC4型爆弾で特攻を敢行します!】
全員がそれを聞いた。脳内で敬礼したのは誰と誰だったのだろう? 私は、敬礼より答えが聞きたかった。結局、最期まで教えてくれなかったね。皆の心から敬意があって。この特攻にはそれだけの意味があって。走っていく『鷹』の背中は何も語ってはくれなかった。『鷹』は大声で叫びながら走って行った。
私は足が出そうで、出なかった。ただ、後ろ姿と戦績を考えていた。とても残酷なことだった。とても、とても。悔やんでる? 本音を言うと少し。いや、もっと気にしてる。反動でいつものキャラになってるし。じゃあ、これからも悔やむの? ナフト? まさか! 心の側にしっかりと存在を感じているもの。
物体として? ――匂いとして! それだけ? ――想いとして!もう一声! ――グングニル使いとして!良し(グッド)。ブラボー。
白い閃光。強烈な破裂音。思わず皆が目をそらす。爆発が恐い訳ではない。パワードスーツが耳を自動的に塞ぐ。走った。やや遅れて、再び爆破音。骸骨の亡骸もかなりの数が吹っ飛んできた。気がついたら、土嚢に身を屈めていた。一瞬、場弾の威力を忘れたのかもしれない。いや、もっと「鷹」から教わりたかったんだ。そう、「鷹」の個性が染み込んだグングニル。私がこの後を引き受けなくてはならない。
そんな責任が、私にはあった。
【「ナフト」ご機嫌いかがぁ?こっちにも爆破物きたよぉ。ダメージ率二八%ぉ】
【ジークムント・エフェクトはもうできそうか?】
【ダメージ率がこんなにがなければノータイムだったんだけどねぇ】
【自己修復できると踏んでいたのだが】
【いやいや、あなたの肩ぁ、負傷してるでしょ?】
【これはどうだっていい、先に展開してくれ】
【あなたの保険は私だったんでしょ? 私の保険はあなた、拒否できな〜い】
【わかった。感謝する。で、どうするのだ?】
【植物型ナノマシンを、粒子に乗せてそちらの負傷者に渡すのぉ♪】
【まさか、ダメージ率というのは私たち全体のこと?】
【呉越同舟だと思っていたのにぃ、違うのぉ?】
【いや、感謝という他ないね】
【敵が出すぎるのが問題ぃ。だからぁ、この大気に集まった第四帝国の骸骨の粉末の物理法則とねぇ、 ホールの法則だけをジークムント・エフェクトで中和してみる】
【何分かかる?】




