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マグナス五八――最高のマンストッピングパワーを持つマシンショットガン。フィルズ六六――弾をダムダム弾にしてある特殊拳銃が間も無く転送されてくる。私は簡易大剣をしまい、二丁で対処をすることになった。少しでも体験の切れ味と体力を温存したかった意味もある。短期決戦の中に緩急を付けないと、敗勢が必敗になる。話しかけてくるリック。その顔は懐かしいて、儚い。リックの後ろで駆け巡り、飛翔・跳躍し、最も戦力になってる『鷹』。その手は休むことなく、敵を叩き続ける、撃ち続ける。
【『夜』、ダメだ。戦局分岐のタイミングを再確認してみろ。予定時間よりマイナス二〇秒、敵の出方が早すぎる。……どうにかアイデアはないのか? コードネームが泣くぞ】
【一個だけある、っていうか見えてない? チャンスが。あそこに】
【……使えるのか?】
【使うしかないだろうね、もう私も肩噛まれてるし】
感染しなければいいと思った。噛まれただけでも雑菌は入る。当時のナノマシンのケアは、雑菌にまで及んでいなかったから、ね。私はオープン回線で話かけたんだ。未来に相棒に。
【こちら第一帝国特務八〇、敵兵力に勝てない。もし返事が出来るなら返事をしてくれ、第三帝国のジークムント・エフェクト機構の内部にいた存在よ!】
機械かプログラムが濃厚。でも、人型に空間が空いていたので「存在」と言葉を選んだった、ね。――杞憂だった。
【こちら第三帝国第9世代型局地殲滅型電子戦機ぃ、モナ! モナ・バーベルツでぇす。私を呼ぶ声は誰ぇ? って位置を勝手に探っちゃっていいかなぁ?】
【こちらコードネーム『夜』、もう武器がなくなりつつある。協力を願えないか? 共通ポイント2-5-1で待つ。直接探せるなら探して問題ない】
【ではぁ、モナからナフトへぇ。動けないから、索敵能力でお助けしまーっす!】
すごい能力だった。敵から自身を何らかの方法で隠蔽し、索敵までできる。
【……ナフトよりモナ・バーベルツへ。正しい戦局を教えて。『勝手に探る』なんてできるなら朝飯前でしょ?】
【骸骨野郎vsあなたと味方の特務八〇の兵士がいるのみ。 あ、七九になったぁ。……ってことろで七六名へ。減少・減少ぅ!】
【この特務八〇がこんなに減ったの!?】
私は周囲を確認した。それは感覚的にも事実に見えて。
【リックからナフトへ。一二九名が殉職、しかし、五〇名以上が撤退できたようだ】
撤退は敗北の二文字に聞こえ。しかも、それはブリーフィングにはない。要は、捨てゴマ。言い換えれば、核を使える状態に持って行くための布石。
【これってぇ、もしかしてぇ。負け戦なんじゃないのぉ? 今ぁ、気がついちゃったぁ~】
【あなたがいてくれれば、モナ、もう一回だけ逆転できる。
あなたは自分でもそう思ってる、でしょ?】
【ふぅ~ん。ならクイズクイズゥ! 私はこれから何をするでしょう?】
できることは限られていた。現状を把握すれば答えは一つしか紡ぎ出せない。
【端的に言おう。君は空中に散布されているナノマシンを経由して、さっきやったようにホールの外から。
外からホール内部の物理法則書き換えを行うんだろう?】
――響き渡る乾いた銃声、複数も複数。その間も、大剣も銃もうなりっぱなしだった。乳酸を自動でなくすホルモン剤が足りなくなってきている。だが、不思議と死ぬなんて思えなかった。死ぬ覚悟はいつでもできていたが――。
そして……。そう、忘れもしない。集合したんだ。第一帝国と第三帝国の合同会議で決まった場所。共通ポイント二-五-一に。最後の局面に残ったのは、リック、『鷹』、エッジ、クラフトそれに私で5名。と、ブラックボックスの女――モナ。6名。他は撤退か骸骨に喰われていた。あの頃はここまで仲が良くなれるとは思ってもみなかった。いや、期待していたのかもしれない。いや、決まっていたのかもしれない。
「例の『第三帝国の兵器』は使用しないのか?」
近くに位置したエッジが聞いてきた。諦めの音韻と共に。
「オープン回線でもう一度連絡してみるよっ!」
【ナフトからモナへ、なぜ攻撃態勢に入らない!?】
【第一帝国のぉ、戦術判定計算装置は若干ですがぁ、演算能力が落ちていましたぁ。現状は復帰していまーす。アイグラスを確認してみてくださぁい】
【プラス20秒!? こんな状態で時間が稼げていたのか?】
【はい! もっと敵を引き寄せてください。『鷹』さんって、本当に人間ですか? 彼の動きで巻き返せていまぁーすっ! そろそろ空に共同軍の航空部隊が来まぁす! これって実は最極秘事項でしたぁ。それまでに終わらせられなければ核ミサイル連打で、ゲームセットでーすっ!】
【核はどの国も保持していないはずだ。なぜ使用できる?】
【巨大隕石から地球を守ろうねっ! って名目で、極秘裏に、複数の使える核が地球に保有されていまぁす。それに、保有すること自体は国家間条例に触れません。抑止力として保持を宣言するなどぉ、利用した瞬間に罰せられちゃいまぁす】
【ああ、なるほど】
ああ、なるほど。モナは私が思っているほどに、ミューオン触媒核融合を悪く思っていないのかも。『核』と『鷹』でこじらせているのは、私か?
【私、プラグだらけで絡まっちゃってぇ、あまり動けなぃ~、そっちのポイントには行けそうにないから。迎えに来てくれる? なら合流できるぅ】
【わかった。では、大声を出して引き寄せる。その件はこちらに任せてほしい。加えて尋ねるが、そこは安全なのか?】




