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リナとエッジも別れてしまっていた。気がついても数に負けている自分が……今でも口惜しかったり、する。それを助けてくれた相棒が……今でも愛おしいように、思う理由。両分隊は人工筋肉を装着していたために。跳躍しながらの近接戦闘もできないではない。が、体力を残しておきたかったのだろう。弾の倹約に懸命だった。幸いにも全方向に弾を掃射しても、味方に当たるにはほと遠い敵の数がいた。逆を言うならば、それだけ陣形を乱されたということでもある。事実、残りの味方の数が減っている。勢い、衰えずホールからはかなりの数の骸骨。特異点としての力は残存しているようで。骸骨は複数が重なりながら這い出てきていた。それでいて、ホールから出ると分離するかのように一体となる。
【リックからナフトへ。悪い知らせともっと悪い知らせかつ良い知らせがある】
こんなメッセージが、この時だっけ? アイグラスに入っていた。こんな言い方、不安しかないじゃないか。その予想は見事に的中したんだった。まさか、あんなことになろうとは、ね……。聞くに、同期で銃の扱いに長けていたリナが頭を噛まれて重体。部下が遠隔操作爆弾を設置し、遺体ごとトラップにした。幸か不幸か、そのトラップには一〇〇体前後の骸骨が餌食になった。つまりは、リナは大声で叫んだのだ。その痛みや悔しさを。――淡々と言える自分が悲しい……? 勇ましい? まさか! この頃の私は、味方や友人というよりも、任務達成――敵の動きを観察・集積し、勝利すること―だけを念頭に置いていた。悲しいというより、100体は見事だと思ってしまったいた自分が悲しい。今だから思える感情の上書き。この辺りだったっけ。戦術判定計算装置からアイグラスにダイレクトに送られたメッセージ。
【この均衡は、人間サイドの疲労にも起因し、約一五分三九秒後に優劣が逆転してしまう可能性大。敗勢。繰り返す、この均衡は……】
人数が減ったために、どうしてもパワースーツまでやられてしまうお尻の部分でも、ヘッドでもアームでも損失は損失。事実、私も何度も斬られたし、噛みつかれたが、すべてスーツに守らせて助かったの。破損したスーツ部位は、この付近に分布されてるナノマシンにより転送されてくる。それでも追いつかないキャリアの若い兵士から。当たりが悪くなると死んでいくんだ。
【リック、燃料気化爆弾やマイクロブラックホール弾は使用できないのか? どうぞ】
【リックより、ナフトへ。特異点が特異点としての働きを持っている限り、広範囲攻撃兵器の使用は許可されない、どうぞ】
――そっちか。集めてズドンじゃないのか。喉が火照り。筋肉と骨は。もしも、口を持っていたら。泣き叫んだであろう。そんな、膨大に見える一〇分あまり。
【ナフト、了解。というからには作戦がある?】
――無くてはどうにもならない。
【実を言うと、無い。ただ、リナが使っていたマグナス五八とフィルズ六六が余った。今から転送する。『夜』が使ってくれ、エリートさん】
【それでも厳しいだろう。密集隊形はどう?】
【好判断だ。伝えられる全員に伝える。が、期待はしないで欲しい】




