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鉛はモナの内部まで侵食していた、少ないメモリを警告発信だけに使ったのがその証拠。これでモナからは、モナは「完全に自身を使う場合は核抑止力になる」という、人身御供的な記憶がなくなる。念のため。
「あなた、大丈夫?」
ゆっくりと聞いた。モナは脊髄反射でこくこくと頷いている。メモリは間も無く完全に隙間無く埋まる。 第二帝国の目的はほぼ達成された。この球体は、いわば、モナの追加装備。そして、世界を核の脅威に晒す悪魔的兵器、でもあった。たっぷり時間が経って。ナフトはモナの体内のナノマシンから、鉛と違反物質をマニュアルで排出した。
「モナちゃん、ロレンツォさんから入電」
何も起こってないかのようなモナ。寝起きのような表情を見せている。
【こちらナフト、どうぞ】
【げ……うを…う……せ……】
「モナ、通信回線をフルにしてっ!】
【…………聞こえているか? 現状を報告せよ】
【形式じみたことしちゃって。リアルタイムで見えてるんじゃないか?】
【いや、それがそうでもない。知っているだろう?】
【やっぱり、モナの視界もアウトだった、か……】
安堵のため息がナフトの赤い唇から漏れる、吐息のように。
【放射能がある時間帯があった。そのため、ノイズの嵐だったんだ。ナフト、もう一度説明してくれ。頼む、もう二人だけで抱えられる案件ではない……だろう?】
ナフトは今まで見たことを、まとめて話した。その核、戦術核について重点的に。
【ふむ……。問題は複雑性を帯びているな。外交、スパイ網、文化侵略などを用いて、平和的に収めるしかない。第二帝国の責任だとはせず、E-DENで『封印』してしまうのが良いだろう】
音声にもロレンツォの覇気が感じられ。
【モナを封印する……ってこと? まさか】
【いいや、機能の一部を制限するだけにしてみせる。委員会の親第(N)一(I)帝国(C))勢、第三帝国勢が騒ぎそうだ。
ま、私もだがな。敵に回して議論することになりそうだ】
【つまり?】
【楽しめそうだ、ということだ。こっちはこっちでな】
【へぇ、あんたにも任務を楽しみたい気持ちがあるんだ。……あんたも、食えないねぇっ】
艶っぽい声で、一瞬、任務より興奮が優先してしまうロレンツォ。ごまかすように咳をゴホンと咳払いをする。そのゴホンが証明しているものを、隠そうとする。
【さぁ、それでは残りは陸戦部隊に任せて、次の任務にあたってくれ。次の任務は――」




