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「どんだけ頑丈にしたら気がすむんだろうねぇ」

 とナフトがぼやいた。奥底の平和主義者的な思想がこの一言に滲み出ていて。

「『資本家さんと研究者の考えることを考えるのは無駄だ』ってぇ、ホラぁ、言うじゃない~?」

「それ誰? 科学哲学者のドルシュゴーだっけ?」

「違います! モナのデータがそういう名言を作り出しましたぁ!」

「……良いデータが収集されているね。まっ、そんなデータ、私は好まないけどね」

 雑談をしつつも、広い場所に、研究エリア出るまでに1分もかかっていない。そこには、パソコンや球型の透明なガラス、電子回路らしきもの、電子端末がそこらにあった。あまりに整然とした感じがしないのは、このセクションだけは急ピッチで造られた証拠かもしれない。

「予備電源で付いている明かり意味ありげね」

 ナフトがポツリとそういった。人差し指で髪をうねらせようとして、スーツの中に自分がいることに気がつく。ナフトは片足を前に出し、クロスさせた。腕を組んで視線を正面にやっている。予備電源が緑色に淡く光っているポイント。それは明らかに導線状になっていた。何かを呼び込むためだろう――いつもなら味方、こういう状態なら敵を? あいにく、モナの干渉能力は鉛をまとってしまったために大幅にダウンしている。ナフトは心の中で。

(電気での誘導の意味は二つある。敵を呼び込むための囮。もう一つは味方を誘導・案内するため。ここに第三案を加えてみると。そこまでに大きな仮定じゃない、よね? 一つ『電子干渉能力者にはこの施設に入り込みやすい』。二つ『物質変化能力者は鉛のドアをこじ開けやすい』。三つ『ナノマシン能力者、特にモナのようなタイプにはその鉛を使い、潜入させやすい』これらを合わせると第三案の可能性が高い)

 そんな確信めいた、長らく頭に留まっていた違和感が解消される。と同時に感じる一握(いちあく)の不安。

「モナ、入ってみよう。普通に入れるはずだ『モナ』なら」

 ナフトは「モナ」という部分を強調した。だって、ここは「モナ」にとって――。

「え、まっ、まぁ、できるけどぉ~♫」

 モナは「モナ」を強調された意味を履き違えていた。

「お前ならできるよ、モナ」という意味だと思っているのだ。予備電源が点いている先にある部屋は、大きな運動場程度の広さの空間であった。理由は分からないが、すごく広く開けている場所。中心部にはライトアップされた、キラキラと輝いていて、鈍色にくすんでもいる何か。なんとも形容しがたい鉄製か何かの球体なので。モナは球体の放射線をスキャン――球体が発生源ではない。

「おかしいとは思っていたんだ。どこからだった?」

「ん? ん? ん? 意味不明なモナちゃんがいるよぉ。ナフトちゃん。一体、どういうことなの!?」

「……チッ!」

 とナフトは小さく舌打ちをすると語り始めた。


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