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顎でモナを指す、大剣をドンッと廊下に下ろし、それは良いという表情を見せるナフト
「いいねぇ、そんなのっ」
後はブラックアウトエリア。
禁忌なのだろうが、そのエリアに踏み込むしかない。
査察が目的。
二人にとって、E-DENにとって、この規模の査察は奪取を意味する。
実は、ナフトにはある程度の予想はできていた。
現状、生物兵器や超人の乗る大型ロボット兵器『タクティカル・スーツ』に辛酸を舐めさせられている第二帝国。
加えて、とあるものがどうしても欲しい第三帝国。
この両者が欲しがるもの、喉から手が出るほど、それは――。
鉛の扉の前まで来た二人は息を飲んだ。
扉は扉でも重厚な地下への扉。
それは魔界に繋がるかのような面持ちで。
床の延長線上にあった。
それもテニスコートほどある巨大なものだ。
なるほど臨界実験ができる地下施設に入れというわけか、その謎めきにナフトは喜ぶも
「チッ、頼んだよ。私じゃどうにもできない」
ナフトは咄嗟に顔を変えて、悔しそうに言った。
鉛はモナのナノマシンによって舐めるように溶かしていかなくてはならないのだ。
モナ、ふわりとナノマシンで巨大な蝶々を出す。
植物的なナノマシンで描かれた蝶が舞っては。
鉛の地下へのドアをなめらかなヤスリのように削っていく。
ナフトの大剣で斬ることは可能だが、下に重要機器があった場合こそ問題が起こる。
「鉛の吸収具合……味っていうんだよね、それはどう?」
「うーん、鮮度自体は良いみたい。結構新しい施設かもね、ここぉ。
それとね、やばい匂いもするから、真ん中しか溶かしてないとも言っておくねぇ」
ここに来て、モナの表情が曇る――やばい匂い。
「この中ぁ、放射能が漏れている。臨界実験失敗レベルでぇ……」
「ちょうどいいんじゃないか?」
「へっ!? 何が?」
「今削ってる鉛よ」
「……!!」




